9/残酷な思考は巡る
嗚呼。まただ。どうして私なのだろう。
この世界に腐る程蔓延っている他の人間じゃないのだろう。
どうして私なのだろう。
私じゃなければ平気で笑ってやるのに。
他人事のように笑えるのに。
自分じゃないことの優越感を全身で感じられるのに。
他人の不幸を自分の幸福とできるのに。
どうして神様私を選ぶ?理由が知りたい。
あなたとお話がしたい。
叶わないことだと分かっているけど。
神様なんて人間の想像の中にしかいない人間の都合によって造り出された産物じゃないか。
私もどうかしている。
こうなったのは自分に運が無かったからだ。
神様のせいにしようなんて狡い。
そんな罪深い所業が許される筈がない。
そんな思考に行き着く私はやはりこうなるべきだったのかな。
これは当然にして当たり前のことなんだろうか。
私が何をしたの?神様の悪口を言ったから?
それで神様は怒って私に意地悪をしてるの?
もしそうだったらごめんなさい。本当にごめんなさい。
謝るから許して下さい。お願いします。
もうしませんから許して下さい。
私の罪を許して下さい。
私を救って下さい。
今私は生きている心地がしません。
生きて呼吸もしているし手足も自由に動くけれど、まるで死んでいるように生きています。
生きていることが辛いです。
苦しいです。
呼吸の一つ一つが苦しいです。
こんなに生きているのが耐え難いものならば生きていたくなんかないと思いました。
こんな命なんかいらないと思いました。
死に向かって身を投げようとしました。けれどできませんでした。
そのときになって私は気付くのでした。
私は生きたくはなくても死にたくもなかったのでした。なんて自分勝手なのでしょう。
人間である以上死にたくないのならば生きるしかない。
私はその狭間でさ迷い苦しみました。生死をさ迷うとはよくいったものです。
私は結局今を生きることにしました。
私は死ぬのが怖かったのです。
だって「死」って痛いでしょう?まず最初に連想するのは痛みでしょう?
死の苦しみなんて私にはきっと耐えられません。
次に来るのはもっと酷いです。
「死」は汚いです。
決して綺麗な「死」なんてないです。
私の「死」は晒し者にされいい見せしめとなり私は侮辱を受けるでしょう。
嗚呼そんなのは嫌。
人間の「死」は特に汚い。
「死」と唯一闘える人間だからこそ見るに耐えない。
人間の「死」は人間が「死」に負けた証だからです。
今はインターネットで色々なものが見られます。
私はパソコンの液晶画面に人の「死」をたくさん見つけました。
それはそれは酷い「死」ばかりでした。
それを見た他の人は口を揃えてこう書き込んでいました。
こうはなりたくないねって。
私は益々「死」に嫌悪を抱くようになりました。
どんなに足掻こうがいつかは死ぬのにですよ。
笑えますよね?
死にたくないからせめて生きている自分を好きになろうとしました。
無駄でした。そんなこと私にはできはしませんでした。最初から無理だったのです。
元々生きていたくなかった私なのですから。苦しい。
どうしようもなく苦しい。
本当に苦しいのは救いなんかないことだと思いました。
最初から救いようのある苦しみなど苦しくないじゃないですか。
もう少し我慢すれば楽になれることが分かっているなら私だってこんなに苦しくはないです。
嗚呼。まただ。私は今誰か分からない者の悪意に晒されています。
誰かが自分を傷つけるべく悪意を向けているということがすでに耐えようのない苦しみでした。私にとっては。
そんな間違いが起こらないように今まで頑張ってきたとゆうのに。
私は誰かに苦しむことを望まれていたのでした。
このことを他の誰にも知られたくない。
彼にも彼女にも知られたくない。もし知られたら。
あの二人は私のことをどう思うでしょうか?
もしかして助けてくれる?
いやいやそんなことがある筈ありません。
あの約束は口先だけの絵空事です。
言うだけ言っておけば表面上は綺麗に纏まるからそうした迄の中身のない誓いでした。
きっとこのことが知れれば二人は私から離れていくに違いない。そうに決まっている。
誰が面倒事に自分から巻き込まれたいと思うでしょうか。あの二人に限りません。
私の周りにいる人は私を見捨てるでしょう。そんなことがあってはならない。
今まで積み上げてきた私の努力が無駄になるなんて許さない。絶対許さない。
それだけは許してはならない。これはきっと試練なのだ。
神様が私を試しているのだ。
私がこの逆境を切り抜けられるか見たいと言っている。
私には聞こえます。
ならば一人でやるしかない。
自分一人で誰の助けも受けずに。
私の問題に他人を巻き込むわけにはいかない。
これは私のエゴなのですから。
さあやろう。立ち上がるんだ。
見ていろ私だって黙ってやられてばかりじゃないことを思い知らせてやる。
そして後悔させてやる。
私を追い詰めたことを。
お前を追い詰めてから後悔させてやる。嗚呼今から楽しみだ。
精々私を楽しませてくれなきゃ酷いよ。