死ぬときゃ一瞬なのだが?
17回目の夏、
ただの部活帰り。
なんてことない日常は私の不注意で消え去ってしまった。
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私の名前は北雪 よつば、すごく普通の高校の吹奏楽部にいるごくごく普通の17歳…だった
見渡す限りの白い空間、何も無い場所で水の中か無重力空間か床もないのに落ちる感覚もない…それでも苦しくない所にいる
きっとここが冥界までの道なのだと働かない頭で考えていれば人の声が聞こえてくる、少年のような声だ。
「あーあー、きこえますかー?」
「……だれ?」
「んっとねー、神様かな?」
普段なら何言っているのかこの子供は……等と愚痴をこぼすが今は死んでしまった後、何も不思議ではない。非常に軽いが…
「私って…死んだのかな」
「残念ながら」
「……なんで死んだかわかる?」
「分かるよ」
自分でも分からない死因、ソレを知れば何か思い出すだろうか。
「なんで死んだの?」
「熱中症」
「……え?」
「熱中症」
どうやら私は自分の不注意で命を失ったようだ。
そういえばコンクールも近かったし練習しっぱなしではあった
水分も取っていた記憶なんてないし…指定のジャージは黒めの長袖オンリー、練習時間5時間と家まで3kmもあるから往復6kmと、炎天下もあれば充分ぶっ倒れるだろう。
やってしまったというショックでがっくししていれば姿すら見せない神様的なにかが話しかけてきた
「よつばさーん、お願いごといいかな」
「あ、はい。なんでしょう」
「異世界、行ってみない?」
「ふぇ、ま、まじですか!?」
「まじです」
これはあれだ、異世界でチートスキルと共に無双して安泰を得れるのでは……!
「行きたい!え、え、どんなこと?何すればいいの?」
「わーお、かなり食いついてきたね。いいよ、教えてあげる」
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神様らしき少年の話を5つにまとめると
1、異世界で魔王討伐を行って欲しい
2、転生時は赤子で記憶はなく、5歳になるとコレから前世と称されるモノの記憶がもどる
3、もし魔王を倒す事が出来たら前世の記憶を持つものと共に戻るか居座るかを選ぶ事ができる
4、他にも転生者はいる
5、全面的にステータスがかなり高い
……とこの位だろう、まとめてもそこそこ長い。
まぁなんにせよコレから面白いことが起きそうなのは変わらない。魔王も驚くくらいエンジョイしてやろうではないか!
「んじゃ、転生させまーす。そうだな、ステータス構築したあと1番早く安全に生まれるところはクレーヴェル家かな。」
「クレーヴェル…!響きがカッコイイ」
「それじゃ、目を閉じてねー」
これからの希望に心躍らせながら言われた通りに目を伏せる
「それじゃいっきまーす!北雪 よつば、君の未来に光ささむことを……」
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白い空間のどこかにいる
彼女、よつばにとっては少年なのか神様なのか、悪魔なのかも分からない僕は言う
「ま、死ぬときゃ一瞬だけどね」
北雪 よつば(キタユキ ヨツバ)
胸少ししたまで伸ばされている黒い髪を後ろでまとめているメガネ女子、前髪はぱっつん
熱中症で死んでしまうが異世界へ転生する