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ぼっち初心者の双剣士、気づけば精霊に懐かれて世界を無双する……つもりはない。  作者: あめとおと


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第四話:頑固親父と看板娘、そして「影」の正体


夕闇が街を包み込み、魔導灯の淡い光が石畳を照らし始める頃。


ハルは鼻歌交じりに、始まりの街・ルミナスの大通りを歩いていた。


背中の影には、ナハトがひょっこりと顔を出し、


通行人の足元をすり抜けるようにして遊んでいる。


他のプレイヤーたちには、


それがただの「演出用のエフェクト」か


「低ランクの使い魔」にしか見えないようだが、


ハルにとってはかけがえのない相棒だ。


「ここだよ、ナハト。僕の『師匠』がいる場所」


たどり着いたのは、煤けた看板が掲げられた一軒の鍛冶・防具屋。


勢いよく扉を開けると、熱気と鉄を叩く重厚な音がハルを迎えた。


「ミナさん! ただいま戻りました!」


「あ、ハル! ……って、あんたその格好、どうしたのよ!?」


カウンターの奥から飛び出してきたミナが、


ハルの姿を見て絶句した。


ハルの装備は初期のままだが、


その立ち姿から漂う雰囲気が一変している。


何より、ハルの腰に差された「影を纏う折れた剣」から漏れ出る魔力が、ただ事ではない。


「これ、教えてもらった森の奥で見つけたんです。


あと、言ってたヨモギも!」


ハルがナハトから『アオノニガヨモギ』を差し出すと、


ミナの背後から地鳴りのような声が響いた。


「……おい。その小僧の影にいるのは何だ」


奥の工房から、巨大な金槌を肩に担いだ巨漢が現れた。


ミナの父親であり、この街一番の偏屈鍛冶師、ガラムだ。


ガラムは鋭い眼光でハルの足元を凝視している。


「あ、これ。ナハトっていうんです。友達になりました」


ハルが屈託なく笑うと、ナハトも影から這い出し、


ガラムを見上げて「キュゥ」と挨拶(?)をした。


ガラムは無言でハルの手から折れた剣をひったくると、


火に透かし、匂いを嗅ぎ、最後には舌で刀身を舐めるような仕草をした。


「……ハッ、まさかこんなところでコイツを拝むことになるとはな」


「お父さん? 知ってる剣なの?」


ミナの問いに、ガラムは鼻を鳴らした。


「ああ。


昔、この街を守って死んだアホな騎士が使ってた剣だ。


折れて行方不明だと思ってたが……まさか、


精霊に守られて岩壁に眠ってやがったとはな」


ガラムはハルをじろりと見た。


「小僧。この剣はな、持ち主を選ぶ。ただ強いだけじゃダメだ。


武器を道具じゃなく、『身内』として扱える奴にしか、精霊は力を貸さねぇ。


……お前、この三日間、ずっと初期装備を研いでたらしいな?」


「はい。楽しかったので」


「……フン。変態め」


ガラムは口元をわずかに緩めた。


それは、彼なりの最大の賛辞だった。


「いいだろう。そのヨモギと、


お前が拾ってきたガラクタを預けな。


この剣、ナハトとかいう精霊の力を借りて、少しだけ『マシ』にしてやる」




【システム通知】


クエスト:『守護者の休息』が更新されました。


報酬:『影纏いの双短剣(作成中)』


条件:ガラムが作業を終えるまで、


街でナハトの「好物」を探してくること。




「ありがとうございます、ガラムさん!」


「勘違いするなよ。俺は研ぎの甘い剣が嫌いなだけだ。


……ミナ、


この小僧に『精霊の蜜菓子』が売ってる店の場所を教えてやれ。


ナハトとかいう影野郎、腹が減ってるみたいだからな」


ガラムはそう言うと、折れた剣とヨモギを持って工房の奥へ消えていった。


「もう、お父さんったら素直じゃないんだから。


……ねえハル、あのお店に行ってみようよ。ナハトも喜ぶと思うし!」


ミナに手を引かれ、ハルは再び夜の街へと繰り出した。


ナハトはハルの肩の上で、


期待に胸を膨らませるように(形を変えながら)弾んでいる。


第4話 完


【現在の状況】


• 武器: 一時預け中(代わりに予備の練習用木刀を借りた)


• ガラムの評価: 「見所のある変態」



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