目覚め
「おはようございまーす。朝ですよー。おはようございまーす」
(もう少し寝たいのに。あれ?なんか寒い)
なんと、ルイが目を開けるとそこは森の中だった!
「ええ!?なんで森の中にいんの!?」
「今日からここでトレーニングをするんじゃ!安心せい!寝たままここに連れてくるからの。行きの心配は無用じゃ!」
「いやいや!そういう問題じゃないでしょ!明日もここに来れるかな?なんて心配してないよ!」
「そうか!ならば良し!さっそくランニングじゃ!早よ寝巻きからそこにあるジャージに着替えるんじゃ!」
「じいちゃん!最近おかしいよ!どうしちゃったの!?」
「何がじゃ!?大賢者になりたいんじゃろ!?わしは先に行っとるぞい!」
シュッ!
じいちゃんは風を切る音と共に、森の奥へと消えていった。
(最近のじいちゃんどうしちゃったんだろう。明らかに様子がおかしい、、、)
そんなことを考えながら、ルイはとりあえずジャージに着替えた。逃げ出そうにも帰り道が分からないため、仕方がない。
(先に行っとるぞって、どこ行ったんだよ、、、)
じいちゃんが通ったであろう跡を頼りに森の奥へと進んでいく。
(それにしても凄い森だな。原生林ってやつ?あっ、やっと見つけた。あれ?)
森の奥へと進んだ先には、じいちゃんと何故かブチブチが待っていた。
「お、やっと来たの。ちゃんと走ってきたかの?」
「じいちゃん!ちゃんと説明してよ!なんか最近変だよ。なんか焦ってるみたいな、、。何があったの?」
じいちゃんは、何も答えない。
(はっ!まさか、どこか体が悪いのか?だから最近様子がおかしいんだ。)
「じいちゃん、もしかして体が悪いの?なら、ちゃんとそう言ってよ!家族でしょ?じいちゃん。」
「大賢者になりたいか。」
「え?今そんな冗談言っ」
「大賢者になりたいか、なりたくないのか、どっちだ。」
じいちゃんは真剣な眼差しで言った。
「なれる?」
さまざまな思いが巡る中、結局ルイはそう口にした。
「なれる。何も言わずについてくるならば。」
ルイは、小さく頷いた。
この時、ルイは本当のじいちゃんに初めて会った気がした。
「よし!そいじゃ、今日から毎日ブチブチと戦ってもらう!もちろん、武器はひのきのぼうのみじゃ!」
「ええ!それって大賢者と何の関係が?」
「ん?何か言ったかの?」
(さっきと雰囲気が全然違う、、、)
「ほいっ!ひのきのぼうじゃ!」
「わっ」
「そいじゃ、スタート!」
じいちゃんの掛け声と同時にブチブチが走り出す。
「ガウガウ!!!」
「うわっ!」
(本気だ、、、食らってたら死んでたぞ?あれ?なんで避けれたんだ?)
「ルイ!本気でいくんじゃ!殺すつもりでいくんじゃ!)
(殺すつもりでって、そんなの無理だよ!)
「ガウガウ!!!」
「くっ!」
(絶対殺すつもりで来てる!これ!なら、こっちも!)
「おりゃー!!!」
ミス!テレレレン♪
(やっぱり出来ない!)
「ガウッ!」
ザシュ!
ルイが目覚めると、もう家の中だった。
(あれ?また気絶しちゃった?)
「お、起きたみたいじゃの。調子はどうじゃ?朝食できてるぞい!」
「う、うん。」
時計を見ると、まだ7時を回ったところだった。
(あ、そうか。まだ朝だったんだ。なんかもう昼くらいの感覚だな。)
朝ごはんを食べていると、スマホに通知が来た。
ピッ!
(朝早くからなんだ?)
アサ これやばくない?
(動画?)
ルイは、再生ボタンを押した。
(なんだ?これ)
そこに映っていたのは、青い謎の形をした生き物だった。
イブニア なんだこれ?CG?
サト そうだろうね
アサ でも、よくできてるよな
イブニア 確かに。めちゃくちゃリアル
サト 同じく
(最近の映画のCGってめちゃくちゃ凄いもんね。っと。でも、どっかで見たことあるような)
アサ なんか、じいちゃんのカレーに似てね?
イブニア 確かに。ちょっと似てるw
サト 同じく
(そうだ。思い出した。ほぼ青スライムそうめんじゃん。)
「じいちゃん!これ見て!ほぼ青スライムそうめんだよこれ!」
すぐさま、ルイはじいちゃんに動画を見せた。
「うむ。これは、間違いなくスライムじゃな。思ったより早かったみたいじゃ。」
「早かった?どういうこと?まさか、これじいちゃんが作った動画なの?」
しばしの沈黙が流れた。じいちゃんは真剣な表情で話し始めた。
「もう、話さなければいけない時なのかもしれん。ルイ、少し昔話を聞いてくれないか。」
ルイは、小さく頷いた。
じいちゃんは話し始めた。




