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かわい子ぶりっ子でいきます!(ChatGPTお試し)

作者: リコリス
掲載日:2026/10/03

 昼前の冒険者ギルド。

 受付には今日も、依頼を探す冒険者たちが並んでいる。


「次の方、どうぞ♪」


 私はいつもの笑顔で声をかけた。


「は、はい!」


 やってきたのは、まだ冒険者になったばかりらしい少年だった。新しい革鎧に、手入れしたばかりの短剣。見るからに初々しい。


「あの……冒険者登録を……」

「冒険者登録ですね♪ それでは、こちらの用紙にお名前をお願いします」

「あ、はい」


 少年は用紙を受け取った。

 そして、ふと顔を上げる。

 目が合った。


「…………」

「?」


 少年が固まった。


「どうしました?」

「あ、いえ……その……」


 少年は慌てて視線を逸らした。

 耳まで赤くなっている。


(ほう)


 私は内心でニヤリとする。


(そうかそうか。私が可愛すぎて固まったか。まあ、無理もない。こんな顔が目の前にあったら、そりゃ見惚れるよな)


 私は自分の顔をよく知っている。

 大きく澄んだ瞳に、長い睫毛。小さな顔に整った目鼻立ち。柔らかな頬に、年齢より幼く見える愛らしい顔立ち。華奢な身体つきも相まって、黙っていれば庇護欲を刺激するような可愛さがある。

 街を歩けば振り返られる。

 客から「可愛い」と言われることも珍しくない。

 つまり――私は、めちゃくちゃ可愛い。


(どうだ。可愛いだろう。ほら、もっと見ろ。もっと褒めろ。心の中で『可愛い』とか言ってないで、ちゃんと口に出せ。私は聞きたいんだよ、コラ)


「緊張しなくても大丈夫ですよ♪ 初めての方には、私が説明しますから」

「は、はい……」

(おお、声まで上ずった。完全に効いてるじゃん。いいぞ。そのままもっと私を意識しろ)


 少年は書類を書き始める。

 私はその様子を眺めながら、にっこり笑った。


「字、お上手ですね♪」

「えっ?」

「読みやすいです」

「あ……ありがとうございます」


 少年の顔がさらに赤くなる。


(よし。褒めたら喜んだ。単純でよろしい)


 私は満足する。


(神様、本当にありがとうございます。この顔を授けてくださったことだけは、何度でも感謝します。おかげで今日も楽しいです)


 冒険者ギルドは男性冒険者のほうが多い。

 だから私は、ここで働くことにした。

 私はちやほやされたい。そして可愛い女の子として生きるなら、男性からのほうがちやほやされる機会は多いだろう。


(せっかく世界一可愛いんだから、使えるものは全部使わないとな)


 少年が書き終える。


「はい、できました」

「ありがとうございます♪」


 私は書類を受け取る。


「では、冒険者登録について説明しますね♪」

「はい!」


 妙に元気のいい返事が返ってきた。


(ふふっ。いい返事。もっとだ。もっと私に構え)


 そのとき、少年の後ろから別の少年が顔を出した。


「お前、顔真っ赤だぞ」

「うるさい!」

「何だよ、受付のお姉さんに惚れたのか?」

「ち、違う!」


 私はくすっと笑う。


「ふふっ♪ 仲良しなんですね」

「こいつとは幼馴染なんです」

「まあ、素敵ですね♪」

「素敵って……」

「ずっと一緒のお友達がいるって、いいことですよ♪」


 私は少年二人に笑いかける。

 二人とも照れたように笑った。


(そうそう。私の前では素直になれ。ほら、二人とも『可愛いなあ』って思ってる顔してるぞ。もっと露骨に褒めてもいいんだぞ?)


 そこへ、三人目の少女が依頼書を持って口を挟んだ。


「すみません。この依頼って、初心者でも受けられるんですか?」

「はい♪ こちらなら大丈夫ですよ」


 私は少女のほうを向く。

 そして、ほんの少しだけ笑顔を薄めた。


「街の近くで薬草を採取するお仕事なので、初めての方にはおすすめです」

「魔物は出ないんですか?」

「可能性はありますけど、危険度は低いです」

「そうなんですね」

「ただ、油断はしないでくださいね」

「分かりました」


 必要な説明を続ける。

 私は女性相手には、基本的にこんな感じだ。


(女相手にまで全力で可愛くする必要ないだろ。どうせ『可愛い~!』とか言ってちやほやしてくれるわけじゃないんだし)


 別に嫌っているわけではない。

 ただ、サービス精神を発揮する理由がないだけだ。

 説明を終える。

 私は再び少年のほうを見る。


「あなたは剣士さんなんですよね?」

「はい!」

「すごいですね♪ 私、剣を使える人って格好いいと思います♪」

「…………!」


 少年が固まった。


(ほら見ろ! また赤くなった!)

