表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
辞め巫女王女と死神王子  作者: 河ばた 四季
1/10

ラアラの決心

主人公・ラアラは12年前、令和の日本から、この西洋ファンタジーの世界そのものである、スカイ・ハイ王国に転生してきた。しかし、その時は大けがをして動けず、治ってからも右ひざに後遺症が残った。それと引き換えるように、予知能力に目覚めたラアラは、神殿の最高位・先読みの巫女の地位を手に入れた。しかし、16歳になった時から悪夢に悩まされるようになった。それは大好きな姉・サニーとその子供達が命を奪われるというものだ。そしてある晩、ラアラ自身が姉達に危害を加えた下手人として命を落とす夢を見たのだ。

 ラアラは先読みの巫女を引退する決意をする。そして、姉の嫁ぎ先へと赴くのだ。でも彼女は世間知らずで体力無し!

それでも、巫女を辞めても王女だなんてイージーモードの人生、絶対守るわ!もちろんお姉様達も!と張り切るラアラを見守ってくださるとうれしいです。

「レイズ 10枚。」

ラアラの声に、相手は怯んだ。ここは秘密の賭場。

サングレイス王国の首都の、ある貴族の別邸だ。

ラアラは今、胴元の代理で大勝負に挑んでいる。

ポーカーは相手を勝負から降りさせるゲームだ。

彼女は仮面で顔を半分隠している。

それでも白い柔らかそうな手、細い顎から

育ちの良い若い女性であることは、容易にばれてしまうだろう。

いや、まだ子供と言っても差し支えないような年齢だと

知れていることだろう。

そんなラアラが出て来たことで、相手は大いに油断していた。

ところが、次第に追い詰められ、チップを減らしていった。

相手を侮っていたことを激しく後悔し始めたときにはもう、遅い。

この勝負はもう、降りることが出来ない。

必ず勝たなくてはならない。

ラアラには、男の心情が手に取るように分かる。(さあ。焦りなさい。

早く。早く。)

そして遂に!男は「ある動き」をした。

「うわぁ!」

次の瞬間、男の右手は、蔓のようなものに絡めとられた。

そして、袖の中からトランプの札がヒラッとこぼれた。

「イカサマはダメですよ。」

ラアラは澄まして言った。

男は、袖の中に隠したカードと、手持ちのカードをすり替えようとしたのだ。

「私は10のスリーカード。あなたは?いやだ、フルハウスじゃないですか。」

相手の手札を開いてラアラは言った。

「悪さをしなければ勝てたのに。自分の心に負けましたね。」

ピン、とカードを指で弾いた。男の目は悔し気に血走っている。ラアラは立ち上がった。

男は賭場の用心棒に囲まれている。

「ま、魔術?」

青い顔をした男は声を絞り出す。

「違いますよ魔道具です。あなたのイカサマに対して発動するように仕掛けをしたんです。」

ラアラは付けている仮面を少し得意げにくいっと上げた。

「そんな。見破られていたのか?」

男は元、手品師だったという。よほど自分の手さばきに自信があったのだろう。

「私には神のご加護があったのかもしれません。何しろ、辞め巫女なので。」

彼女は少し胸を反らし、腰に手を当てて、言ってのけた。

 男は用心棒達に連れて行かれた。これからどうなるかは知ったことではない。

彼女はゆっくりと奥の部屋に下がった。

そこに賭場の胴元が飲み物をトレイに載せて現れた。

「お見事です。ラアラ様。」

胴元は美しい男性・ショーンだ。館の持ち主の長年の愛人だなんていう常連客もいるが

本人に確認したことは無い。

「イカサマをすると分かっていたから楽だったわ。」

ラアラはほう、と息を吐いて仮面を外し、テーブルに置いた。

黒い瞳。ぱっつん前髪が現れた。真っすぐな黒髪を簡単に結い上げている。

ここ、サングレイス王国ではウエーブヘアが美しいと言われている。

(私はぱっつんが気に入っているからいいんだもん)

