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鳥かごの鍵  作者: 多景千紗
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ソフィアという姫

ソフィアはすぐに計画を立て始めた。

一応姫と呼ばれるだけあって、護衛や侍女の数は多い。それに加えて、ソフィアの部屋の窓は一つしかない。扉は言うまでもなく一つで、さらには外にはソフィア専属の騎士が立っているだろう。逃げても城から出る前にばれて捕まるのは目に見えている。

荷物も最小限は持っていかなければならない。ソフィアはここ10年、城どころか部屋からも出ていないのだから、外で何が必要なのかわからない。

ソフィアは考え、小さな鞄に、朝食に侍女が運んでくるパンやおやつの菓子などを集めて、お金の代わりにいくつかの装飾品、あとは用心して小さなナイフでいいだろうということでこの問題は解決した。

しかし、ソフィアの頭を悩ます問題はまだある。

一番の問題はソフィア自身だ。何しろ部屋から出ていないのだから、運動神経などあるはずもない。

そしてこの長い髪。生まれてから一度も切っていないために、伸び放題となっている。何度か切ろうとしたのだが、その度に侍女達に「そんな!もったいない!」と全力で止められるので仕方がない。結果今では床につくすれすれまで伸びてしまった。

逃げるためには切るのが一番だと分かってはいても、ここまで伸びるとかえって切るのを躊躇ってしまう。何より、侍女達への裏切りのような気がした。

「どうにかできないかしら…。」

ソフィアが唸っていると、コンコンとノックの音が部屋に響いた。

「どうぞ。」

「失礼致します。」

入ってきたのは、小さな頃からソフィアの世話をしてくれている侍女のマリネ。マリネは兄弟のいないソフィアの姉のような存在だった。

「お食事をお持ちしました。」

「うん、ありがとう。」

時計を見ると、もう7時を過ぎている。

あまりお腹は空いていなかったが、用意してくれたスプーンを手にとってスープをすくう。

ソフィアは無言での食事は嫌いな為、いつものようにマリネに話しかけようとした。けれど、珍しく口を開いたのはマリネの方だった。

「…食事中、失礼ですが…」

マリネの言葉に耳を傾けながら、スープを口に運ぶ。

「王が今日開かれている舞踏会にソフィア様を呼ぶように、とおっしゃっています。」

げふっごほっ、と思わずむせてしまった。なんてはしたない、とマリネに怒られたが、ソフィアはそれどころではない。

(今までこんなことは無かったのに急にどうして…。)

思い当たることといえば、今朝うっかり青い鳥に、城から出てみたい、などと話しかけてしまったことくらいだ。あの部屋には基本的にソフィア1人しかいないはずだが、まさか侍女や騎士の誰かに聞かれていたのだろうか。

(いいえ、逆にこれはチャンスかもしれないわ…。)

少し準備不足だが、仕方がない。

「マリネ…。王をお待たせするのは良くないわ。急いで支度を。」

ああ、そうだ、あの青い鳥も連れて行ってあげなければ。

ソフィアはそう考え、窓辺の鳥かごに優しく触れた。


前回よりも、だいぶ長いですが、たぶんこれからはこんな感じだと思います!

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