「でも、無理はしちゃ駄目ですよ?」

「はい!」

「怪我したら大変ですからね♪」

「気をつけます!」

(よしよし。『この子、俺のこと心配してくれてる』って思っただろ。そうだよ。私は優しいんだよ。可愛くて優しい。最強じゃん、私)


 私は冒険者証を差し出す。


「これで登録は完了です♪」

「ありがとうございます!」

「これから冒険者として頑張ってくださいね」

「はい!」

「でも……」


 私は少しだけ声を落とす。


「ちゃんと無事に帰ってきてくださいね?」

「……!」

「約束ですよ♪」

「……はい!」


 少年の顔が真っ赤になる。


(いただきました。今日の初恋、一個ゲット。私、可愛いだろう? そうだろう? もっと褒めてもいいんだぞ?)


 私は満足して、三人を送り出す。

 ――と思ったのだが。

 三人はギルドを出ず、少し離れたところで話し始めた。


「なあ」

「何?」

「あの受付の子、めちゃくちゃかわいくなかった?」

「うん。すごくかわいかった」


 私は書類を整理しながら、耳だけそちらへ向ける。


(そう! それだよ! もっと言え!)


 少女が二人の少年を見る。


「二人とも気に入ったの?」

「いや、俺は……」

「顔、真っ赤よ?」

「これは暑いだけ!」

「ふふっ。もしかして、あんた惚れたんじゃない?」

「惚れてない!」

「じゃあ、なんでそんなに嬉しそうなの?」

「それは……」

「ほら」

「……かわいいとは思ったけど」

「やっぱり!」

「声が大きい!」

(よし! 本人の口から出た!でも『可愛いとは思った』じゃなくて、『可愛いです』って言え! 私は世界一可愛いんだぞ! もっと自信を持って断言しろ!)


 私は口元を押さえて笑いをこらえる。


(いやあ、今日も順調だな)


 しばらくすると、先ほどの少女が受付へ戻ってきた。


「すみません」

「はい?どうされましたか?」

「さっきの依頼なんですけど、採取した薬草ってどこに持っていけばいいんですか?」

「……依頼書の下に書いてあるよ」

「え?」

「ほら。納品場所」

「あ……本当だ」

「ちゃんと読んでから聞いてよ」

「…………」


 少女が私を見る。


「……あれ?」

「何?」

「さっきと口調が違わない?」

「そう?」

「ええ。さっきはもっと可愛らしかったというか……」

「男と女で同じ話し方する必要ないじゃん」

「え?」


 私は頬杖をつく。


「男にはかわいくする。女には普通にする」

「ずいぶんはっきりしてるわね」

「だって、女ってあんまりちやほやしてくれないし」

「そういう理由なの?」

「そういう理由」

(だってそうだろ。私の可愛さを見て『きゃー、可愛い!』って言ってくれるのは男のほうが多いんだよ。なら、男にサービスするのは当然じゃん)


 少女が呆れたように笑う。


「でも、仕事中なんだから、もう少し愛想よくしてもいいんじゃない?」

「愛想よくする必要があるのは客相手だろ」

「私たちも客なんだけど」

「冒険者としてはな。でも今は質問に答えてるだけ」

「そういうところが雑なのよ」

「よく言われる」

「もう少しこう……」

「で、他に質問は?」

「ええと……じゃあ、薬草を採るときに――」

「それも依頼書に書いてある」

「……」

「ほら、ここ」

「本当だわ」

「ちゃんと読めって」


 少女は苦笑する。


「あなた、思ったより雑なのね」

「よく言われるって言っただろ」


 私はガハハと笑った。


「ガハハハ!」


 その瞬間、少し離れたところにいた少年が振り返った。


「…………」


 目が合う。

 少年がぽかんとしている。


(お? 何だその顔)


 私は気にせず、少年へ必殺のキュートスマイルを向ける。


「どうしました?♪」

「え?」

「何か質問がありますか?♪」

「……いや……」

「遠慮しなくていいですよ♪」

(ほら。さっきと同じ可愛い受付嬢に戻ったぞ。安心しろ)


