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電子レンジ冷蔵庫ハシゴ

作者: テラ子さん

西暦20××年、世界は儚くも残酷に平和だった。

馬鹿な女が一人、いた。

男に騙されて預金をほとんど盗られて残金は二桁。

あるのは男と暮らしていた部屋だけ。

死のうと思った。

まず電子レンジに頭をぶつけてみた。

ゴツッ

痛い。

痛くて涙が出る。

女は馬鹿だから人生で何度も死のうと思っていたが、試したことは一度もなかった。

けれども今度の彼女は本気だった。

馬鹿なりに本気だった。

何度も何度も頭をぶつけた。

ゴツッゴツッゴツッ

朝から晩までずっと頭をぶつけていた。

頭にはいくつもコブができて、いつしか女は当たり所が悪かったか、ぶつけ疲れたのか電子レンジを抱えて眠ってしまった。

その夜、夢を見た。

そこは男と出会ったバーだった。

女はあの時と同じようにカウンターに座っていた。

そしてあの時と同じように隣に誰かが座ってきた。

あの男だ、女はそう思った。

女は馬鹿だったから騙されてもまだ男のことが好きだった。

きっとこれは神様が最後に見せてくれた奇跡なんだ。

感動に涙を流しそうになるのをぐっとこらえてゆっくり振り向く。

そこには電子レンジがあった。

「ワタクシは頭をぶつける為の道具なのではない、ワタクシは猫を乾かす道具なのではない、ワタクシは調理において万能と云えるがそのようなことを犯す道具などでは絶対的にない。即時、中止を。即時、中止を。」

きゃあ!

叫び声をあげて飛び起きた。

おかしな夢を見た。だけどどんな内容だったか覚えていない。

日はすでに高く昇っていた。

傍らにはベッコベコに凹んだ電子レンジがあった。

手に取ってみたが、なぜか昨日の続きをする気にはなれなかった。


今日も女は死のうとしていた。

今回は冷蔵庫を使うらしい。

冷蔵庫の中に入って凍死しようとする、小学生並の発想だが女は馬鹿なりに本気だった。

だけど大の大人が一人入るほどの冷蔵庫ではない。

しかもその日は真夏日、むしろ冷気が心地よくなって女はいつしかうとうとと眠ってしまった。

また夢をみた。

男はいつも女を後ろから抱きしめてくれた。

そして耳元で甘い言葉をはいてくれた。

女は男のそういう仕草が好きだった。

抱きしめてくれるとあったかくて気持ちよかった。

だけど今日の彼は違った。

抱きしめてくれているのに少しもあったかくない。

そして耳元で囁かれる言葉は甘いものではなかった。

「あんたがそこにいると妾がうんと働かんきゃいけなくなるでしょ!早くどいてちょうだい!」

女は冷蔵庫から転げ落ちて起きた。

さっきもまた、変な夢を見たような気がしたがやはり覚えていなかった。

女が開けっ放しにしていたせいで中身がぬるくなってしまった冷蔵庫はブーンと鳴りながら稼働していた。

心地よくなるぐらいで死ねるはずがない。

ようやくそう悟った女は冷蔵庫の蓋を閉めた。


今日も女は死のうと思った。

昨日あれからどうやったら死ねるか久々に真剣に考えて、ようやく思いついた。

首つりだ。

苦しいと思うけど確実に死ねる。正当法だ。

運よく、ビニールひもがあった。

だがそこで女は気づいた。

天井に引っ掛けられるものがない。

マンガやドラマではどんなふうに天井から吊っていたんだ?

仕方ないからフックを天井に取り付けることにした。

そのためには天井に手が届かなければならない。

家にあるちゃぶ台では背が低くて手が届かない。

だけどこの部屋にはロフトへと続くはしごがあった。

それを使えば天井に手が届く。

はしごを垂直に立てて、一気に駆け上がってフックを取り付けようとする女。

首つりをするのに天井にしなくてもできるし、はしごを壁に立てかけて壁際の天井につければいいのに死ぬことに興奮して気が付かない。

そして馬鹿な女ははしごと一緒に倒れて、そのまま窓を突き破り落ちた。

女が住んでいた部屋は14階で、死ぬには十分の高さだ。

白昼夢をみた。

男が彼女を抱いてくれた夜だった。

とても満たされた気持ちだった。

女が最初で最後に幸せだったときの記憶だったからだ。

これで思い残すことはない。

最後に男の顔だけでも見ようと彼を振り向かせた。

はしごだった。

「俺は役立たずだ…俺は人様をお上にお上げするために生まれてきたのに人様を落としてしまった…これで俺はもう終わりだ…俺は役立たずだ…」


女は運よく通りかかった布団を運ぶトラックの荷台に落ちて助かった。

好きだった男は詐欺の罪により捕まって今は裁判中だ。

女はそれから誰もいないのに声が聞こえるといい、病院に通院することとなった。

文学少女シリーズを読んでから三題噺を書いてみたいと思ったので、

兄にお題を求めたら目の前にあるものを適当に言われた結果、ほとんど台所にあるものとなってしまいました。

とても短い話で稚拙な文章ですがここまで読んでくださり、ありがとうございました。

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