表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ぼっち初心者の双剣士、気づけば精霊に懐かれて世界を無双する……つもりはない。  作者: あめとおと


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

16/22

第十五話:オイルの香りと、剣の「産声」

「ババさん、ありがとう。


……よし、ナハト、シャリ。


行く前に、まずはこれを塗ってみようか」


ババの店の軒先で、ハルはさっそく腰を下ろしました。


普通なら「急いで目的地へ!」と駆け出す場面ですが、ハルは我慢できません。


新しい「研磨アイテム」を手に入れたら、


その場で試さずにはいられないのが彼という男です。


ハルは『日和』と『常夜』を抜き、


ババからもらった『真実の研磨オイル』を一滴、刀身に垂らしました。


トパッ……。


オイルが広がった瞬間、双剣から銀色の煙が立ち上り、


あたりに「雨上がりの森」のような清々しい香りが漂います。


「……あ、すごい。剣の芯まで、熱が通っていくみたいだ」


ハルが丁寧に、布でオイルを馴染ませていきます。


すると、今まで無機質だった刀身が、


ハルの指の動きに合わせて『クピピ……』と、


まるで喉を鳴らす猫のような音を立て始めました。


『……もっと、右。そこ、痒い』


「えっ?」


ハルが手を止め、辺りを見回します。

ババは奥で居眠りを始めているし、ナハトとシャリは顔を見合わせています。


「今、誰か喋りました?」


『……左の、しのぎのあたり……もっと、深く……』


声の主は、ハルが手に持っている『日和』でした。


ババのオイルが、剣に宿った「意志」とハルの「意識」を繋いでしまったのです。


「わあ! 『日和』、君、喋れるようになったの?」


『……喋る、というか。伝わる、だけ。


……あるじ、磨くの、上手。……気持ちいい……』


続いて、影を纏った『常夜』からも、少し低くて落ち着いた声が響きます。


『……主よ。我らを導け。


あの『庭』には、我らの真の姿を呼び覚ます『雫』がある……』


「すごい……! 剣と喋れるなんて、最高のお散歩になりそうですね!」


普通のプレイヤーなら「攻撃力が上がったか?」を確認するところですが、


ハルは「剣の痒いところを教えてもらえる」ことに感動していました。


「カイトさんにも教えてあげよう。


……あ、でも、あの人の剣は効率重視だから、


あんまりお喋りしてくれないかな?」


ハルは、お喋りになった双剣を愛おしそうに鞘に収めると、


シャリが指し示す「鏡池」の方角へ、鼻歌まじりに歩き出しました。




【今回得たもの】


• 双剣の意志: 武器とコミュニケーションが可能になった。


• メンテナンス効率UP: 「そこ痒い」と言われるので、研磨の精度が爆上がり。


• シャリのドヤ顔: 良い地図を持ってきた自覚があるらしい。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