 私は満面の笑顔を作る。

 少年は困惑したまま、また顔を赤くする。


「……大丈夫です」

「そうですか♪」

(ふふん。どうだ。私の切り替えは完璧だろう)


 少年が戻っていく。

 少女が呆れたようにこちらを見る。


「本当に切り替えが早いのね……」

「当たり前だろ」

「さっきまでガハハって笑ってたのに」

「だって今のは男と話してたし」

「そこまで堂々と言われると何も言えないわ」

(当然だ。私は可愛いと思われたいんだから。男相手に可愛くする。何が悪い)


 そこへ、後ろから声がした。


「先輩」

「ん?」


 振り返ると、女性の後輩が立っていた。


「また新人さんの前で素を出してましたね」

「いいだろ、別に」

「よくないですよ」

「なんで?」

「先輩、受付嬢なんですから」

「受付嬢だよ」

「もっとこう……可憐に……」

「無理」

「即答ですか」

「私、不器用だから」

「それを自分で言わないでくださいよ!」


 私は男性後輩を見る。


「ね?」

「え?」


 そして、にっこり。

「私、そんなに変ですか?♪」

「…………」


 男性後輩の顔が赤くなる。


(後輩くんも私の可愛さにやられたか)

「いや……その……」

「ふふっ♪」

(もっとちゃんと言っていいんだぞ? 『可愛いです』って。ほら、今なら聞いてやる)


 女性後輩が頭を抱える。


「先輩、後輩にまでそれやるんですか」

「男だから」

「理由がそれなんですね」

「当然」

「もう……」


 私は女性後輩を見る。


「で、何か用?」

「さっきの書類について確認したいんですけど」

「そこに書いてある」

「……」

「読んで」

「先輩!」

「ガハハ!」

「笑ってごまかさないでください!」

(うるさいなあ。女相手なんだから、これくらいでいいだろ)


 新人三人は、そのやり取りを黙って見ている。

 少女は苦笑。

 二人の少年は呆然。

 少女が小さく呟いた。


「……なるほど。これが噂の『初恋ハンター』なのね」


 女性後輩がため息をつく。


「そして、そのあと『初恋クラッシャー』になるんですよ」

「誰がそんな名前つけたんだよ」

「先輩のせいですよ」

「私?」

「『女にバレても別にいい』って男の前でも普通に言うじゃないですか」

「だって本当だし」


 男性後輩が苦笑する。


「今日も一人、初恋が終わりそうですね」

「失礼だな」


 私は少年を見る。


 少年はまだ私を見ている。


「……でも」


 私はまた、にっこり笑う。


「……!」


 少年の顔が真っ赤になる。


(ほら。まだ落ちてるじゃん)

(やっぱり私、最強だな。あんなガハハを見た程度じゃ、私の可愛さは揺るがないらしい)


 私は満足げに笑った。

 少し離れた酒場から、こちらを眺めていたベテラン冒険者たちが笑っている。


「おい、またやってるぞ」

「ああ」

「新人の少年、完全に振り回されてるな」

「まあ、あの受付嬢はいつもああだ」

「男には天使」

「女には豪快」

「そして両方を同じ日のうちに見せられた新人は混乱する」

「初めて見たときは俺も驚いたよ」

「俺なんて、あの子に『お兄さん、今日も素敵ですね♪』って言われて舞い上がった翌日に、女冒険者と下ネタで盛り上がってるところを見たぞ」

「落差がすごいな、受付嬢がする話じゃねえだろ」

「本人は楽しそうだからいいんじゃないか?」

「いや、よくないだろ」


 ベテランたちが笑う。


「それにしても三年目か」

「ああ」

「仕事はちゃんとできるんだよな」

「そこはな」

「ただし、調子に乗る」

「そして余計なことをする」

「この前も掲示板を勝手に改造してただろ」

「ああ。初心者向けの注意書きに、ものすごく怖いゴブリンの絵を描いてた」

「子供が泣いたやつか」

「本人は『わかりやすくした』って自信満々だったぞ」

「ははは!」


 私はそんな会話を知らず、次の客を見る。

 今度は男性冒険者だ。


「こんにちは♪」


 私は最高の笑顔を作る。


「今日はどうされましたか?」

(よし。次の獲物……じゃなかった、次のお客様だ)

(さあ、私を見ろ。可愛いだろう? ほら、褒めろ。遠慮するな)


 私は満面の笑顔で、次の冒険者を迎えた。


(今日もいっぱい、ちやほやしてもらおうっと)


 それが、私にとって何より幸せな日常だった。

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