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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

人間の産む卵~ポポポーン~

作者: ヒロモト

20××年。人は人を卵で産めるようになった。

産婦人科で働く私は『命が軽くなった』と思うことが増えた。

排便と同じような感覚で卵が女性器からポンと排出され一時間での赤ちゃんがふ化する。


……なんだこれ?


女性の生理と妊娠と出産の苦しみが消え、出生率の問題は解決したのはいいが、何か人類は大事なものを失っている気がする。


公衆トイレで卵を産む女子中高生。

妊娠中のセックスによる卵の破損。

出産後、自分の尻で卵を割ってしまい笑っている母親もいた。

ゴミの日に生ゴミと一緒に卵を捨てる親。

段ボールに卵を容れて病院の前に捨てに来る親。


命の誕生の感動を味わいたくて。生命の神秘を味わいたくてこの仕事についたのにやりがいがない。


「……起きるか」


そう愚痴愚痴考えていても仕事をサボるわけにはいかない。

隣で寝ている彼氏を起こさないようにそっとベッドから出た。

顔を洗ってトイレに行って玉子をよく洗って割ってフライパンに落とした。

私の分だけなら簡単に肉卵丼でいっか……あっ!


「ラッキー!」


双子の玉子だった。今日はいい事あるかも知れない。


「ふわぁ。朝ごはんなにぃ?」


マズイ!彼氏が起きてきた。

今日は彼も仕事早いのね。


「……トーストとウインナー」


「やりぃ」


私が作ったものならなんでも喜んで食べてくれる彼だけど、よく洗ったとは言えトイレから拾った卵を彼に食べさせるわけにはいかない。

作り直しね。

私はフライパンの上でこんがりと焼かれた肉卵をゴミ箱に捨てた。


『オンギャア』


『オンギャア』


そう聞こえた気がするが気のせいだろう。




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― 新着の感想 ―
[良い点] こわっ…… [一言] ……と、思ったらホラーだった(*´ω`*)
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