「予知能力を使いながら勝負をするのって、集中力が必要だから疲れるー。」

ショーンは

「お疲れ様。チョコレートをどうぞ。」

と、飲み物を勧めてくれた。とろりとした温かいチョコレートは、身体に染み渡る。

「美味しい―。」

ラアラは笑顔になった。ショーンは

「お酒も飲めない姫君が、こんなところに足を突っ込むなんて。」

と、苦笑いをする。ラアラはもうすぐ16歳になる。

「ショーン。あなただって私くらいの年齢の時には賭場にいたんでしょう?」

と、ラアラはやり返す。ショーンは片目を瞑って見せた。

「まぁね。」

ショーンは20代半ばくらいにしか見えないが、本当の年齢は知らない。

この立場になるまで、それこそ言葉に出来ない苦労があったのかもしれない。

ラアラは彼のウエーブした前髪を見て

(ショーンならウエーブだろうとぱっつんだろうと美しいでしょうね)

と、考えた。しかし、今はその話ではない。

「私には選択肢は無いの」

ラアラは強く言った。ショーンは紙片をテーブルに静かに置いた。

彼女は紙片に目を通し、卓上の燭台の火で燃やす。

「ありがとう。」

と、言葉を続ける。

賭場に集まるのはギャンブラーだ。それはテーブルの上で行われるだけではない。

真贋入り混じる情報がやり取りされて、儲け話が飛び交うのだ。それに乗るか否かはまさにギャンブルだ。

そしてその情報の裏に、国際情勢を左右するような重要な事柄が隠されている場合もあるのだ。

ラアラは賭場で求めているのは、その情報だ。

「死神王子が首都に帰ってくる・・・死神王子って誰?」

ラアラは紙片に書かれたことについて尋ねた。

「現王の弟君ですよ。3歳違いだったかと。」

ショーンは彼について教えてくれた。彼は、当時の王妃を母に持つ第2王子として生を受けたそうだ。

「あなたも知っているでしょう?結婚式で花嫁が暗殺された事件。」

ショーンの言葉に、ラアラは納得した。

数年前、この国の第2王子の結婚式が血の惨事となった事件を思い出した。しかし詳細については

神殿に暮らすラアラの耳には入らなかった。

「それで死神王子なんてあだ名が?」

ショーンはうなづいた。

「我が国のかわら版は、ネーミングが好きですから。」

それで表舞台から姿を消していたというのか。

「なんだか気の毒ね。」

思わずこぼすラアラにショーンは、

「賭博狂いの悪逆王女としては、親近感を持ちますか?」

と、皮肉めいた笑顔を見せた。

「そうだった。私は今まさに気の毒な立場なんだ。」

『悪逆王女』とは、この国に来てからラアラについた二つ名だ。

ラアラがこの館に出入りしていることを

先日、かわら版にすっぱ抜かれたのだ。

【悪逆王女は賭博狂い】

故郷の母(女王)が見たら卒倒しかねない見出しを思い出した。

「お母様もきっと、理解してくださるわ。そもそもここを指定したのはお母様なんだから。

私は悪評なんか怖くないわ。」

ラアラには目的がある。ショーンはうなづき、手を叩いた。

従者のアンディーが現れた。ラアラは馬車の乗り降りの際、手助けを必要としている。

右脚の膝が悪いのだ。ゆっくり歩くことは出来るが、走ることは出来ない。

 帰りの馬車の中。従者のアンディーは眠っている。この男はもう40代だ。妻子持ちである。

いきなりラアラの夜遊びに付き合わされるようになり、日々疲労している。

気の毒に、とラアラはアンディーに自分のひざ掛けをかけてやりながら、どこか懐かしさを覚えるのだ。

 アンディーは親戚のおじさんに似ている。お正月の親族の集まりの時に、飲食もそこそこに眠ってしまう母の兄に。

馬車は街中を抜けて、壮大な宮殿に入ってゆく。御者は

「ラアラ王女のお帰りだ。」

と、門衛に告げた。

「王妃様の妹君のお帰りだ。」

と、門衛は周囲に触れ回る。門は開かれ、馬車は進んでいった。

 

