9 本探し
投稿遅れてすみません。
ついつい、最近買ったごちうさの単行本を読んじゃいまして……
まあ、明日からは毎日投稿します!(←今まで出来てなかった奴が何言ってんだよ)
僕らは激しい轟音を聞き付け王宮の方へ走っていた。
遠目から見ても確実に苦戦しているのは目に見える。
母の魔法、超精霊炎武砲撃が見える。
炎が消えてもリヴィスの斬撃音が聞こえてくる。
その少し後に漆黒の空間や深淵が見えたが悉くなぎ払っているようだった。
もう少しで王宮か。
と、その時ものすごい斬撃音、少なくともリヴィスだけじゃなさそうだ。
「ミレンドス、その剣、貸してくれる?」
「もとはシー様のものですので」
ミレンドスは走りながら僕に息切れ混じりに返答する。
そして、僕に剣を渡す。
その剣を受け取り僕は腰にぶら下げる。
あと、一本路地に入れば近いか。
「ミレンドス、こっち。あと、ちょっと先行ってる」
「分かりました。御武運を」
「じゃあ、後で」
僕は、そう言うと民家の屋根伝いに王宮に向かった。
魔獣の姿が少し見える。
その瞬間、魔獣の首は無くなっていた。
少し影が出来たので上を向くとはねられた魔獣の首が落ちてきていた。
僕は即座に剣を抜き細切れにする。その残骸を大獄炎で燃やす。
そして、僕が王宮についた頃には三人は談笑していた。
「おっ、来たな」
「父さん、大丈夫?」
「何がだ?」
「いや、腕が一本無い気がしたから」
「うん?……」父は自分の左腕を見て絶叫している。
母は後ろで超聖回復を連発している。
このレベルの傷だと超回復じゃ治りきらない。
尤も超聖回復でも微妙ではあるのだが。
それ以上の回復魔法は無いので仕方ない。高位の回復術師ならもしかするとそれ以上の効果があるのかもしれないが。
「治ったようね」
「イヤー、やっちまったぜ」
と父が笑いながら言っているがもう少し自分の体を大事にして欲しいものだ。
「大丈夫ですか?」
フォーデンがこちらに走りながら言う。
その後ろには息切れしているウィルも居る。
「ああ、確か剣星のフォーデンだったか?こっちはまあ、無事だ」
良く言うわ。無事とか。
「それは良かったです。剣鬼殿」
前世では先生にも敬語を使わなかった三石がまさか敬語を使うようになっていたとは。
「ん、どうかしたかシー?」
「いや、少し考え事してただけ」
「なら良いんだが」
「シー様、ご無事ですか?」
息を切らしながら僕にミレンドスが言う。
「うん、僕は大丈夫」
「なら、良かったです」
先ほどまで心配している顔だったのが笑顔に変わる。
「さてと、状況を説明してもらって良いか?」
父が言う。
僕は父に一から十まで説明した。
「なるほどな、じゃあまずは番神にあうのが先決だな」
「まあ、そうだけど。どうするの?」
「確か、十剣に神殺刀メトフィスというのがあったかと」
「十剣だろ?それじゃ使い物になるか」
「ですが、神相手に喧嘩を挑むのであればそのくらいの装備は用意せねば」
「リヴィスの言うことも一理あるのだが……」
「なにか、ダメな理由でも?」
「十剣は王宮魔法師が転移陣を使って俺らを運ぶわけで」
「なるほど、転移陣が使えない現状では神殺刀メトフィスは無理なわけですね」
「その通りだ。まあ、所有者がいれば別なんだろうが」
「ですね」
「で、どうするの?」
「どうにかして神と対等に渡り合える武器又は防具を探す」
「じゃあ、取りあえず図書館で情報収集を」
母が提案する。
確かに分からないのなら本に頼るのが一番良い。
「それが良いかと」
「じゃあ、行こうか」
「そうだな」
こうして一行は王立図書館へと向かったのだった。
「全く、結界がないだけでなんでこうも魔獣が入ってくるのかしら」
母が嘆く。
「全くですね。ある程度は我々が狩っているにしても多すぎですよ」
リヴィスが呆れたように言う。
「なんで、こんなデタラメな数が出てくるんだ?」
父がなんでこんなに居るのだろう、といった表情で言う。
「ほんと、こんなに居たっけ?」
僕もダルそうに言う。
「その通りだよね」
フォーデンが同調する。
「シー様、頑張りましょう」
ミレンドスがいつもの調子で言う。
一人いつもの調子で言うと落ち着く。
「で、ほんとこの街何があったわけ?」
というのも、今僕らは魔獣約五十匹程度に囲まれている。
取り囲んでいるのはウルガルム、ヒュラー、ラビが主となっている。
一体だけなら雑魚だが固まるとかなり厄介極まりない。
そこにちょこちょこウリュイディムがいるのだから出来れば戦いたくない。
