痛快で愉快な仲間たち
「ふむふむ。おいおい、カケルちゃん。最近さ、珠蘭エリアを管轄する製造部あたりからPCとかデータの紛失に関する届出とかってなかった?」
カケルは昨日アカリお嬢様を無事に香浜に送り届けてアケチ・コーポレートセキュリティーサービズの本社が入っているアケチ財閥のビルに出社し自分のデスクで警護報告書を書いていたところ、ゼロこと上司のサイトウがそう言って、タカノの机の上に資料を置いた。
「へぇー。内定調査はすんでるんだぁ~。さすが、サイトウさんやるね」
そう言って、カケルの机の上に置かれた資料をプランセスことアカリお嬢様が手に取って笑みを浮かべた。
そう、アカリお嬢様はこのカケルが所属するアケチ・コーポレートセキュリティーサービスのチェアマンでアケチ・グループの保安を担当する実質私兵部隊のトップだ。参謀として凄腕の右腕としてそっち系のノウハウに長けてる警察出身のゼロが引っ付いてる感じだ。
「プランセス。これってもしかして、例の新製品のデータが合菱電子に漏れたととかどうとかの事件の話ですか?」
そう、興味深々そうに丸刈りの短髪の大男がプランセスが手に持った資料を眺めていた。
「え、もしかしてジャックも気になったり?」
プランセスはそういって、大男のジャックことゴウヤマ・タケシに資料を手渡した。
彼もサイトウと同じく警察出身で、ただ刑事畑ではなく特殊部隊員出身の人物だ。見た目の割にシャイで繊細な一面を持ってる。
サイトウはそんなジャックをいじるのにハマってたりする。なんだかんだで同じく警察出身だけあって仲がいい先輩と後輩という感じだ。
「はいはい。お嬢様!そろそろ学校に行かないとダメですよぉー」
そう言って、如何にも真面目を絵にしたようなボブヘアーで黒縁の眼鏡をかけた女性がプランセスの肩をポンポンと叩いた。
それを見ていたサイトウは笑みを浮かべて手を振ってこう言った。
「お嬢の警護は今週はユイちゃんだったな〜。ちゃんと調べておくから学業に集中してくださよぉ〜」
「え、でもぉー!嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ」
プランセスがそう駄々を捏ねるが、ユイちゃんことキンジョウ・ユイは部屋の外へ出そうと引きずりはじめた。
ユイはこのチーム内においては、プランセス姉みたいな存在だ。空手の世界大会で優勝した実績を持つ人物で実業団チームを引退後にサイトウが引き抜いた人物だ。
トップスリートだけあって身体能力は並みの人間以上のため、プランセスもいとも簡単に引きずって行けるが....今回はそれなりに苦戦しているようだーー
「行きますよ。アカリお嬢!」
「ヤダヤダヤダ!....ちょユイそれはやめ、やめてぇぇ!」
ユイはプランセスの脇を掴んで部屋から引っ張り出していった。ユイはプランセスの弱点も承知のようでそれを使ったようだった。
「サイトウさん!やっといてね!!もーユイやめてよw」
プランセスはくすぐられる形でそう笑いながら、ユイに引っ張られて部屋を出て行った。
「サイトウさん。今日の出勤者は...サイトウさん、ジャックさん、カケルさん、ユイさんに俺だけですかね?」
そう言って、リクルートスーツに身を包む一番最年少のハヤマ・ヒロキはキョロキョロしながらそう言った。
彼は、大卒の新卒採用で半年前までこの会社の別の部署で緊急対処員をしていた。
特技持ちの中のこのチームの中で唯一の凡人強いて言うならセキュリティーシステムに詳しくて新しい物好きという異色の人物だ。
サイトウはそれを聞いて首を振ってこう言った。
「いやいや、ヒロキ。軍出身組の2人は一人は出張中でもう一人は休みだぁ」
それを聞いて、ジャックは資料をカケルに手渡してこう言った。
「あれ、もしかして出張してる一人ってエリックさん?」
サイトウはそれを聞いてうんとうなずいてこう言った。
話に出たエリックさんとはエリック・マスダの事でオーストラリア陸軍特殊部隊出身の人物でサバイバルと隠密行動が得意。素晴らしいぐらいのカメラマンで尾行や張込を担当している。
「絶賛、この事件に関して張込中。なぁーヒロキ!
この社員のここ1ヶ月の研究所と入退室情報とCCTVを洗い出してくれないか?
バックグランドチェックは俺がするからさぁー」
「はい!喜んで!」
ヒロキはそういうと、サイトウは笑みを浮かべながらこう言った。
「おいおい。ここは居酒屋じゃねーんだぞw
カケルとジャックは、合菱電子の周辺について調べてくれないか?
多分、流出しデータはどこかしらの合菱のグループではないフロント企業を経由してるとは思うんだ」
カケルはそれを聞いて、ジャックが読み終えた資料を手に取って目を通しながらこう言った。
「まとめたら、調査部に投げて大丈夫ですかね?」
サイトウはコーヒーカップを手にとてもコーヒーをすすりながらこう言った。
「そうだな。
俺たちの仕事は漏れたデータの抹消か回収だからな。社員の云々は親会社の仕事だからな
それにしても、今日はギャルミはお休みかぁ〜」
サイトウはそう言って自分のデスクに座ってパソコンの電源を入れた。
ギャルミとは、ミト・マコという名前で、元航空自衛軍出身の機械関係のスペシャリストで、本日はお休みだ。ユイとは正反対の見た目をしてるおしゃれなギャルのようなファッションをしている。
ちなみにサイトウとエリックは40代前半、ジャックは30代後半、カケルがギリギリ20代、ユイとマコはそろそろアラサー、ヒロキが22歳という感じだ。
彼らがプランセスの直属のスペシャルチームで、痛快で愉快な仲間たちだ。
ジャック「いよいよ始まりましたね!どんな話展開していくんでしょうか?」
ゼロ「さぁーなどうなんだろうかな?一応、俺たちの仕事は明智財閥グループのいろいろな会社資産を守る事が主な任務だからな。
俺たち警察上がりの出番が多いんじゃないのか?」
エリック「そうでもないらしいぞ...Actionとかも満載だとか...」
ゼロ「エリックお前。張込みはどうしたんだよ...顔にドーラン塗ったままで出社してくるなよ」
エリック「おっと、ごめんなさいさい...自分の出番なかったから慌てて出てきてしまったよぉ〜」
プランセス「まだ、話のプロットも固まってないんだって...」
ゼロ「おいおい嘘だろ」
タカノ「なんだかんだで『兼業勇者の日常』を描きたいだってさ」
ゼロ「なんて他作品のお前がちゃっかり出てきてるんだよ!」
タカノ「世界線は繋がってますからね〜気にしない、気にしない。ちなみに出演予定ですよ俺。敵役ですが」
マトバ「こんにちは、初めまして香浜警察局SAR隊長の的場です〜」
プランセス「ややこしくなるからファンタジーとロボットSFは引っこんどいてよ。これ私の物語なんだから!」
カケル「あの...主人公俺なんだけど.....」