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親友が二人と彼氏

作者: 御伽人

  『親友が二人と恋人』


 私は高校生になってから、湿布を貼るようになった。私は彼氏と自然消滅してから、恋が巡って来ない。

しかし、親友のセレブな麻美と、次期グラビアアイドルの千恵美と一緒にラーメンを食いに行く。夕飯を。麻美は気さくな人柄だ。私は、飯を奢ってくれるし、美人だし。ただ周りの和を重んじる為に、嫌いな相手とも上手く話す。ある意味「プロ」だろう。

 次期グラビアアイドルの千恵美はアイドルになりたいらしい。グラビアでも団体のアイドルメンバーでもいいらしい。

「私ってさ。並みの女じゃないんだよね」

「え。確かに人の金で夕食を食べるなんて。単なる次期アイドル志望だけある」

「まあ、私も結構食べているからな。占い全然当たらないじゃない。もう半年も持っているよ」

「一人だけ幸せにした事があるんだよ」

「一人しかいないじゃん」

「占いは難しいんだよ」

喫茶店で、話している。占いは廃業するかと思った。ちゃんと勉強してから、OL兼占い師になろうと思った。やっぱり副業でいいから占いは止められない。一人将来を当てた実績がある。千恵美には当たらなかったけど。

 セレブな女・麻美は『六本木ヒルズ』の住人で、自家用ジェットで高校まで行くらしい。運転手は専属の仕事をしている。麻美はなぜジェット機で自衛隊の基地で降り立って、それでベンツで登下校している。私立で行けるのに。何故こんな遠い、しかも取り立てて特徴がない高校に行ったのか、よく分からない。

「何でここの学校に来たの?」

「テレビで観ていて、美味しくて、有名なラーメン屋が近くにあったから」

金の無駄遣いだろう。自衛隊とはどう折り合いをつけたのかと言えば、やはり銭の威力は国も動かす。

 私たちは皆彼氏がいる。私は一年生しかいない野球部のキャブテンと付き合っている。麻美は22才の女と嘯いて20の男と付き合っている。金があるとは言わずにただ、ジェット機で彼氏に逢いに行くらしい。後は徒歩で駅まで待ち合わせをしていると聞いた。

 千恵美は意外と普通の男と付き合っている。意外だ。そう思った。

 私は彼氏と一緒にデートに行っている時が、一番心が安らぐ。私はきっと、この瞬間を楽しんでいる。彼氏とは高校三年の春に別れる事になっている。それまで付き合えたらの話だけど。

 観覧車に彼氏と乗った。私は可愛いタイプの女だと言われている。背も低いし、何となく可愛いと言われて付き合ってきた。中学で二人と。

 高校に入ったら、一本化しようと思った。たまには、長い恋愛を出来るだけ極楽気分で満足させたい。

「キスをしよう」

彼氏にそう言われた。私はすぐに唇を近づけた。葡萄の味がした。きっとチューインガムを噛んでいるんだなと思った。甘いし、いい匂いだ。そして、彼氏は言った。

「もうすぐだね」

別れは近づかない。信じているのは、私だけかもしれない。一緒の塾に行こうと誘われた。高校一年の春休みだった。

「一緒の大学に入って同棲しようぜ」

「私は頭が良くないし。普通の大学で十分すぎる程満足だよ」

「やっぱ俺たちって別れるのかな」

「大学に入ったら、他に好きな人が出来ると思う」

「それまでの関係だね」

「そうみたい」

私たちは「余命」は長いようだ。どうしても、私は辛くなった。本気で好きだったのにな。大学でも恋人ができるだろうし、もしかして今の彼氏とのデートよりも、楽しいかもしれない。それでも、想い出として受け取っておくよ。

