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「あれ、撮った写真がシールになって出てくるやつですよね?」


「た、多分……?」


「……やったことないんですか?」


「そりゃまあ、基本的にゲーセン自体こないし」


「そうなんですか?さっきクレーンゲーム凄く上手だったので、たくさん来られてるのかと思いました」


「褒めてくれて嬉しいんだが、そんな事はない。俺は基本的に平日の学校以外は引きこもりのような生活をしていたからな」


「引きこもり……引きこもって何をされてたんです?勉強ですか?」


「いや、赤月さんとこうして関わる前はゲームかな。ずっとゲームばっかしてて、飽きたらアニメみつつ漫画読んでネット小説とか……」


「……」


きょとんとする赤月さん。あ、なんか言わなきゃ良いこと言ったかこれ。なんか遊んでばかりのやつみたいだよな……いや、現にそうだったんだが。


「……色々な趣味があるのですね、佐藤くんは」


彼女はなぜか関心したように頷く。そして、


「……すごいです……」


そう呟いた。


「凄くはないだろ」


「いいえ、すごいです。私には趣味と呼べるものはあまりないので」

 

「趣味がない?じゃあ時間ある時はなにしてるんだ?」


「勉強か運動、料理ですかね」


「……その三つは趣味になりえないのか?」


「まあ、楽しいといえば楽しいですが、どちらかというと義務感が強いです。姉の出してくれている学費や家賃、ただでさえ色々と少なくないお金を使わせてしまっているので……勉強や健康管理、生活くらいはしっかりしないとって」


「な、なるほど……」


なにこの子、すげえ偉いんだけど。同じく親に養われてる俺だが、根本的に意識が違う。自分のことをかんがみると、ちょっと恥ずかしくなってくるんだが。 


「でも、もしかしたら……」


「ん?」


「……最近は、料理は趣味といえるものになってきてるかもしれません」


「そうなのか?」


「はい。料理を作って、佐藤くんが美味しいって食べてくれるのは……嬉しくて、楽しいです」


「……」


「一緒に食べるのも、嬉しくて、楽しい」


ぎゅうっと握る手が強くなった。


「あなたと一緒だと、料理は趣味になるのかもしれませんね」


「……そっか。俺も、赤月さんと一緒だと嬉しくて、楽しいよ」


ぎゅうっと彼女の手を握り返した。


「……こんど、佐藤くんの好きな趣味を教えてほしいです」


「俺の?」


「はい。佐藤くんの好きな趣味。漫画とか、アニメとか、ゲームや……色んなこと。私に教えてください」


赤月が俺の顔をみあげにこりと笑う。


「私、佐藤くんと一緒の嬉しいと楽しい趣味をもっともっと、たくさん作りたいです」



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