(現実が想像を越えているのよね)

と、ラアラはぼんやりと考えながら馬車に揺られている。王宮の離れまでしばらくかかるのだ。

 何を隠そう、ラアラは異世界からの転生者だ。

 元々は令和時代の日本で生活する中学生だったのだ。

 塾の帰りにコンビニに寄った時だった。雑誌コーナーのガラスが割れて、自動車が突っ込んで来た。

逃げようとしたけれど右脚に激痛が走り、続いて全身に衝撃を受けて、意識を失った。

 ずっと右脚が痛かった。痛い、痛いと感じながら目覚めた。

そこは見慣れない天井で、外国人が自分を覗き込んでいた。そしてラアラは

何気なく自分の右手を顔の前に持ってきた。その手は、とても小さかった。

激しく動揺したが、身体が痛くて思うように動けなかった。

周りの大人たちが自分をなだめている。

どう見ても異国人なのに、その口から出てくる言葉を理解できた。

優しく自分の額を撫でてくれる手の感触。これは、夢ではない。自分の身にとんでもないことが

起きたのだと悟った。元の自分の名前は忘れてしまった。しかし、その他の事柄は覚えている。


 そして、暫くは言葉を出さずに状況を把握することに努めた。

自分はラアラという名の、スカイ・ハイ王国4歳の王女だ。4歳違いの姉・サニーとは1番の仲良しだ。

スカイハイ王家の現女王には総勢13名の子供達がいる。

ラアラは元気の良い子供で、やめろと言われても聞かずに木登りをしていた。そしてついに、転落。

命が助かっただけでも儲けものだ。身体が回復した後も右ひざが痛み、右脚は思うように動かせなくなっていた。

 そろそろ言葉を発しても良いかな、と思っていた時に、ラアラに異変が起きた。

「あっちから、大きな大きな風と雨がくる。麦を刈って。早く!」

いきなり口から言葉が出てきたのだ。最後の方は絶叫に近かった。その場にいたサニーと兄たちは

急いで大人を呼びに行った。それから(後で知ったが)大臣が来て、ほどなくして両親が部屋に来た。

これは、予知能力。

「先読みの巫女」、以後、ラアラはそう称された。

 麦畑は兵士を動員して刈り取られた。予定では3日後から収穫をするはずであった。

嵐が来た時には、かろうじて麦の収穫は終わっており、食糧不足を免れた。

スカイ・ハイ王国には時々「先読み」の能力のある人間が出現する。多くは王家の血筋からである。

先読みの巫女は12歳になると神殿に暮らすようになる。そして、地位は大神官より上となる。

ラアラは思った。

(人生勝ち組!もう元の世界に帰れなくてもいいでしょう!王女だけで超ラッキーだったのに

大神官より上の特別な巫女だなんて。政略結婚とも無縁。猫様をお育てすれば慈悲深いと言われる。もう、この

世界最高なのだが!)

