魂を集める理由2
「この何も無い空間が?」
周りを見渡しながらセリカが言う。
するとルーレンは「机」「椅子」と呟いた。すると何もなかった空間に机と椅子が現れた。
「この空間はボクの好きになるんだ!ちょっとしたお茶にしようか!」
とルーレンが言う、どこからともなく現れたティーセットにお茶を注いでいく。
「さてと、少し整理するね、セリカの魂は何らかの原因によってバラバラに散らばってるって考えるのが良いのかな?」
「私には分からない、けど魂が他の欠片を探してって叫んでる気がするの」
「今のセリカの目標は他の魂の欠片を集めて自身の記憶を取り戻すでいいのかな?」
セリカはティーカップに入っているお茶を見ながら考える、暫し沈黙が流れた。その沈黙をルーレンが破った。
「そういえば言ってなかったけど、セリカがこの世界の脅威になる存在だとボクが思ったら徹底的に潰すからね」
下を向いていたセリカはルーレンの方を向いた、ルーレンは笑顔だったが、その目は本気だった。
「すごいよね、魂だけで魔力で身体作っちゃうなんて、周りの魔力が無くならない限り無敵じゃないか、ほんとに別世界から来た神だったりして」
ルーレンは続けた。
「でもこの世界の魔法は使えないみたいだね、普通神とか天使とかのレベルになると固有魔法がどの世界でも使えるけどその固有魔法も忘れちゃった?」
「私がこれから脅威になるとしたらどうする?」
「うーんと、この世界から出てってもらうか、魂ごと消し去るかな」
「そう……ひとつお願いがあるの」
「なんだい?」
「魂を集めるのに協力して欲しいの」
「それは元からするつもりだよ、面白そうだからね!でもボクは現世にはあまり力が干渉できないんだ、神の決まりってやつ、でもできる範囲なら」
そう言ってルーエンはセリカに何かを唱える。
「今、魂にこの世界の魔力の使い方とボクが司る雷の魔法の使い方を刻んだよ!」
「ルーエンほんとにありがとう」
ルーエンは照れながら言う。
「全然いいよ!あと魂を探すんでしょ、そうすると探す宛てが大事だよね」
ルーエンは顎に手を当てて悩んだ、すると紙とペンが降って来た。
「ここが今いる場所でこっちがクーリン、ここから東に行くと願いのダンジョンって所があるんだ、この願いのダンジョンはね、七神のみんなと作ったんだよね」
リーレンが懐かしそうに言う。
「ここはね、探し物とか未来の占いだったりとかが人生に1回だけできるんだよ、まぁ、あまり好ましくないことに使われないようにはしてるけど、そこに行けば探し物くらいならできるんじゃないかな?」
「では、そこまで運んでくれませんか?」
セリカが言った、リーレンが少し悪びれた顔をしながら言った。
「ごめんね〜、神の決まりと言うやつでそれは出来ない、あまり現世に影響ありそうなのはできないんだ、魔法を教えるのもグレーなのにそこまでしたら他の神が黙ってないかもなんだ」
「いえ、ここまでしてくれて本当に感謝してる、本当にありがとう」
「どういたしまして!そろそろ時間だね、願いのダンジョンでまたこの神の部屋に招くよ!」
セリカが瞬きをした時そこはさっきいた、木々が生い茂る林だった。
「お嬢さーん」
ニックの声が聞こえる。
セリカはそれに答える。
「私はここです!」
小走りで向かってくる足音が聞こえる。
「お嬢さん、さっきの神獣は?」
ニックが不思議そうに周りを見渡す。すると別の足音がこちらへ向かってくる。
「おーい、ニック」
「おっ、ジョン来たか周りはどうだ」
「所々焦げてる箇所がある、だけどそれだけで神獣とも言いきれないな」
「いや俺は見たんだあの目にも止まらぬ速さでこのお嬢さんに飛びかかる所を」
ニックが必死に身振り手振りで伝えようとする。
「ニックさんよお嬢さん特に何もないみたいだけど?」
「そんなはずは……」
セリカが口を開く。
「ニックさんさっきは助けを呼んでくれて、ありがとう、さっきの獣は林の奥に逃げたよ、ケガは奇跡的に無かったんだ」
ニックは納得いかなそうにしていたが、それ以上口には出さなかった。ニックにジョンと呼ばれていた鎧をきた男が言う
「お嬢さん、名前は?」
セリカは綺麗な目を輝かせながら待っていましたと言わんばかりにはっきりと言った。
「セリカです!」
ニックは驚いた目でこちらを見ていた。
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