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赤月さんと手を繋ぎ、売店の前に並ぶ。


幸い俺の前後もカップルのようで、同じ様に手を繋いでいたので目立たずにすんだ。……まあ、俺と赤月さんはカップルではないんだが。


まださっきの熱が抜けないのか、赤月さんの頬は赤いまま。


(少し心配だな……まあ、俺も顔赤いだろうけど)


その時ふと気がつく。あれ、これってもしかして……赤月さんの顔が赤いのって、血が足りなかったとかそういうのじゃないのか?


ひょっとして俺と同じで、シンプルに恥ずかしがってる?


ちらりと赤月さんをみる。すると偶然タイミングが合ったのか、目が合った。


(……あ)


しかしすぐに逸らされた。……やっぱり、これってただ照れてるだけ……?


もしこれが嫌がって目を逸らしたのだとしたら、この状況自体おかしいことになる。向こうから手を繋ぐなんてしないはずだろ。


嫌われてないけど、目を逸らす。これは照れてるだけの可能性が高い。


握ってる赤月さんの手がしっとりとしている。


汗かいてるのか。


「……ポップコーンとか、食べる?」


「……」


一瞬ぽかんとした顔になる赤月さん。可愛い。


「……美味しい、ですからね」


「ああ。買っとくか……ふたつ」


ちらりとポップコーンを持っているお客をみる。あれ小さいサイズだったよな。けっこう多くね?


「……あの、佐藤くん」


「ん?」


「私、ひとつは食べきれません……なので、やっぱりいいです」


赤月さんも同じ人をみていたのか、やめると言い出した。けれど、食べたいというのは本当なはず。問題は量だけだ……であれば。


「じゃあ俺とわけよう」


「……え」


「一つのポップコーンを二人で食べよう」


「そんなの、悪いです」


「悪くないさ。俺も一つは多いなと思ってたところだし」


嘘はついてない。本当にそう思ったし。


「……そうですか」


「ああ。味は何にしようか」


「……味……」


赤月さんの目がカウンターの上にある、商品一覧が並ぶ看板にいく。そこには塩、キャラメル、バターの三種のポップコーンの看板もあり、じっと赤月さんが見つめる。


「……塩?」


塩の方に視線がずっといっているので聞いてみた。


「美味しいですよね、塩。……佐藤くんは何味が好きなんですか?」


「んー、俺はキャラメルがいいかな」


「ではキャラメルにしましょう」


「いや、半々だな」


「……!」


俺は指をさす。ポップコーンの種類が並ぶ看板の端。そこには二種類の味を楽しむ事ができると書いてあった。


「なるほど、半々……ですか」


「塩も食べたいし、キャラメルも食べたい……赤月さんもキャラメル食べてみない?」


甘党っぽそうな赤月さんは気に入ると思うんだが。


「……食べます」


「よし。おっけー」


にんまりと微笑む赤月さん。……少しは恥ずかしいの和らいできたかな。



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