LINEで「犬好きですか。」と聞こうとしたが、「大好きです」と誤爆した。
誤爆。それは起きることが予測できない文章のバグ、いやバクと言うのはいささか強引かもしれない。事象ではなく人為的なミスである。私はそれに今、悩まされていた。
「ねぇ!噂が立ってるんだけど葉山さんって新田君と付き合ってるの?」
あまり目立たない同士の新田くんと私がカレカノ関係である。というくだらない噂だ。朝一番、クラスの太陽がいの一番に聞いてきた。第一本当にそうだとしても、わざわざ私に聞きに来るとは実に暇なものだ。
「新田くんとは何もないけど、なんで地味な私にわざわざそんな噂を聞きに?」
「葉山さんは気づいて無いかもだけど、葉山さんってクラス人気高いんだよ?」
なるほど裏の人気投票では上位だったか。正直どうだっていい。
「でね、里村くんによると葉山さんが新田くんにおんぶされてたらしいんだ。ほんと?」
本当って私が聞きたい。火もないのに煙が立っては困る。新田くんが嫌いな訳ではないし、むしろ懐いているって言うのは事実だが、こんな噂彼は嫌がるだろう。
「黙秘権を行使したか…でもこれは言い逃れできないでしょ!」
太陽はスマホを私に突き出した。
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明日は頑張ろ。
もちろん
メッセージが撤回されました
大好きです
・・・・・・・?
フェイクニュースだろうか。いや確かに私の携帯から発信されたものだ。身に覚えがないが?
「あっ噂をすれば来たわ!」
彼女の声で意識が戻った。噂の相手である新田くんが登校してきたのだ。
「なに?有名人でも来たの?」
「オマエのことだろ。新田。」
後ろから里村くんが子供のようについてきていた。
「あっ葉山さん。放課後、少し時間もらえない?話がしたい。」
私たちは他の生徒が帰って行く中、音楽準備室で話し合いの体制になった。
「昨日の件でさ、色々迷惑をかけてごめん。」
「いやいいわ。嘘っぱちな写真が広まるのは嫌だけど相手が君だからかろうじて許容できるわ。」
「クラスではあまり話さないようにしてた弊害が出たね。」
何やら嬉しそうな里村くん。別に悪い気はしない。
「約束では少しずつ会話を増やそうってなってたからね。みんなも驚いたはず。」
「そりゃそうよ。クラスでは接点のない私たちが付き合っているなんて噂、意味わかんないもん。」
私がそういうと、彼の両手が私の頬を包み込み愛しげに彼が微笑んだ。
「君とはもう一つ、ステージを進んでいるっていうのに。」
私の唇を彼ので塞がれる。刹那、離された。
「そうだね龍、明日は指輪して驚かせようか。」
「鈴華のかわいさは俺が独占したいからそれは困るな。」
私が彼の目を見て思わず笑い、彼も笑う。
太陽しか知らない真実を、私たちは知っている。