32 妹
ラノスポ見てたら遅くなりましたすみません。
戦争が終わった後、僕の元にある一人の人物が来た。
そう、ある一人の人とは各務原リンだ。
何故来たか。
それは生き残った勇者パーティーをこちらに移住させてくれないかと言うことの相談だ。
どうやら、今の王国は荒れているらしく勇者だろうとなんだろう奴隷に堕とされることが多いそうだ。
まあ、リンは許可した。
ただ、他の連中を受け入れるか受け入れないかの判断は僕だけでは出来ないので官僚会議を開くことにした。
結論は受け入れると言うことになった。
しかし、流石に騎士団やらは良い顔はしなかった。
そりゃそうだよね。
なので、ミリャ島と言う少し離れた離島に移住して貰うことにした。
ミリャ島は一切開拓が進んでいない島なのであいつら好みにカスタム出来る。
とはいえ、基本的に女子の方が多いのでかなりお洒落な街並みになるだろう。
と言うか、ざっくりとしたビジュアルを渡されているが既にお洒落だ。
女子は一人一件と言うレベルで家を建てるのかと思いきやマンションにすると言い出した。
なるほど。
何かあるのだろうか?
まっ、良いかな。
にしても、予算がとんでもない値段になっているのですが。
小国の国家予算並みに請求してきてるぞ。
まあ、国家予算の大体0.5%位なので問題ないけど。
さて、これからどうするか。
まあ、王国には一切関わらないと言うことは決定している。
なので、一切王国には赴かない。
となると、ミリャ島に行ってみるか。
転移
おー、良い感じじゃないか。
もう、道だけは完成してるし。
店とか建物はまずまずって感じだな。
「菜津くーん」
後ろから声がかけられる。
雨堂霙だ。
前から何故か僕は女子に好かれている。
ホント、何故か。
「どうかしたの?」
「いや、数日前まで森だったところがこんなちゃんとした街になってるのに感動してた」
「それは、菜津君のお陰」
「いやいや、それは無いわ」
「いや、ホントに。お金出したのは菜津君だから」
「まあ良いか。案内してくれる?」
「良いの?」
「おう、頼む」
「分かった」
そう言って霙は僕を市庁舎に案内してくれた。
市庁舎だけは開庁していて白ベースのかなりきれいな感じに纏まっていた。
何でも大理石で作ったんだそう。
スゲー。
「そう言えば、市長は誰にするの?」
「あ……」
「決めてなかったんだ……」
呆れてものも言えない。
「そうだ!今から奈津君に決めて貰いましょう。
今すぐ、集めてきます!」
「おーい、僕やるなんて言ってないよ」
「問答無用です」
僕は手を捕まれそのまま撃沈した。
護身術ってスゲー。
霙曰くネットの記事の真似をしただけなんだとか。
ちなみに家には特殊警棒とかが置いてあるらしい。
どんだけ、防犯意識高いんだよ!
と、心の中で突っ込みを入れていた。
そして、遂に生き残っているクラスメート全員が来てしまった。
どうしよう……
一つ考えたのは僕が市長になること、だがこれだと僕の独占都市っぽくなってしまうので却下した。
と言うことで、決めないといけない。
やっぱ、司にしとこう。
あいつならなんだかんだ言って上手くやるだろうし。
最悪、僕が手伝ってもいいわけだし。
「菜津君、それで?」
「司」
『へっ?』
「市長は天光司!」
「いやいや、ちょっと待とうね、菜津君」
「別にいいでしょ?」
「駄目だよ!」
「じゃあ、司は誰が良いの?」
「菜津君」
「そう来たか。ちなみに嫌な理由は?」
「大変そうじゃん」
「じゃあ、司が市長なのは形だけで僕が実権を持ってるみたいな形にする?」
「でも、それだと菜津君の仕事の量半端なくなるよ?」
「今更なんだけど」
「どういう意味ですか、先輩?」
「千歳、今はややこしいから引っ込んどいてくれ」
「ひどいです。けど、まあ良いです。後で、私の部屋来てくださいね」
「殺されたりしないよね?」
「いえ、先輩のことを食べるだけです」
「えっ?なに?食われて死ぬの?」
「はい、取りあえず目指せ三人兄弟です!」
「菜津君、あの人誰?」
「ちょっと、待った~!」
『取りあえず、出てけ(出ていって)!』
「あっ、はい。分かりました」
「で、あいつは誰?」
「転生者」
「知り合い?」
「千歳」
「千歳ってあの、菜津君のキャンプ仲間の?」
「そうそう。取りあえず、話を直そう」
「そうだね。で、今更ってどういう意味?」
「いや、ここの予算どん位か知ってる?」
「どん位なの、えびちゃん?」
「日本円で14兆円くらい?」
『14兆円!?』
「蛭子さん、吹っ掛けたね」
「愛梨、そんなに吹っ掛けたら国家予算が無くなっちゃうよ」
「その点は大丈夫だよ。0.5%くらいだから。
とはいえ、スウェーデンの国家予算並みには使ってることをお忘れなく」
全員、茫然としてる。
いや、厳密にいうと2017年のスウェーデンの国家予算より二兆円ちょい多いんだけどさ。
「で、一応、軍の駐屯地を作る予定なんだけど」
「どこに?」
「どこでもいいけど」
「じゃあ、あっちでいいんじゃない?」
「意義ナーシ」
「じゃあ、菜津君。案内するね」
「良いのか?霙さん」
「私も!」
「リンも案内してくれんの?」
「そりゃね!霙と二人で何するか……。例えばアレとか」
「そんなのしないから!」
「奈津君の……子供……」
「霙さ~ん、それは断固拒否していただかないと僕の立場が無くなるんですけど」
『チッ』
その瞬間、会議室に女子勢の舌打ちが響いた。
女子こえ~。
「えーと、忙しそうだし、僕一人で行くよ」
「ふーん」
よーし、どうにか修羅場は抜けたぞ。
司に押し付けたのは有耶無耶になったし。
そう言えば、父から手紙が来てたな。
内容は確か義妹と義母が出来たとかいうんだっけ。
まあ、王国に行く気もないし合う気もさらさら無いけど。
いや、わざわざ敵国にのこのこ入っていくような王じゃないけど。
ーーーーーーーーーーー
来ちゃいました、敵国。
はい、言ってることとやってることが違うのは気にしない気にしない。
ということで、家に来たのです。
入って十分ちょいで鼻血を出してぶっ倒れました。
何故、バスローブ姿の妹が僕の部屋にいるんだよ!?
