79
いつものように、普通にスクール水着を着た赤月さんに頭を洗われ、体を洗われた。勿論あるところ以外。
これまでもう殆ど休まずに俺の介助をしているが、彼女は何一つ嫌そうな顔をしない。結構やってることも大変だと思うんだけど……赤月さんは辛そうな表情を顔にも出さず、毎日面倒をみてくれていた。
朝昼晩と三食つくって洗い物もしてるだろ、部屋の掃除だってほとんど赤月さんがしてくれてるし、勉強も見てくれて、洗濯物までやってくれてる……さらにこうしてお風呂の世話まで。
……ほんとに仕事量ヤバいな。これはブラックすぎる。
「ではでは、ちゃんと湯船につかってからでてくださいね。失礼します」
「……ありがとう」
俺の体を洗うというミッションを終えた赤月さんが浴室から出ていく。扉の向こう、曇り硝子ごしに赤月さんの姿がうつっていた。こうして毎回うっすらと彼女の着替えている姿が見えているんだけど、紳士な俺はみないふりをしている。
赤月さんはこの事に気がついているのだろうか……。
ぱしゃりと顔に湯船のお湯をかける。赤月さんは俺の家の鍵を持ってから、色々と私物を持ってくるようになった。このミルク色の入浴剤も赤月さんのもってきたものだ。あとそこのシャンプーやリンス、ボディーソープも……。
ちなみにいうと洗面所に自分がつかうようのコップと歯ブラシも置いてある。食後の歯磨きに使っているっぽい。
そういえば赤月さんは歯がめちゃくちゃ綺麗で、これまで虫歯の類になったことがないらしい。ひょっとすると吸血鬼の血のおかげだったりするのかも?と、俺は密かに思っていた。
肩に手を触れた。
赤月さんの噛みついた跡がわかる。
もう何回噛まれて、血を舐めさせたのかもわからない。基本的に夜に求めてくる事が多いけど、たまに昼間や朝にも欲しがる。
……そういえば、ここ最近さらに血を舐めたがる頻度が高まったような。
これ、この先大丈夫かな。
例えば社会人になって何かしらの仕事についたとき、赤月さんはその職場でやっていけるのか?
男性が一人もいない職場なんて中々無いだろうし、どうするんだろう。
っていうかその前に大学があるんだよな。大学こそ数多の男共に言い寄られてヤバいんじゃなかろうか。
出来ることなら、俺が側にいて守ってあげたいけど……学力的に難しいだろうし。まあ……ていうか、そもそも赤月さんの進路なんて知らないけど。
不安だな。赤月さんはそこら辺どう考えてるんだろう……一人でやっていける自信があるのかな。今度聞いてみるか?
何気なく、さり気なく。