手紙
不意に、夜が明るくなりました。
誰にも予測できなかった流星群が夜空を満たし、雨の様に多くの光が流れ続ける様を、皆がその光を浴びます。
願いを唱え続ける人、ただただ見入る人。
その中で、その流星群を細かく分析する人々がいました。
天文台の中で、あまりに予測ができなかったこの流星群をあらゆる機械を作動させ観察します。
相当広い範囲で見られる事、かなり明るい事。それはすぐにわかります。
続いて、一定のリズムがある事に気づいたのです。
漆黒の誰にも見えない宇宙。
かろうじて光が照らすその一角で。
…………やあ
――――やあ
…………君は、僕たちとは違うね
――――うん。
それは光を持たない星が初めて見る星でした。
他の星々のように丸みを帯びてもいなく、ずいぶんとんがっていて、見た事のない模様までついています。
――――ぼくは飛んでいくんだ。遥か遠くの誰かの元へ。
…………僕も飛んで行っているよ。でもどこにも誰もいない。
――――ぼくはみんながいるところから飛んで来たよ。そして手紙をみんなへ届けていったんだ。それもう届ける事はできないけれど。
別な手紙をどこかの誰かに手渡すんだ。
…………誰もいないのに?
――――うん。
……………………………。
――――ぼくの使命だから。
…………わかった。もう何も言わないよ。
でも、君の言うみんなの元へ、僕は行くよ。
君が頑張っているのを伝えたいんだ。
――――ありがとう。
天文台の人たちは気づきました。
それは二つの符号しか使わないで意味を表すモールス信号が隠れていた事に。
意味をすぐに調べます。
「ボイジャーは元気だよ」
遥か昔、遠い宇宙へ旅立った人工衛星の名前がそこにはありました。