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閑話 新米パティシエの懐古

 二人が去ったのを確認すると奥から若い男性がマスターたちに近づいてくる。


「挨拶せずによろしかったので?」


 マスターがニヤニヤと笑い言う。


「まだ、新米の身ですので。かつて一人前の料理人となって帰ってくると豪語してしまいましたのでね。」


 青年がきまずそうに言うとマスターは思い出したかのように言う。


「そうそう、お嬢様から言伝が。」


 だが、マスターが言う前に青年は口を挟める。


「聞こえてましたよ。全くさすがはお嬢様。何でもお見通しですね。」

「あの方に見通せぬものなどありませぬゆえ。」


 青年はため息をこぼし、窓の外から一人帰路に立った上杉をみる。


「そして、あれがタカヒロさんですか。」

「お嬢様から聞いた通り、優しそうでご立派な方ですね。」


 そこで、料理長が笑いながら口を開く。


「かっか。あの時一番苦労したのはお前さんだったなぁ。」


 青年はその言葉で遠い目をして頷き、マスターが続ける。


「あの頃、お嬢様から兄と慕われていたあなたが一番彼の武勇伝を聞かされていましたからね。」

「ええ、まさか正体を探ってくれと言われたときは戸惑いましたよ。」


 顔も名前もわからないんですから、と辟易しながら青年はこぼす。


「でもまぁ、特徴的な格好をしていたので、目撃情報も多々あってよかったですが。」


 マスターが目を細めつぶやく。


「あの方は今でもお嬢様にとってのヒーローなのですね。」


 だが、その言葉に料理長は首を振って応える。


「いやぁ旦那。今も昔もお嬢だけじゃなく、この街のヒーローですぜ。」


 その言葉に他二人は確かに、と頷く。

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