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クーリンの街1

 林を抜けて、視界がよくなり横に長い壁が見えてきた。ニックさんによると、人口は1万人ほどの街でこの辺では一番大きい街らしい。


「よし見えてきたな、あの橋を渡れば検問所だ、そういえばさっき『神獣がでた』なんて言っちまったが大丈夫だろうか?」

「問題ないよ、すでに風魔法で報告したから」

「忘れてた、ジョンはクーリン偵察騎士だったな、今考えるとクーリン騎士団が理由もなくひとりしか派遣しないなんてありえないな、あの時は混乱していた」

「しかし、神獣とは言わずとも、ニックが必死に逃げてくるくらいだ最低でもBランクはあるだろう」

 

 冒険者ギルドは人以外に魔物や魔道具にもランクをつけているそうだ。

 まあ、あれは実は神獣なんてとてもじゃないけどいえないね。


「数日中には調査はされるだろうよ」

 

 私のせいで大事になりかけているが、真実を伝えてもいい笑い話だろう。ここは心の中で謝ることにしよう。


 さて、そんな話をしていると検問所についた。検問所には鎧を着こみ自身の身体より少し大きな槍を持った門番が2人いてこちらを見ている。

 すると門番はジョンさんのほうを向き挨拶をする。


「「お疲れ様です!!」」

「おう、お疲れ様」


 どうやら本当に報告は届いているらしい、風魔法というやつはなかなか便利そうね、機会があったら教えてもらいたい。

 門番を通りすぎ検問所についた、そこには窓口が2つありそれぞれ役人さんが対応していた。


「あと3人待ちだからすぐに街に入れると思うよ、記憶喪失の件はこちらから言っておこう」

「ありがとうございます」


 1分ほど待ち、私たちに順番が回ってきた。


「俺たちが先に行くからやり方をみときな」

「やり方も何もお嬢さんは通行証を持っていないだろ?俺が行った窓口の次に並ぶといい」


 私はジョンさんに言われた通りに後ろについていった。少しすると、ジョンさんはこちらを向きウィンクをした後ニックさんのほうへ向かっていった。本当に大丈夫なのだろうか?

 窓口の前に私は立った。


「通行証を発行するので、お名前と職業をお願いします」

「セリカといいます。職業はありません」

「では、職業の欄は空白にしておきますね、職業が決まった時に書き足しましょう」


 窓口のお姉さんは、ニコニコの笑顔で私に言いながら。通行証らしきカードに判を押す。


「では、こちらの通行証をどうぞ、この国で1年間有効の通行証です、なくしたりすると結構高い罰金になるので気を付けてくださいね」

「はい、ありがとうございます」


 私は、通行証を受け取り、ニックさんたちの後を追った。


「ジョンさんは偉い騎士なんですか?」


 私は、すんなり街を通してくれたことと、さっきの門番の態度から推測した。そこでニックさんが口を挟む。


「ジョンはクーリン騎士団の役職もちだ、クーリン騎士団の役職もちとなったら、少なくともクーリンではみんなが信頼する」


 ジョンさんは照れ臭そうにそっぽを向いている。ジョンさんすごい人だと改めて実感する。


「すまんが俺はやることがあるんだ、この辺でさよならだ」

「俺もまだ仕事がある、またどこかで会ったときはよろしくな」

「はい!ニックさん、ジョンさんいろいろとありがとうございました、また会えた時にニックさんにはお金返しますね!」


 少し寂しい気もしたが、ニックさんとジョンさんにお別れを告げる。


「金なんて別にいい、ジョンもまたな、仕事頑張ってくれ」

「おう、久しぶりに会っても元気そうでよかった、またな」


 2人とも去っていった。

 

 さてと冒険者ギルドに向かわないと。

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