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野良猫ガブの日常

作者:サトジュン
最新エピソード掲載日:2026/03/23
地方都市のはずれにある、少しだけ時代に取り残されたような商店街。

シャッターの増えた通り。
それでも朝になればパンの匂いが流れ、
昼には八百屋の呼び声が響き、
夕方には子どもたちの笑い声が転がっていく。

そこに住みついている一匹の野良猫がいる。

名前は――ガブ。

由来は、あくびをしていた顔が「がぶっ」と何かを食べそうだったから。
鋭そうな目つきとは裏腹に、動きはのんびり。
人に媚びず、かといって完全に離れもしない。
商店街という場所に、ふわりと溶け込んでいる存在。

ガブは飼い猫にはならない。
誰かのものにはならない。
けれど、商店街のみんなが、少しだけ「自分の猫」だと思っている。

魚屋の無口な店主。
跡取りに悩む和菓子屋の息子。
夫婦喧嘩の絶えない定食屋。
一人暮らしを始めたばかりの高校生。
毎日同じベンチに座るおばあちゃん。

大きな事件は起きない。
人生が劇的に変わることもない。

けれど、

雨の日に濡れた段ボールの匂い。
冬の朝の白い息。
夏の夜のぬるい風。
夕焼けに伸びる猫の影。

ガブはただ、そこにいる。

人の言葉は話さない。
慰めもしない。
助言もしない。

けれど、誰かが泣きそうなとき、
ふと足元に丸くなる。

誰かが笑ったとき、
少しだけ目を細める。

商店街の一年がめぐるたび、
小さな心の温度が、少しずつ変わっていく。

これは、
一匹の野良猫と、
ゆっくりと時間が流れる商店街の、
100の小さな物語。

読後、胸の奥に陽だまりが残る物語。
雨の日の匂い
2026/03/01 17:44
新しい靴の音
2026/03/02 19:24
夜のまんなか
2026/03/04 19:52
春の前の風
2026/03/05 20:22
提灯のひかり
2026/03/06 19:44
祭りのあとの朝
2026/03/08 19:50
知らない足音
2026/03/09 19:52
もう一つの名前
2026/03/10 20:02
となりの昼寝
2026/03/11 19:50
段ボールの家
2026/03/12 19:36
桜が咲く日
2026/03/13 19:34
夜桜の下で
2026/03/15 16:11
桜吹雪の日
2026/03/16 19:12
はじめての屋根
2026/03/17 19:55
同じ席
2026/03/18 19:40
なおす日
2026/03/20 19:18
少しだけ近く
2026/03/22 18:24
あと少しだけ
2026/03/23 20:04
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