いや。ホント。
まさか、いきなり顔面に一発喰らうとは思ってもみなかった。
そのおかげでぶっ倒れたんだし。
「で、父よ。何があった?」
「え、えーとだな…再婚したんだよ」
「そんなこと知ってるよ!何故、僕が殴られないといけないのか?
こっちは暗殺の可能性を冒してまで会いに来てるんだぞ!」
「まあ、落ち着け。此方が再婚相手のリベスさんだ」
「先ほどは娘が失礼しました」
「いえいえ、此方が悪いんですよ」
「そう言って下さるとありがたいです」
「で、こっちが姉のエリーで、こっちが妹のベトです」
「ふんっ!なんで、あなたに頭を下げないといけないのよ!」
「えと、ベトです。よろしくです」
「よろしくね。ベトちゃん」
「はいです!」
前世の妹を思い出すな。
にしても、流石にやばい。
エリーに嫌われている。
まあ、基本的にこの家にいる予定は無いからいいんだけど。
「で、お前はここで暮らすのか?」
「それは無い。だって、魔王だぜ?ここにいるだけで死ぬかもなんだし」
「そりゃそうだよな」
『魔王!?』
「あれ?言ってなかったっけ?」
「私は聞いてましたけど。言うの忘れてました」
「お母様、こんな奴が魔王なんてありえませんわ」
「信じないなら信じてもらわなくて結構です」
「そうですか。では、信じません!」
「エリー、そんな態度ありませんよ。申し訳ございません。魔王様」
「ふんっ!お母様もペコペコ頭下げて、いい気になるんじゃないわよ!」
そう言うとドアをバンッと開けてどこかに行ってしまった。
玄関の開く音を聞く限り外に行ったようだ。
こうなれば、悪魔たちに追わせておこう。
「御意」
「聞こえてた?」
「いえ、主の心を読むことなぞ造作もございませぬ」
「流石、ルシファー君」
「ありがたき幸せ。では、追って参ります」
「誰と話していらして?」
「悪魔です」
「悪魔ですって!?」
「大丈夫ですよ、僕に仕えてる七魔将の一人ですから」
「流石、魔王様です」
「いえいえ、それと娘さんはいつもこんな感じなんですか?」
「娘さん、ではなくエリーと呼んであげてくださいまし。そうですね、普段は違うんですけれどね」
「そうなんですか。まあ、此処にウチの配下が居なくて良かったです」
「どういうことですか?」
「簡単です。皆殺しにされかねてません」
「それは、まずいですね」
「失礼します。暴漢に絡まれておりますが?」
「今行こう」
「少々、失礼します」
「どうか?」
「エリーが暴漢に絡まれているそうです」
「私も行かせては——」
「嫌です」
「そうですか」
僕はそんな声を他所に僕は暴漢に絡まれているという場所に行く。
路地をかなり進んだ場所で絡まれているエリーの声が聞こえる。
「お嬢ちゃんや俺たちとイイコトしねぇか?」
「おう、うちの妹になんか御用か?」
「あぁぁん?」
「喧嘩ならやめることを勧めるが?」
「強がってんじゃねぇよ」
その瞬間、男は剣を抜いて刺そうとしてきた。
「全焼」
「グハッ」
「あ、ありがとう」
「いえ、礼には及びません。何せ、僕の妹ですから」
「あっそ」
結局、僕は妹からの信頼は勝ち取れた。
で、何故か護衛役として抜擢されてしまった。
それも、第一王女の。
何故!?何故僕が抜擢されるの!?
いや、リベスさんの親友だからってねぇ。
流石に敵国の王に護衛させるのか?
まあ、ともあれ王女の護衛任務が決まったのです。




