13歳に見えない人と買い物なのだが?
ユキノ・クレーヴェル10歳、日本だと小学5年生。今私はチンピラに絡まれていた所をラメール・トレーフルと言う美少年にも見えるかっこいい系の女性と私の持ち物を換金する為に、お互いの事を話しながらダラダラととある商会に向かっている。
「えっと、ラメールさんは……」
「メルでいいよ、私もユキノでいいかな」
「あ、はい!大丈夫で…」
「敬語もいいよ」
「あ、はい……じゃなくて、うん」
ラメールさん……じゃなくてメル…ちゃん?は王都の貴族で長女……と言っても三兄弟の2人目、兄と弟に挟まれているらしい。
「メル…ちゃんは、何歳なの?」
「私は13かな」
「へぇ、ぇえ!?13歳!?」
「……やっぱりでかいかな」
大きいです。身長も、その……そっちも、前世の私より……17歳の、私より……じゃなくて!
「いやいや、私のお姉ちゃん達よりも年下だから…こんなにしっかりしてるのに」
「そ、そうかな……そうでもないよ、家出したからね」
「なるほどなるほど、…!?」
この子は一体何なのだろう。身長はまぁ、ここにいるのアジア人だけじゃないし、てかアジア人もヨーロッパ人もいないし大きい人がいてもおかしくない。
でも家出って、やっぱり貴族って頭おかしいのかな。
「メルちゃん誕生日は?」
「私は6月の35、もうすぎたね」
「少し前だったかー……お祝いできなかった」
説明していなかったがこの世界は偶数月36、奇数月37の10ヶ月で365日のサイクルがある、閏年はない。単純に考えて四季は2ヶ月半ずつ、6月は夏である。単純に考えると。因みに今は10月12日だ
「ユキノは?」
「私は2月の17ですよ」
「へぇ、せっかくだしその時は祝いたいな」
「え、あ、いいんですか?」
「是非、これも何かの縁だしね」
「嬉しい、楽しみにしてるよ!!」
そんなこんな、私達が平和な会話をしていれば商会にたどり着いた。
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商会でのやり取りは情報になる事もおもしろいこともないからまるっと飛ばす。色んなものを売った結果金貨7枚に銀貨45枚、銅貨7枚をゲットした、コレは物凄い大金だ。貴族の服、魔法の付与したいくつかのアイテム、この土地では珍しい装飾の万年筆等日常生活で使っていたものや普段の魔法の実験台になった物たちにいい値が着いたのだ。
具体的な数値を言うと、金貨1枚10万円、銀貨1枚1000円、銅貨1枚10円と言う計算らしい。つまり74万5070円ということだ。ただ貴族の服でさえ、私が前世で知っている1番高い4000万の服の足元にも及ばないとなるとありえない金額ではない気もしてくる。充分大金なのに。
因みに1枚1000万の白金貨や1枚10億もする金剛貨というものがこの世界には存在する。金剛は本来何より固いものと言う意味の筈だがこの世界ではダイヤモンド系統のみを指すようだ。
「こんな大金子供が持ってていいのかな……」
「いや、これからしたいことがあるなら十分じゃないかな。生かすためにも、生き抜く為にも。悲しい事にどのタイミングでもお金は大事になってくるからね」
「そうなんだ……」
この世界の13歳は大人びてる、そう思いながら私は小分けにしてお金をしまった。
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「んー、どれがいいかな……」
この服も早く脱ぎたいからとまずは服屋に向かった。魔王らしい服装…はさすがにまずいので普通の女の子らしい奴を選ぼう。
「ユキノは冒険者を目指すのかい?」
「んー、まだ決めてないけど戦えるようにはなりたいかな。」
「そっか。なら動きやすい服装がいいよね」
そう言いながらメルちゃんは服を選んでくれる。私も選ぼうとキョロキョロしていればとあるものが目に入る。大きなクローバーの飾り……いや、留め具の着いた青いネクタイ……だろうか。ソレに見とれていて入れば後ろから声が聞こえる
「ユキノ、それ気に入った?」
「ぎゃっ、あ、うん。クローバーには少し縁があるの」
「ふーん……、じゃあそれも買おうか」
そう言うとそのネクタイとシャツ、スカートやアームカバーや靴下等など……色々持ってきて私と一緒に試着室に入れてくる。きょとんとしている私に一言だけ言って笑う。
「着替えてから出てきてね」