音声取れたので王都に向かったのだが?
録音媒体を作ってから約8ヶ月。既に年度が切り替わり、シグレ姉さんは魔法学校を卒業し冒険者組合公認の育成場にいる。家族を守るため、日々鍛錬している。
そして私はようやく音声証拠を手に入れた。流石にタイミングがシビアでなかなか最初から盗み聞きするなんて出来ないから。
あとは王都の街に行ければ、あの家唯一のクレーヴェルの血脈の方が有利に立ち回れる。王都の街に行くのはアカツキさんに頼めば連れて行ってもらえるだろう。そこからは運だ、いざとなればアカツキさん1人は逃がせれるし私は時期魔王になるんだ、クレーヴェル家には悪いけど悪名くらい売ってやる。
よし、明日にでも決行だ。
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今は馬車に揺られて王都に向かっている、アカツキさんも一緒だ。あとはアプフェルに会いたいと仰られていたファルテさんと食事量調達をしたいというメイド、アカツキさんの信頼出来る護衛だ。
アカツキさんは既に事情を知っている。が、一応の為ほんの少し嘘を用意した。ヘアピンではなく、ネックレス…で誘導させ瓶の底を切り取ったものに魔法をかけてある。そう言ったのだ。実際にはどちらにもマーティンさんとメイドの会話を入れているが男性の声しか録音しない為ただの変な人のように聞こえる。
王都にはすぐに着いた。さて、やるべき事を済ませなければ…とその前に……
「アカツキさん、コレを持っていて欲しいのです。」
そう言って渡したのは瓶底、勿論さっきの話に出した物だ。
「これって情報の……」
「もしもの時、守れる確率が高いのは貴方です。お願いします。」
「……わかりました、私が責任をもって預からせて頂くわ」
よし、コレで少しは安全に移動ができる。
せっかくなので家では食べれない異世界ならではのものでも食べてから行こう。腹が減っては戦は出来ぬ。
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「おいしい……やっぱり肉は炭火に限る!」
串焼きを食べている。鶏はもちろん、豚や牛、鹿や猪や兎なんかもあるが、わたしが今食べているのは砂大蛇の肉だ。
砂大蛇は砂や日光から身を守るため硬い鱗と内側にある被膜で覆われ、岩などから受けるダメージを軽減するため肉は非常に柔らかく、更に骨が少なくちゃんとした処置方法を知っていれば皮膜から剥せるので初心者にも扱いやすいらしい。魔獣辞典に書いてあった。
味は柔らかくて食べやすいし美味しいのはいいが肉か魚かともわからない味に少し首をかしげそうになる。鰻と豚を足して2で割ったような、そんな味。
さて、串焼きは沢山買ったし食べながら目的地に行こう。