 高二になった。何故か親友二人が一緒だ。特別な関係な三人だから、喜んでいた。しかし、麻美は恋愛もこれで最後かなと思っているらしい。

「医大に入るよ。私は一人暮らしをして」

確かに成績はトップクラスで、記憶力も良かった。

「凄いね。この近くに住むの?」

「うん」

「二人で遊びに行っていい?」

「いいよ。マンションで住むから。遊びに来てもいいよ」

そう言っていた。

そして、春は花見に彼氏と来た。あの麻美も来るようだけど、彼氏が乗り気じゃないらしい。しかたなく、饅頭だけ食べて帰って来たらしい。

 賑やかな方がいいんだけどな。そう思って桜を観た。桜で来年の今頃はずっと眺めてしまい、これ程別れを象徴する花も珍しいと私は勝手にそう思っている。二人は空気みたいにいなくなるように。

「来年も来ような」

「絶対行く」

「それは頼もしいな」

そうして、桜が散っていく。まだ本当に「散って」はいない。次の年は、この場所に来る時、私たちは終わりを迎えるのかもしれない。私は耐え切れるだろうか。泣くのはあまりしていない。恋人と別れて、少し涙が滲むだけだ。特別の彼氏なら泣けるはず。そう思った。

 麻美は私の目指している大学に志望した。滑り止めで。私はきっと、三人でいた事だけは忘れないだろう。

 夏休みは彼氏とベランダで花火を見た。美しい花が空を彩る。ずっと、花火を鑑賞していた。そして、無味乾燥のキスをした。花火をバックに、単なるキスで終わらないように。

 そう祈っていた。

 麻美と千恵美は美人系で私は派閥が違う。だから、男の種類が違うのだろう。私は、今の彼氏を好きでいるから、別に構わない。

 麻美が別れたらしい。で、一ヶ月経ったら、また彼氏が出来た。よくモテる女だなと思っている。同じ高校のクラスメートだ。

 そして、秋は寒いから暖かい飲み物を飲みながら、ずっと話をしていた。後半分を切った私たちの関係。お互い違う大学を志望しているため、実質上は再び逢えなくなる日まではもう近い。受験勉強もあるだろうし、逢える時間が少なくなっていく。だから、今は腕を組んでいる。ずっと、この気持ちは忘れないから。だから、彼氏にも新しい女を作って欲しい。私なんかよりも、もっと綺麗で可愛い人と。

 そして、冬が来た。雪が降っている。ちらほら見える。彼氏はどうしても、別れたくないらしい。私も別れたくない。でも、もう違う進路を選んだから。

 涙が伝った。これが私のプライドよりも感情が溢れた。

 春。彼氏と別れの季節が来た。

「楽しかった」

強くハグをした。もうお互い違う大学に進む。そして、これ以上の恋が出来るだろうとは思っている。

 そして、麻美はドイツ語がペラペラになった。今は医大の近くのマンションに住んでいるらしい。私と千恵美はシュークリームを持って、遊びに来た。

 ずっと勉強しているから、たまには息抜きもいいかな。そう言っていた。

 そして、恋愛の話と学校で『殺したいリスト』のトップを誰に決めるかどうかはそれぞれ違うらしい。ずっとテーマが続いた。

そして、麻美は麻婆豆腐を作ってくれた。料理も出来るのか。一歩抜かれた気がした。

 私はずっと、凄いご令嬢。なのに、家事も完璧にこなす。凄い。

 千恵美は、アイドルはいいやと諦めていた。もう飽きたのだろう。飽き易い性格らしい。とにかく、大学に入るまでは、プライベートで会うのは一旦止め様と決まりごとをした。

 そして、高校三年生で、桜の日は、結局一人で見る事になった。今でも傍にいてくれそうな気がした。

 そして時は流れて、受験モードになってきた。

センター試験を千恵美と受けて、大学受験をした。

 そして、私は大学に合格した。千恵美は第一志望の大学を選んだらしい。麻美も目指していたものに一歩近づいた。

 そして、学校を「衣替え」する日が来ていた。皆ばらける。一番いい時間を過ごした。それだけは間違いないようだ。私は、いつかまた三人で喋りたいなと思った。あのラーメン屋で。


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