なんせアタシは最強だ。
本来なら存在するハズのない空間。そこには、その空間の主である『裏ボス』と、一人の魔法少女がいた。
「バカな……!? このわらわが小娘ごときに……? 」
あり得ないことに、押されているのは『裏ボス』の方であった。
本来なら複数人の魔法少女で挑む魔法少女最大の敵であるのが『裏ボス』である。
それも、『ラスボス』――コチラは魔法少女本来の最後の敵である――を倒した猛者中の猛者でさえ、複数人でなければ倒せないクラスの敵が『裏ボス』なのだ。
それを、たった一人の魔法少女が『変身』すらせずに圧倒してるのである。
すなわち、この魔法少女は本気すら出さずに『裏ボス』を追い詰めたのだ。
「いやいや、その小娘にここまでボコられてるあんたは、『裏ボス』失格じゃね? 最近の選定基準は随分と甘くなったね。まぁ仕方ないか……」
そう言って、少女は不敵な笑みを浮かべる。
「なんせ、アタシは最強だからね」
そして、ピストルの形にした指の先から、魔力の弾丸を放った。
この少女が、この物語の主人公の裕菜である。
この物語は、最強で戦闘狂〈バトルジャンキー〉な魔法少女である彼女の、より楽しい〈ギリギリの〉戦いを求める物語である。