表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
こ稲荷さんの異世界生活  作者: うらら
第一章  異世界コンコン、こんにちわ
23/23

第22話 森の聖域 


 誤字報告ありがとうございました。

 

 


 森の中に入り特別な薬草を探しに来たはいいものの、全くと言っていいほど目当てのものは見つからない。


 まじか……こんなにも見つからないものじゃろうか? 薬草と言ったら、その辺にぽこぽこ生えてる物ではないのか? 妾の嗅覚でもそれらしいものを全然捉えられないのじゃ……


 そういうイヅナたちは森の中をおおよそ数十分ほど探索していたのだ。

 簡単に引き受けてしまったとイヅナは後悔するが、ここはヒナの為にも一踏ん張りする。


 しかし、当のヒナは限界が近づいていた。


 かなりの時間歩いているので幼い子供のヒナは既に疲れが見えてきていたのだ。


「ちょっと、イヅナおねえちゃん。休憩にしない? ヒナもう歩けないかも」


 そう言うヒナの髪をまとめて(あらわ)になった頬にはかなりの汗が流れていた。


 イヅナもヒナに言われるまであまり気にならなかったのだが、どうやら少し疲れがようなのでちょうどいいと思い休憩を取ることに。


 ヒナと自分の身体能力を比較していなかったイヅナは反省する。身長などは同じでも、やはりヒナはまだ子供なのだ。


「そうじゃな、ヒナにはちと厳しかったな。あっちの方から水の音がするのじゃが、そこで休むとするか」


「やったー!」


「これ、あまり森では大きな声を出すでない」


「あ、うん」


 軽く注意するイヅナの言うことを素直に聞き、反省をするヒナだった。




 森の中を少し歩いて水の音が聞こえたという場所に着くと……そこは森の中の聖域とも言うべき場所だった。


「わぁ〜」


「ほぅ、こんな場所があったとは」


 イヅナたちが辿り着いたそこは、森の中にひっそりと存在する神秘的な湖。そこは森に住む全てのものが安らげる一種の聖域と呼べる場所だった。現に湖で休んでいる本来敵対関係にあるはずのウサギ、鹿、熊、様々な動物が争うことなく静かに身体を休めている。


 あまりにも神秘的で綺麗な光景にヒナはうっとりと目を緩めている。


「きれいだね、おねえちゃん」


「そうじゃな」


 動物たちがいない湖の近くまで近寄り、そこで腰を下ろしてイヅナとヒナは森を歩いて火照った足を湖につけ冷やし始める。


 その様子を見て初めは突然現れた人間に警戒していた動物たちも、イヅナたちが何もしないのだと分かるとそのまま各々寛ぎ始めた。

 そこは誰も喋ることも、鳴くこともない。世界から切り離されたような奇妙な感覚が二人を襲う。


 周りの様子に襲われる心配はなさそうだと感じたイヅナは、湖でくつろぐヒナに注意を向けながら森の空気に身を委ねる。


 ゆっくりとイヅナの身体が周りの森と同調し始める。

 今イヅナが行なっているのは、仙術における世界との同調、人が神に至る為の技と呼ばれるものだ。

 イヅナは元々神だったので関係ないが、これをする事によって世界とは言わないが森の一部の気、妖力もしくは魔力とも呼ばれる世界に揺蕩うものと同調し目当ての薬草をなんとか探し出そうとしているのだ。簡単に言うと強力な魔力感知とか探し物探知機というわけだ。


 初めからこうすれば良いのではないかと思うかもしれないが、この技を使うには集中力がいる。森の中で使うには危険が多すぎるのだ。


 イヅナの気配が段々と薄くなっていき、遂には見つけようと思わなければ誰にも気が付かれない域にまで達した。


 そこでイヅナは意識を覚醒させ、目当ての薬草を探そうと森の中を探り出した。目当ての薬草は事前にヒナから聞いており、イヅナ一人でもなんとかなりそうだった。

 こんな事ならヒナは町に置いてきても良かったが、ヒナのお陰でこんな神秘的な湖にたどり着いたのだから良しとしよう。


「さて、目当ての薬草はどこじゃ?」


 森の中の気配を探り出すイヅナ。

 森には魔物、普通の動物、様々な植物と生命力に満ち溢れていた。


 しっかし、この森の生命力やら広さやら、異世界というのはとんでもないのぅ。人が森を切り開かないでいるだけでこんなにも自由に、そして幻想的になるもんなんじゃな。言うなれば、ここは一種の太古の森とも言えそうじゃ……いや、異世界だとこんなもんか? ん?


 イヅナが森の壮大さに想いを馳せていると、イヅナの魔力感知にある大きな魔力が反応した。魔力の総量で見るとイヅナの数倍、いや数十倍はあるかもしれない、ステータスに直すと魔力値Bはあるかもしれない。


 そんな強大な魔力を持つ生物が猛スピードでこの湖に向かってきているのだ。


 慌てて同調を解きヒナを引き連れてこの場から去ろうと行動に移す。


 もしや妾たちがこの場所に無断で入り込んでしまったのが原因か!? 動物たちの楽園とも呼べるべき場所に人である妾たちが勝手に入り込んでしまったのは迂闊じゃった!

 妾としたことが、こんな初歩的なことも忘れていたとは、どんな生物であれ縄張りを持つものであれば許可もなしに勝手に入り込むなど愚の極み、普通の動物でさえ知ってることなのに……


 そんな悠長なことを考えている間にも、あの強大な魔力を持つものはこちらに向かってきている。


「ヒ、ヒナよ! 急ぐのじゃ、早くこの場から出るぞ!」


「ど、どうしたの、おねえちゃん!? そんなに慌てて何かあったの?」


「どうやら、この湖の主を怒らしてしまったかもしれないのじゃ……」


「湖の主? 湖の中にはそんな生き物はいないよ?」


 湖の中を覗き込むヒナ。

 湖は澄んでおり、底の方までくっきりと見えるほどだったが、主と呼ばれる生物はおろか生き物が泳いでいる気配がないのでヒナは不思議に思う。


 今の自身では敵わないであろう敵を前にイヅナはヒナを連れて逃げることに焦っていて気配察知を怠っていた。


「いや、違う。湖の中じゃなくて外からじゃ……そんな事は今はどうでもよかろう、早くこの場から去るぞ」


「あっ……」


 ヒナがポツリと言葉をこぼす。

 その目線はイヅナを見ておらず、その上を見ていた。


 恐る恐るイヅナは腰に差した刀に手をかけながら振り返る。


 すると、そこには……



 お読みいただきありがとうございました。


 是非評価・コメントの方よろしくお願いします。

 今後の参考にさせていただきます。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