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俺の部屋へと到着。赤月さんが冷蔵庫に食材を一生懸命つめている。なにか手伝いたいけど、やれることも無く消費期限が近かったカニカマを食べながらソファーに座る。前におやつ代わりに買って忘れてたやつ。
「あ、そうです佐藤くん」
「ん?」
「伝え忘れてました、今日は私の部屋でお夕食なので」
「え、そうなんだ」
「はい」
……危ねえ、カニカマが鼻から出るかと思った。
え、私の部屋って赤月さん家ってこと?まじで?赤月さんの家入っていいの?ガチ?夢じゃなくて?
内心焦りまくる俺。まるで宝くじが当たったかのような驚きと興奮と衝撃。買ったことも当たったことないけど。
「……ふぅ、これでよし。残りの食材は私の家の冷蔵庫に入れます」
「ああ、うん」
「じゃあ行きましょう」
「赤月さんの部屋に?」
「はい」
「……うん」
「え、あれ、もしかして嫌でしたか?こちらで食べたかった?」
「いや違う。ほら、一応女子の部屋だろ……男の俺が行っていいのかなって。赤月さん一人暮らしみたいなものだしさ」
「……一応女子?一応ではなく、私はちゃんと女子ですが……」
「や、違う!そういう一応じゃなくて!?」
ジッと物言いたそうに目を細める赤月さん。
「いやいや、違うって!そうじゃなくて、ごめん、言い方が悪かったか!!」
「……ぷっ、ふふ……」
くすくすと笑う赤月さん。
「冗談ですよ、分かってます。男の子でも、佐藤くんなら全然大丈夫です。来てください」
「……そ、そう」
佐藤くんなら全然大丈夫っていうのは喜んでいいのか悲しんでいいのか判断に迷うところだな。逆に俺の方が男子として見られていない?俺なら襲われる心配ゼロみたいな?
そうだったら、けっこうへこむぞ。恋愛対象外ってことだろ。
「ほら、行きますよ」
「あ、うん、ごめん」
ソファーから立ち上がりスマホを手に取る。
……つーか、逆に赤月さんにとっての恋愛対象ってどんな人なんだ?
やっぱイケメンで、頭がよくて、とかそんな感じか?
うわぁ、やめだやめだ!すげえ暗い気持ちになるこれ。また顔にでて追求されそうだからもう考えるのやめよう。
バタン、と自分の部屋の扉をしめ鍵を掛ける。そして隣の部屋へ。
ガチャリと赤月さんが鍵をあけ、中へ入っていく。
「どうぞ」
「お邪魔します」
同じ部屋とは思えない玄関だった。フローラルな香りと清潔感あふれる明るい色の玄関。家のように脱ぎっぱなしの靴もなく、余計なものがない。
(あ……怖いかも)
奥へ入っていく。リビング、キッチン、構造は家と同じなのに同じ部屋とは思えない(二回目)ほど綺麗だ。乱雑に置かれた雑誌もなければ、一部破れかけている座布団もない。勿論飲みかけのペットボトルや缶なんかも一切ない(最近はウチも赤月がみかけたら速攻で処理するのでないが)
(怖い、怖くなってきた……)
「適当にソファーに座っててください」
ウチと同じくソファーがあったがとても綺麗に使われているようで、とても綺麗だった。とにかく赤月さんの部屋は全体的に清潔感があって綺麗。
(こんな綺麗な部屋で暮らしていた赤月さんには、俺の部屋ってどう見えてたんだ……怖い、怖すぎるよ)
「ちょっと部屋着に着替えてきますね」
「……あ、ああ」
冷蔵庫に食材をいれおわった赤月さんが自室へと消えていった。
……俺も今度の休みに部屋、片付けようかな。せめてリビングくらい。
【重要】
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