第八話:ゴミ箱の中の「宝の山」
穴を抜けた先。
そこは、カイトが予想していた「恐ろしいバグ地帯」でも、
「旧データの世界」でもありませんでした。
そこは、空一面がセピア色のグリッド線で覆われた、
『運営の廃棄物置き場(通称:ゴミ箱)』。
「うわぁ……! すごい、宝の山だ!」
ハルの目が、かつてないほどランランと輝きました。
彼の目の前に広がっていたのは、
モンスターでも罠でもなく、「没になったアイテム」の巨大な堆積。
• デザインが凝りすぎてデータが重くなり、ボツになった「龍の鱗の鍋敷き」
• 叩くと変な音が出るからボツになった「音痴なハープ」
• そして、あまりに質感にこだわりすぎて実装が見送られた「未完成の双剣」
「ハル、これらは全部『失敗作』だぞ?
触ると装備の耐久値が減るかもしれないし……」
と警告するカイトを余所に、ハルはすでに山の中にダイブしていました。
「カイトさん、見てくださいこれ!
この剣、まだ削り出しの段階なのに、重心のバランスが完璧です。
……磨きたい。今すぐ、ここで磨きたい!」
ハルはナハトを呼び出し、
影の中から「究極の砥石(ババから買った特製品)」を取り出しました。
ナハトもまた、ゴミ箱の中に漂う「濃すぎる魔力データ」を
パクパクと食べています。
すると、ナハトの影がドロリと広がり、
ゴミ箱の中にあった「捨てられた小さな機械の歯車」をいくつか取り込みました。
【システム通知】
ナハトが『遺物喰らい(レリック・イーター)』の特性を得ました。
捨てられたアイテムを「素材」として分解・再構築することが可能です。
「キュゥーン!」
ナハトの体が少しだけ機械的なラインを帯び、
より複雑な形に変化できるようになりました。
「よし、決めた。カイトさん、僕、しばらくここに籠ります。
このゴミ箱の中にある面白そうなものを全部磨いて、
ナハトに食べさせて……最高に面白いものを作ってみせます!」
「……ここでレベリングするんじゃなくて、お掃除と工作をするのかい?」
カイトは頭を抱えましたが、楽しそうなハルを見て、
自分も少しだけ「効率」を忘れて、山の中から変な形のガジェットを探し始めました。
第8話 完
【ハルのやりたいことリスト・進捗】
• ゴミ箱(お宝の山)を探索する: 進行中!
• 没アイテムを蘇らせる: 進行中!
ハルの「マイペース」が、ついに運営のゴミ箱すらも遊び場に変えてしまいました!