 ところが、そのイージーモードの人生に暗雲が垂れ込めてきたのだ。12歳の時、ラアラは神殿に移った。

それと同時に一番年齢の近い姉、サニーが、隣国・サングレイス王国の王太子と結婚するために国を出る事になったのだ。

「嫌な予感がするのです。」

と、ラアラは訴えた。そもそもこの縁談は、僅か8歳のサニーに、当時18歳だった王太子が一目ぼれをしたことから

始まっている。

 隣国同士、国境で小競り合いを繰り返した時期もあった両国だったが、最近は定期的に交流し、友好関係を築いている。

秋の収穫を祝って開催された狩猟で、弓の腕を買われて参加したのが、サニーだった。馬上から弓を射るその姿に

王太子は心を奪われてしまった。

 この日は奇しくもラアラ姫が木から落ちた日だ。幼いラアラは、サニーお姉様の様子を見たくて木に登ったのだ。

 スカイ・ハイ王国とサングレイス王国は、宗教も文化も似ている。王家は第1子が性別に関わらず継承すると決まっている。

スカイ・ハイ王国は女王が治めている。男女の差別の少ない両国では、個人の能力を伸ばすことに重点が置かれる。そして

身体能力の高い女性はとても人気があるのだ。

 熱心な隣国の王太子からの求婚に折れて、サニーは了承した。嫌な予感がするとラアラが訴えても具体的な

事が出てこない。いつもならば明確な映像として危機を察知する彼女にしては異例の事だ。

単に、大好きなサニーが遠くに行ってしまうのが寂しいだけでは、と大神官から慰められてしまった。

 しかし、サニーが結婚して半年後、サングレイス王家に事件が起きた。

 王の弟・アーサー王子の結婚式の最中に、花嫁が暗殺されたのだ。

 ラアラの予言はこのことだったのか、と周囲は先読みの巫女に畏れ入るばかりだった。不幸中の幸い、サニーはつわりで

途中退席をしていて惨劇を目にすることもなかった。

 以来、3年あまり。嫌な予感は薄くなった。薄くなっただけで決して消えはしなかったのだ。

 そうしたら、最近になってラアラは悪夢に悩まされるようになったのだ。

その悪夢とは、サニーとその3人の子供達が命を失う夢だ。

4人が血を吐いて倒れている姿をみるのだ。

それはとても生々しい。4人は同時に倒れるのではない。

初めに第1子・レニー、次が姉に抱かれている赤ん坊のメグ、真ん中のヒューイ。

姉は叫び声をあげながら、子供達を抱き寄せる。

その後、動かなくなる。必ずこの順番なのだ。

そして、ある時。

ラアラは夢の続きを見た。ラアラ自身が夢に出て来たのだ。

自分の袖を見て、儀式用の神官の装束を着ているのだと理解した。

「この人です!」

「毒を盛った。」

「小瓶を隠していた。」

ラアラは糾弾されていた。

『違う!』

『せめて裁判を受けさせて!』

『国王陛下に会わせて!』

これはラアラ自身の声だ。必死にわが身の潔白を訴える機会が欲しいと頼んでいる。

両脇を衛兵に掴まれて身動きが取れなくなる。

そして、ドスン、と背後から重く、鈍い痛みが襲ってくる。声が出せなくなる。

自分の腹から、大きな刃が飛び出している。背後から貫かれたのだ。

「姉の幸福を妬んだのか。浅ましい女だ。」

「恐ろしいことを」

などと、ラアラを蔑む声だけが残る。身体から力が抜けて、立っていられなくなる。とても寒い。

人々の足の間から、姉達の姿が見えた。そこで世界は闇になる。


 この夢から目覚めた時、ラアラは決めた。

(巫女をやめるしかない!)

