透明少女と神様
何も不自由なんてなくて
誰も私なんてみえない。
私は透明人間というやつらしい
夏になるといたずらしたくてたまらない
あいつらときたら暗闇でちょんと触るだけで
幽霊だなんだって騒いでいる
こんなおかしいことはない。
るんるんと空を歩いているととある神様にあった。
神様なのかわからないが空の上にいたから
きっと神様なのでしょう
神様はこういった。
「地に足をつけたいとおもわないかね?」
地に足をつけたってね。空をとべる私は必要性を感じない
「地に足をつけるとなにがかわるの?」
「この世界にたてるようになる」
なるほど!わからない。まぁでも暇だしつけてみよっかなって軽い気持ちで承諾した。私は初めて君たちと同じこの地面に足をついた。一歩あるく。こんなにも固かったなんて知らなかった。しばらくはしりまわった。前に進むことができた。小さな男の子が追いかけっこして笑ってた。なんだかむずむずする。なんでだろう。
神様はこういった。
「みんなから存在を認識されたいとおもわないかね?」
存在とは。はて?不可視が可視になったところでなにがかわるのかな。ちょっと気になる。私は承諾した。
目の前の男の子がにまりとわらうと私の手を握った。
温かくてなにかがうまってくようなそんな気分。なんていえば伝わるのかな。私は手を握り帰した。そのあと追いかけっこをして息があがった。こんなこと体験したことがない。夕暮れになり男の子とはバイバイした。
神様はこういった。
「友達は欲しいとおもわないかね?」
友達?よくわからないが承諾した。きっと次も楽しいんだ。
次の日も次の日も友達がきて私とあそんでくれた。
でもある日パタリとこなくなった。
胸のなかが重くなる。苦しくなる。
神様はこういった。
「認められたいとおもわないかね?」
認めるって私を?元透明人間なんだけどもう透明にはなりたくない。即答で承諾してやった。
次の日、私はまた君に会えた。なんて素晴らしいことなのだろう。後悔はしなかった。
もう私は空をとべないし透明人間じゃないけれど。