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「あ、うん。ただいま……っていうか、どうしたのウチの前で」
「待ってました」
「え、ロイン送ってくれれば良かったのに」
「そうですけど、まあ……待っていたかった気分なのです」
「?、そうか……」
良くわかんないけど、そう言って赤月さんは微笑んだ。良くわかんないけど、やっぱり可愛いな。いや可愛いのは良くわかん無くないな、可愛いは可愛いだろ。
「で、なにかあったのか」
「はい。これからお買い物に行こうと思います。なので、お手伝いをお願いしたくて」
「お、まじで?任せろ」
「はい!では、着替えてきますので、また」
「ああ、わかった。部屋の扉あけとくから入ってきて」
「わかりました」
……てか、俺が帰ってくる間に着替えておけば良かったんじゃ?
嬉しそうに、にこにこしながら部屋に消えてく赤月さんの顔をみると、そのツッコミがひどく野暮に思えてなにも言えなかった。
それから少し時間が経ち、俺が自室で着替えていると玄関があく音が。その後「お邪魔します」と赤月さんの声がした。
程なくして俺も着替えが終わり部屋をでる。するとソファーに座る赤月さんがこちらに気づいた。
「あ、お邪魔してます」
そう言って立ち上がり微笑む彼女は、まるで天使に見間違えるような格好をしていた。
(うわぁ……)
白を基調としたコーディネート。ゆったりとしたロングスカートが大人っぽい、けれど斜めがけされた小さなポシェットが程よくあどけなさをプラスしていて愛らしい。
いや、ファッションとかそういうの実際よくはわからないんだけど、でも赤月さんのこれはセンス良いんじゃないか……?
真っ白な髪が今日はお団子になって纏められている。赤月さんのこの髪型ははじめてみた。ていうか、ウチくる時色んな髪型みせてくれるよな赤月さん。学校では運動の時にポニテするくらいしかしないのに。
つーか、俺らこれから買い出しいくんだよな?なんか赤月さん気合い入った格好してる気がするんだが。まるでデートに着るような服な感じが……い、いや、んなわけないか。これが普通なんだよな、赤月さんは。たぶん。
(……ん?)
赤月さんはおもむろに肩から下げていたポシェットをあけ、取り出したケースから眼鏡を出した。縁が太いいわゆる黒縁眼鏡。
「……赤月さん、眼鏡かけるとだいぶ印象変わるな」
「そうですか?どのように」
「なんか文学少女みたいで可愛いよ」
「……ふ」
またもやこぼれてしまった本音。一瞬恥ずかしくなり焦ったが、彼女の「……ふ」と鼻で笑われたことの方が気になってしまう。
なんで失笑されたんだ……。
しかし、よくよく彼女の表情をみるとそれは鼻で笑ったのでは無く、笑いを堪えた末にでたものだとわかった。すごい口元がニヤニヤしてるんだもの。
なんで普通に笑わずに耐えようとするんだ……。
やがて数秒後、その喜びが落ち着いてきたのか彼女は軽く咳払いをしこちらへ顔を向ける。
「……では、行きましょうか」
「あ、うん」
そうして彼女は手に持っていた白色の帽子を被った。




