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扉のあく音がして、ふわり空気の流れを感じた。


やわらかいシャンプーかボディーソープの匂いがした。


「……おまたせ、しました」


「あ、ああ」


しっとりと濡れ、光を弾く白い髪。ほんのりピンク色の頬。……とんでもなく、色っぽいしべっぴんさんだ。すっぴんなんだよな、これ。めちゃくちゃ可愛い。


ピンクのパジャマを着ている赤月さん。胸の……ふ、膨らみが!


「……あの、そのソファーで舐めさせてもらってもいいですか……?」


「や、まって!」


「は、はいっ」


「ごめん、ちょっと……俺も家でシャワー浴びてきて良い?」


「あ……はい、それは全然」


「ありがとう、ちょっと一回戻るわ」


「……あの」


「ん?」


「もし良かったらウチのシャワーつかいますか」


「……!?」


赤月さんちのシャワーを……!?


いや、落ち着け俺。シャワーで何を興奮することがあるんだ。同じ湯船につかるのならともかく、シャワーを使うだけだぞ。


「ありがとう、でも着替えもしたいから」


「……あ、そうですよね……」


「じゃ、またくる。インターホン鳴らすから鍵かっといてね」


「わかりました」


これは別に逃げたわけじゃない。戦略的撤退だ。だってシャワー浴びても服汗臭いかもしれないじゃない。

決して、浴室にはいると『ああ、ここにさっきまで裸の赤月さんがいたのか……』なんて良からぬ妄想をしてしまう事にビビったんじゃない。信じて欲しい。


っていうか、できるだけ赤月さんには俺のイメージを落として欲しくない。これから上げなきゃいけないんだから。


赤月さんに好きになってもらえるような奴に。


だからそんな下卑た妄想をしてはあはあしとる場合じゃないんだ。つーかそんな妄想したら血を舐められてるときに勢いで襲ってしまうかもしれん。俺も男だ、性欲はふつうにある。


ていうか、なんかよくわからんけど昼間に舐められてる時そういう気持ちが異様に湧いてきたし。


だからこそ、変な妄想をしてそういう気持ちを高めないようにしなければ。


紳士的に、好かれるように、頼れられる男になるんだ。


いまの俺は状況的にいえば他の男子ライバルどもより優位な位置にいるのは間違いない。だったらここで差をつけて、あわよくば好きになってもらって……。


ザァーとシャワーを頭からかぶる。


煩悩を注ぎ落とす。


赤月さんがなんの身の危険も感じず、安心して血を舐められるように。


……静まれ、静まれ……静まれ、落ち着くんだ。


頭を洗い、体を洗う。


歯を磨き、新しく出した新品のパンツをはく。


「……よし、行くか」


俺は部屋を出た。


【重要】

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