0、再び始まる
短編「君に贈り物を」の続編から始まっております。
そちらをお読み頂いた上で、こちらを読んでくださることをお勧めいたしますm(_ _)m
勝手ですみません(._.)
「もう、信じられない! 早見くんなんて大っ嫌い!」
「え!? おい、待てってば! おい! 光莉!」
両想いになれたあの日から、たった一ヶ月。
ねえ、貴方の「好き」っていう気持ちはそんなものだったの? やっぱり、貴方と付き合えて嬉しかったのは私だけだったの? 大変だ、涙がとめどなく溢れ出してくる。
「・・・っ!」
震える足を抑えることが出来なくて、私の体は地面に垂直に、真っ直ぐに落ちていった。
もう、嫌。何も考えたくない。
「・・・え? おい、広瀬? お前、何してんの? ・・・つうか、泣いてんの? 大丈夫か?」
悶々と考え込む私の頭上に降ってきた、聞きなれたテノールの声。
私の恋人である早見竜之介の親友、大岡賢治だった。
「・・・さっき、根室心美と竜ちゃんが一緒にいたの見たんだけど。もしかして・・・その事? 根室って、確か竜ちゃんのこと好きだったよな」
大岡くんは、黙って俯いたままの私の肩に、そっと手をかけてきた。大きくて、日に焼けた彼の手は、何だかとても安心感がある。
「俺で良かったら、話、聞くべ?」
私の心境を察してか、全く曇りのない笑顔をこちらに向けてくる大岡くん。
そして、そんな彼の優しさに胸を打たれ、私の涙腺は再び崩壊してしまったのだった。
「・・・っう! 心美ちゃ・・・っと、早見く・・・がっ! 私、か、悲しくって・・・!」
「おいおい、落ち着いて話せ。顔、ひでーよ」
「だ、だってえ!」
早見くんに片想いしていた月日、約一年間。
付き合っている月日、わずか一ヶ月。
今、再びここに恋が落ちてこようとしていた。