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ブレメーンシリーズ

にくの、でんしゃ ~もうひとつの、けつまつ~

作者: NiO

よまなくてもいいけど。


にくの、でんしゃを、さきによんでいると、もっとたのしいよ。


このおはなしは、にくの、でんしゃの、だれもしなない、ばーじょん。



にくの、でんしゃ。

https://ncode.syosetu.com/n3639gk/

 二つ隣にある駅のスーパーが安売りをしていたので、買い物をして戻ってきたのが午前11時。


 3歳になる息子と手を繋いで帰りの電車に乗ろうとしたら、息子は怯えながら、呟いたのであった。




「にくの、でんしゃが、きた」




 ……と。




 やってきた電車は、普通の電車であった。



 長男は怯えているが、別に、何の変哲もない電車である。


 

 私は、考える。



 12時には、お気に入りの連続テレビドラマが始まる。



 残念ながら、録画はしていない。



 なんとしても間に合いたい、ところでは、あるの、だが。



 長男は大声で泣き喚き始めた。



「にくの、でんしゃが、みてる(・・・)!」



 と。



「あ、すみません、大丈夫ですか? 乗りますか?」



 駅員のお姉さんが、長男と私に、優しく、そんな言葉をかけてくれていた。



 ……この電車に乗らないと、ドラマには間に合わない、のだが……。




「いえ、大丈夫です、次の便で乗りますので……」



 流石にこの状態の長男を乗せるのは難しいだろう。


 はぁ、再放送とか、やってくれるかなぁ。






 私がそんな感情を押し隠したような笑顔を浮かべると、お姉さんは『わかりました』と頷き、電車を進ませるように、指差し確認を行った。


 息子は、依然としてぐずっている。



「にくの、でんしゃ、こわい!」



「ああ、うん、そうだね、怖いね」



 流石にここで泣いていると周りにも迷惑になるだろう、ちょっとトイレにでも移動しよう……。


 そんなことを考えて、ふと、目の前を見ると。


 電車が、まだ、出発して、いなかった。



「……?」



 訝し気に横へ視線を移すと。



 ……駅員のお姉さんが、驚いた表情を浮かべ、頭上で両腕を交差し『×』の文字を作っている。



 『電車は出発しないように』という合図だろうか。



 止めてくれるのはありがたいが、とても息子は乗れそうな状態ではないのだけれど。




「あ、ありがとうございます。


 でも、本当に大丈夫ですので、先に出発してもらっても結構ですから……」




 駅員のお姉さんは、そんな私の言葉を無視して(・・・・)



 息子に目線を合わせて、話し始めた。



「ねえ、ボク。


 ボクには、電車が、何か別のものに、見えるの?」



「にくの、でんしゃ!」



「あ、す、すみません。


 たまに、よくわからないことを言う子なんです!」



 電車を止めると損害賠償が物凄いことになる、と何かの本で読んだことがあった私は、慌ててそんな言葉を口走る。



「それは……この中の、どれ?」



 お姉さんはタブレットで何やら長男に見せており。




「これ!」




 長男は、迷いなく、そのうちの1つを、指差した。


 駅員のお姉さんは青い顔をしながら立ち上がり、「ちょっと失礼」とその場で携帯電話を掛け始めた。


 一体何事なのか、全く理解できない。


 こっそりとお姉さんの会話を盗み聞きすると、冒頭だけ、少し聞き取ることが出来た。



「もしもし、すみません、駅長。


 3番線ですが、『ツチノコ(・・・・)が出ました(・・・・・)






##########################





 その後、数分間、電車は足止めを食らった後、『整備の不具合』とのことで運航休止が決定した。



 私達はと言えば、その後駅長室で軽い事情聴取が行われた後、少しだけ今回の顛末について説明してもらった。



 どうやら息子が見た『にくの、でんしゃ』は『ノヅチ』という怪物で、電車に偽装して大事故を起こすことで鉄道関係者の間では知られているという。 



 『ノヅチ』は、子供には見える事があるようだ。


 駅長室には、子供たちが書いた『ノヅチ』の絵が何枚かあり、いずれも赤とピンクのクレヨンで書かれた、おぞましい巨大ミミズのような姿であった。


 更にミミズの体にはたくさんの目が付いており、電車でドアにあたる場所には大きな口と乱杭歯がいくつもいくつも付いていた。


 なるほど、確かに、これを見れば。


 生肉の積み重なった、気味の悪い電車に見える、かもしれない。


 先ほどまで号泣していた長男は、すっかり元気を取り戻しており、そんな子供たちの絵を見て、笑顔で声をあげるのだった。






にくの(・・・)でんしゃ(・・・・)!」






 ……と。



############################



 駅長から金一封と、タクシーチケットを貰い、帰宅することになった。



 わけのわからない状況に巻き込まれたことへの緊張感と、一先ず電車を止めたことに対する賠償金を請求されないことへの安堵感で、私はすっかりふらふらになりながら自宅へと歩みを進めていく。



 ふと。



 何故か長男が、家の前で立ち止まり。




 またもや、何故だか泣き始めた。



 泣きたいのはこちらの方で、今すぐにでも寝たいのだが、きっと彼もまた、今回のことで心が傷ついたのかもしれない。



「今日は疲れたから、お風呂に入って、一緒にお昼寝しようか」



 私が笑顔で息子に声を掛けると。



 息子は泣きながら、首を振り……。





 ……そして(・・・)叫んだ(・・・)









にくの(・・・)おうちが(・・・・)ある(・・)!」

誰も死なないVER(ハッピーエンドとは、言ってない)


にくの、でんしゃ。


野槌の亜種。


百目や百目鬼を吸収し、複数の眼を持っている。


十年単位で目を覚まし、電車に擬態して大量に捕食・・した後、再度長い休眠に入る。




NIOさんチャレンジ、やってます。


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― 新着の感想 ―
[一言] てことはにくの、でんしゃ通常verは親子お亡くなるのか?それとも阻止されたから電車から家に鞍替えしたのか?怖すぎる...ひぇぁ(ラップ風)
[良い点] こっちはよりゾクッとしました...! [気になる点] お母さんどうするんだろう. 流石に怖くて家に帰れなさそう.
[一言] にくのおうちで大草原
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