まあ、出来ないことはないが追い掛けられても困るからという理由で戦わないといけない。
「まあ、この街の結界は魔王クラスの化け物でもでない限り破られることはまず無いからな」
「じゃあ、何で結界が消えているのでしょうか?」
リヴィスが疑問に思ったのか聞く。
「それは維持できなくなったと考えるのが適当でしょうね」
「ああ、あの結界は大量の魔法師で維持してるものだったはずだ」
「そろそろ、まずくないですか?」
僕にミレンドスが言う。
まあ、喋りながらでもちょこちょこ倒しているがどこからともなく出てくるからめんどくさいったらありゃしない。
三十分後……
「後何体?」
「聞くな」
「そうだな、数えたくもない」
現状、約五百体ほどの魔獣どもに囲まれている。
そこに雪がしんしんと降ってくる。
やがてその雪はつぶてとなって魔獣どもに襲い掛かる。
そして、魔獣が居なくなると同時に雪がやむ。
「何だったんでしょうか?」
リヴィスが聞く。
「多分、魔法か何かだと思うけど」
母が曖昧な感じで答える。
「思う?」
「ええ、あの雪には魔力の波動があったのかなり微弱な。で、魔法ならもう少ししても良いものなの。だから思うってつけたの」
「まっ、何はともあれ先に行けるだから良いじゃないか」
父が言う。
「そうね、今は図書館に行くのが先ね」
ようやく図書館到着。
「じゃあ、さっきの三組で本探しね」
「了解」
僕とミレンドスは二階の本棚を探し始める。
この分類されていない本棚の中で神関係の本探すの大変すぎない?
そう思うと前世の十進法って凄かったんだな。前世の頃は何であんのか良く分からんかったけど。
えーと、『神界への行き方』、『神を傷つける方法』?
ろくな本がないな。神、とついた本を漁ってるけどマトモな本がない。
これとか絶対違うだろ。『神と遊ぶ方法』とか。マトモな気がしない。
『神隠しの正体』、これだな。多分。
「シー様、ありましたか?」
「多分、これだと思う」
「『神隠しの正体』ですか?」
「そう」
「じゃあ、あそこの机で読みましょう」
ミレンドスが木の机と椅子を指差しながら言う。
「あの机ね。オッケー」
僕らは椅子に座り本を開いた。
本の内容を要約すると神隠しの正体は神様で基本的に神隠しの番神がやるらしいというものなのだが。思ってたのと全然違う。というか神隠しが神がやってるってことくらい想像つくわ。
「なんというか…的外れ感が否めないんですけど」
「うん、僕もそう思う」
ということで本探しタイム始め。
なになに、『神殺しの伝承』に『神殺しの英雄譚』?
まあ、読むか。時間はあるし。
まず、『神殺しの伝承』から。
約九百年前に五人の転移者によって、色神ビフロフトを殺したという話しらしい。
つぎに『神殺しの英雄譚』か。
これもほぼ話し自体はおんなじだった。ただ、こっちには神殺刀は五本あるらしいという旨の話が記載されていた。そして、剣の外見も絵で記されていた。
「神殺刀は五本。そのうち一本がメトフィスということでしょうか?」
「そう言うことだろうね。取りあえずは母さんのところにいこう」
「そうですね」
ということで、母のところにいった結果。
「この本にかいてる限りではディヴァル山と帝国と合衆国と横の森と十剣の一つね」
「最寄りは横の森だが……なぁ?」
父がリヴィスを見ながら言う。
「ええ、わざわざ魔獣の群生地帯には行きたくないですね」
「でも、神を殺せる武器はここにかけるしかないと思う」
母がバッと立ち上がって言う。
「僕もその案に賛成」
フォーデンが何処からともなく来て言う。
まあ、確かに神殺しの武器が無いとどうしようもないからそれにかけるのは案外間違いでもないかも。
「仕方ないですね」
「ああ、息子のワガママを聞くのも親の仕事だ」
二人は剣を腰にかけて言う。
「そうね」
母も杖とローブを羽織りながら言う。
「ありがとう、母さん。ありがとう、父さん」
僕は皆に向かって深々と礼をする。
「気にしないで。母さんも」
母さんが言う。
「父さんも」
父さんも言う。
「「あなたの味方だから!」」
そして、二人で大声で続きを叫ぶ。
他のメンバーは笑っている。
「さて、行きますか神殺刀探しに」
そう言って僕らの神殺刀探しは始まった。
しかし、そんな僕らに不穏な気配が近づいていることにこのときの僕らは知る由もなかったのだ。
さあ、ついに始まりました。神殺刀探し!
果たして見つけることが出来るのか……
次回も読んでください。よろしくです!




