39 勇者再来
前の投稿からかなり間が開いてしまいました。
申し訳ないです。
これからは気長に待ってもらえるとありがたいです。
何分、色々と忙しいもので…
「魔王様、緊急事態です。総会の老人連中が総解任を」
「んじゃ、全員殺るか」
「そんなこともあろうかと既に捕まえてございます」
「いや、真に受けないでね」
そんな時、メィリィ一行の居る方から大規模な魔力反応が発生した。
僕はメィリィのところに転移した。
ただ、間に合わなかった。
メィリィは死んでいた。
久しぶりに誰かのために怒ったかもしれない。
「えと、魔王様。ご指示を」
「…ああ」
僕はそう告げると僕は自分の使える最高位魔法、魔女級魔法を放った。
『水爆』
その瞬間、駐屯地から数㎞分の大森林の一部は灰となった。
敵軍は全て壊滅。
右翼は魔王軍の勝利となった。
尤も、僕の魔力量が例の如く空になりかけたのは言うまでもない。
それから数日
主翼と左翼は戦力が拮抗していた。
だからと言って再度召喚された異世界人が居るところに突っ込んでいくほどアホではない。
と言うか、なんで勇者召喚の儀が短期間で二回も出来るんだよ!
とツッコミを入れたくなるのを堪えて魔族王国領内にあるダンジョン攻略に来ていた。
何と言うかもうちょっと面白いことがあっても良いと思う。
例えば恋愛とか。
いや、この世界の女子のレベルは高いんだけどね。
それ以上に腹黒と策略が恐すぎるせいで恋愛対象として見れない。
等と下らないことを考えながらダンジョン攻略をしてるわけです。
そう思うと前世の女子は優しかったんだなー。
それでも、恐い奴は居たけど…
いつの間にか百階層越えてるし。
そんな時、思念伝達である凶報が入った。
内容は四天王は壊滅、ミトリスは瀕死になり現在、魔王城に勇者一行が向かっているそうだ。
まあ、間違いなく死ぬ自信がある。
なんせ、ミトリスを瀕死まで追い込んだ奴だからな。
魔王城で待ってやるか。
よくある魔王のアレで行くか。
ついでに言うと、主翼も戦線崩壊で左翼はどうにか砦に籠城して…と言う感じらしい。
そうして、僕は魔王城へと転移した。
そこは惨状そのものだった。
壁と床は屍と血で染まり天井は穴が開いていた。
どうやら、勇者たちはこの穴から最上階まで向かったらしい。
取りあえず、鎮魂歌で後で歌っておくか。
生きてればの話だけど。
「おう、お前が魔王だな。お前の腐った性根ごとこの世から抹消してやる『エクスカイザー』」
その瞬間、腹の辺りに五cmくらいの穴が開いた。
クソがお前の方が性根腐ってるだろ。
という文字通り渾身のツッコミを無視して奴は次々と魔法を放つ。
そんな時、不意にこんな声が聞こえた。
《個体名シーウォン=ウォルフェンの全スキル及び加護、適性が消失しました》
はぁ!?
そう言えば魔法も発動できない気が…。
これは、此処で死ぬな。
自分で死期を悟った瞬間、自分で意図していない声を上げていた。
どちらかというと詠唱に近いが。
『我に創造神に運命神に破壊神に仇名す者を滅する力を与えたまえ、我は偉大なる破壊神の眷属にしてワケミ、この力を今一度発現させたまえ。真なる神の力』
《オーダーに応答。破壊神クリガエリティアのワケミ足る魔王シーウォン=ウォルフェンに破壊神を憑依。…定着終了。これより、神界より来たれり最上位神破壊神クリガエリティアの全能力を開放。
この世界においての制限を全解除。これにより強制召喚された創造神及び運命神は破壊神クリガエリティアの眷属となりました。世界より報告を終了》
その瞬間、自分の傷や無くなったはずの力が湧き上がってくるのが分かった。
相手も驚いている。
ついでに言うと、目の前に創造神と運命神が呼び出された。
「シー君、ただいま」
「ミク?」
「正解」
「と言うか何で?」
「創造神は私だもん。お兄ちゃん」
「今の口調は完全に雪なんだが…」
「そっ、私が創造神クリアガァリトでありお兄ちゃんの妹の雪であり婚約者のミクナレド=べリウェール。ついでにお兄ちゃんの幼馴染もいるよ」
「ヤッホー。智」
「リンか。なるほど。全部思い出した。三人で作ったゲームの事か」
「そう言う事。だから、プレイヤーは全て神でGMが私たち最上位神」
「確か、サーバー管理だったよな」
「思い出してくれてありがとう。ここはゲーム世界とは違うけど偶々繋がった異世界だけど私たちにとっての」
「「「思い出の場所」」」
「確か、智がゲームにハマったのも此処に似たゲームだったよね。丁度、私たちが勇者だったよね」
「だったな」
「おい、お前ら何を――」
その瞬間、奴は消えた。
「流石、智。プレイヤーの存在を抹消するとは…」
「まあ、仕方ない。GMを乗っ取ろうしてるようなもんなんだし」
「だねー。さてと、ここも直さないと」
雪がそう言うと詠唱を始める。
「我、創造神クリアガァリトが命ず、我が命に従い、損傷せし全てのモノを修復したまえ。その奇跡の名は、神からのギフト」
「これで一段落だね」
「?」
「あっ、分かって無さそうだから教えるね。お兄ちゃんの能力はある程度は回復しているけど因果律を消せるほどの強制力をまだ持ってないの。だから、その能力が復活するまでは適当に隠居するか封印の祠を壊すかしないといけないの。分かった?」
「まあ、祠を壊すかまったりスローライフを楽しむかを決めないといけないって事だろ?」
「そいうこと」
「じゃあ、祠かな」
「それなら世界中を旅することになりますけど」
「まあ別に良いんじゃない?」
「じゃあ、そう言う事にしましょう」
そうして世界は平和を取り戻し僕は世界一周の旅へと出ることとなった。