そしてすぐさま行動したのだ。

夜明けの祈祷の前に、大神官の部屋に押しかけ、ラアラは言った。

「わたくし、先読みの巫女から引退いたします。普通の女の子に戻ります。」

と。大神官はおろおろするばかり。

「新たな先読みの巫女がお生まれになるのです。わたくしの役目は終わりました。」

と、嘘をついたのだ。

ラアラは令和に生まれた日本人である。スカイ・ハイ王国の神に嘘をつくことに

そこまで罪悪感は無いのだ。夢の中では巫女の衣装、しかも儀式用の一番高価な衣装で

命を奪われていた。この時点で巫女を続けていられるわけがないのだ。このままではイージーモードの人生が

バッドエンドになってしまう。神殿に迷惑をかけないためにも、自分は巫女を辞めるべきなのだ。

 巫女を辞めても王女の身。なんとかなる!ラアラは生きるために決断をした。

何よりも、姉上達が可哀そうな目に遭うのを見過ごすわけにはいかない。

 母である女王陛下に目通りを願った。この国は第1子が承継するしきたりとなっている。男女平等である。しかし、

国王となると世継ぎを残さなければならない。そこで、国王だけは、配偶者を3名持つことが出来る。

サニーとラアラは第2王配との間の子と言われている。第6子、第7子にあたる。母は第1王配は政治家、

第2王配は軍事の専門家、第3王配は芸術家、とバランスを考えて婚姻している。彼女は賢王と名高い。

「ラアラ。巫女を引退するとは、どういうことですか。」

女王は人払いをし、真剣に問いかけた。

「母上。」

ラアラは両膝を床について礼をした。巫女の礼である。

「足を悪くしたそなたが、先読みの能力に目覚めてくれたとき、私は安心した。

これで、引け目を感じることなく生きていってくれると。」

母としての心を吐露する女王に、ラアラは深く頭を垂れた。

「お母様。」

思わずラアラは胸が詰まる。この女性のラアラに向ける愛情は本物なのだ。女王という責任ある

立場にあり、触れ合う時間は少なくても心は通じている。

「何かあるのでしょう?」

女王はラアラに問いかける。ラアラは本当の事を話そうと思った。

ラアラは、サニー達の身の上に惨事が起こり、自分がその下手人として直ちに処刑される、

その夢を繰り返し見ることを告げたのだ。

女王は、真剣に聴いてくれた。そして、

「なんということ・・・。私の娘達が。孫たちまでも。」

と、玉座で身を捩った。そして、

「私が自ら足を運んで止めてやりたい。美しいサニーよ。愛くるしい孫達よ。ああ。可愛いラアラ、

そなた達が倒れるのなら、私が覆いかぶさって庇ってやりたい。身代わりになってやりたい。」

と、女王は玉座から降りて来て、ラアラを抱きしめた。

「お、お母さま。」

ラアラは涙を止めることが出来なかった。二人は暫く涙を流した。

「お母様。私は、サングレイス王国に行儀見習いとして滞在します。そして、サニーお姉様と

子供達を守ります。そして、自分も生き残ります。」

涙を拭ってラアラは決意を述べた。

「良い考えじゃ。世俗を知らぬ姫が、素敵な婿殿を探しに来たとなれば注目を集めるであろう。」

女王は同意した。そして

「ラアラ、そなたは先読みの力を失ったわけではないな。」

と念を押した。ラアラはうなづいた。

「では、私の指定する賭場に行きなさい。我が国からの使いも出入りしている。

情報を集めて、不届き者について調べるのです。」

女王からの指令にラアラは驚いた。賭場、とは。

「賭け事のルールは今から学びなさい。後は、そなたの先読みの力がものを言います。」

そして、女王はいくつかの魔道具も授けてくれたのだ。

 それからというもの、ラアラは行儀見習いと称して、賭け事を学んだ。それも、イカサマのやり方と

見破る方法について教えを受けた。

 お陰でサングレイス王国を訪ねた時は、貴婦人としてのお辞儀もろくに身についていなかった。

国王の前で、ドレスを着ていながら両膝を床について巫女の礼をした時、国王は

「まずは、我が子らと一緒に学ばれるとよい。」と

言ってくれた。

姉と2人きりでお茶をいただいた。サニーは

「あなたが巫女を辞めてしなうなんて。危機が迫っているのね?私と子供達に。」

と、深刻な声で訊ねる。

「お姉様、それだけではありません。」

ラアラは震える声で、自分が下手人として落命する様子を語った。

「あなたがそんなことをするはずがないわ!」

サニーは言った。

「もちろんです!お姉様!落ち着いてください。」

ラアラは姉の手を握った。

「このラアラが、大切なお姉様と、そのお子様達に害をなすことはありえません。」

サニーはその手を握り返した。

「ええ、そうよ。私の可愛いラアラ。」

気を取り直して、サニーは無理に笑顔を見せた。

「夢の中私は巫女のままでした。こうして巫女を辞めて世俗に戻ったからには

情報を集め、お母様からいただいた魔道具と、この能力を駆使します。

そして、この苦境を乗り越えましょう、お姉様。」

ラアラの言葉に、サニーはうなづくのだった。

(転生者の人生をイージーモードに戻して見せる!バッドエンド回避すべし!)

 



















評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