表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

小判

作者: nakahoshi

 宇宙の中に、青と緑の星を目指して航行する一機の宇宙船があった。

「遂に辿り着いた」

「はい。長い道のりでした。様々なトラブルもありましたが、遂に辿り着きましたね」

「あそこに見えるのが目指す星、ワガダだ。ワガダには、多くの資源が眠っている。ワガダを我が星の植民地にすることができれば、我が星の産業や娯楽はより潤うことだろう」

「しかし、この場所は遠すぎるのでは…ここまで来るのに100年はかかっています。いくら私達の寿命が他星の住民より長いとはいえ…」

 下っ端の船員が問うた。

「心配はない。我が星のワープ装置を使えば、あっという間だ。私達は、星の偵察の他に、そのワープ装置のゴールの設置も兼ねているのだ。さぁ、もうすぐ着陸だ。各自、着陸準備に付け!」

 かくして、宇宙船は人気のない森の中に着陸した。そして、偵察部隊が船外へと偵察を始めた。

 偵察部隊の報告は、以下のようだった。住民は警戒心が強く、怒る時は毛を逆立てること。しかし、気性は穏やかであり、支配もしやすいだろうとのこと。

「…では、早速始めるか。しかし、ここで焦ってはいけない。まずは、ここの住民と友好的にならなければならない。そのためには、住民の好物で釣るのが一番だ。おい、報告書にはなんと」

「はい。ここの住民は『金』、金銭がなにより好きなようです。ここに、この星の貨幣のレプリカがあります。精巧に作られておりますので、バレる心配は無いと思われます」

「よし。各自、貨幣をダシに友好を深めよ」

 かくして、船員たちは行動を始めた。万事うまくいく、かに思われた。1人の隊員の報告を聞くまでは。

「せ、船長!大変です!」

「どうした」

「住民が貨幣に興味を示しません」

「なに⁉︎報告書と異なるでは無いか!」

 すると、報告書を読んでいた船員の1人が声を上げた。

「船長!どうやら、今のこの星の住民は、この報告書に書かれている住民では無いようです」

「なんだと⁉︎」

「この報告書は、私たちが旅立つ前に作られたもの。報告書にあったのは、この星の言葉でニンゲンと呼ばれていた種族でした。報告書が作られてから、ここに到着するまでの間に、なんらかの原因で現在のネコと呼ばれる種族へと支配者が変わったのでしょう」


―「猫に小判」猫に小判の価値は分からないため、猫に小判を与えてもなんの意味もなさない―

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