魔法都市
「ついに、きたぞー」
俺は目の前の光景を見て叫ぶ。
崖の上、そこから見下ろせる街。
紫紺のブロックを積み重ねた建物が並び立ち、箒に乗った魔法使い達が飛び回っている。
中央には巨大な青い円形の構造物があり、それが俺の目的だった。
「よし、じゃあ行くか」
箒を地面と水平にして持ち、そこにまたがる。
そして魔力を籠めると一気に視界が歪む。
風を浴び、髪が逆立つ。
気にせず俺は魔法都市に降り立った。
硬い石畳の感触が靴裏に伝わる。遠くから甘い匂いが漂っていて、どこかでお菓子でも売っているのかもしれない。
「ふう、いい場所だな」
街の景色を眺める俺の傍を女性が歩いていく。彼女は一瞬俺を見るものの、どうでもよさそうに去っていく。
その反応がとても珍しくて、感動すら覚える。
「ここじゃ魔法使いは普通なんだな」
今までどれだけ罵倒の嵐をあびてきたことか。
王が魔法を見せてほしいというから、地獄の業火を呼び出して山を全焼させてみたら、直ぐに戻せと言われて燃え尽きた木々を再生させる羽目になったり。
街の皆を楽しませようとして兎と鹿と鳥を掛け合わせた生き物を作ったら、即座につかまり、折角作った生き物も殺されて、慌てて騎士たちの拘束を抜けて逃げたりしたし。
世間の魔法に対する目は厳しいし、どいつもこいつも魔法をわかっちゃいなかった。
だけどこの魔法都市なら違う。
ここでなら思う存分魔法が使える。
だから俺はここに来た。
ここの青い建物に魔法技官長という人が住んでいるらしく、よそ者がここに住むにはまず魔法技官長の許可を得ないといけないらしい。
「よし行くぞ」
俺は箒を次元の狭間にしまい込むと青い建物を目指す。
許可を貰うために、今までの実験魔法を沢山見せるつもりでいる。山を燃やすと怒られるから、水で街を沈めるくらいがいいかもしれない。
魔法技官長の驚く顔を想像しながら俺は進んだ。
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