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最後の一年 ―きみへ残す言葉―  作者: 無咲 油圧


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エピローグ 春の光

冬が終わり、春が来た。

桜が満開に咲き誇る季節。

陽翔が眠る丘の上には、凛音と悠真、そして家族が集まっていた。


墓前には、一冊のノートと小さな銀のペンダント。

風がページをめくり、陽翔の文字がちらりと見えた。

「誰かの心に、俺を残す」


凛音は空を見上げ、微笑んだ。

「ねえ陽翔くん。あなたの言葉、ちゃんと届いてるよ」

悠真が手にカメラを持っていた。

「ほら、今日も撮るぞ。お前の“続きの記録”だ」

「うん」

凛音が頷いた。


カメラが回り出す。

風が桜の花びらを巻き上げる。

その一枚が、まるで陽翔の笑顔のように光っていた。


その映像は、のちに学校で上映された。

タイトルは――『きみへ残す言葉』。

観た人々は泣き、笑い、そして何かを感じた。


陽翔の存在は、確かにこの世界に残った。

誰かの心の中で、今も生き続けている。


夕暮れ、凛音は丘に立っていた。

風が頬を撫で、遠くで鳥の声が響く。

ポケットから、陽翔の手紙を取り出す。

そこには、最後のメッセージがあった。


「もし俺がいなくなっても、泣かないで。生きるって、“誰かを想うこと”だから。 凛音、笑って生きて。俺はその笑顔を見ていたい」


凛音は微笑み、涙を拭いた。

「うん、約束する」


空を見上げると、一羽の鳥が高く舞い上がっていた。

その姿はまるで、陽翔の魂のように自由だった。


季節は巡る。

けれど、陽翔が残した言葉は色あせない。


「人は死ぬけど、想いは生きる。」


凛音はその言葉を胸に刻みながら、歩き出した。

春の光の中へ。

――陽翔の残した“温もり”と共に。

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