30 新しい奴隷
投稿が遅くなってすみません。
少し普段より短めです。
ご容赦ください。
やらかした。
ついうっかり『攻略済』と言ってしまった。
あいつらの目的は攻略する事。
詰まる所、仕事を横取りしてしまったわけだ。
そして、僕は質問責めを受けている。
身代わり(天使)に替えておいたおかげで今は魔族王国に逃げてこれた。
とはいえ、あんな棒人形みたいな奴に対して質問責めをしたところで何も答えないだろう。
そして僕は家に帰る。
家は静かだった。
父やリヴィス、フォーデン、他の王国魔女団のメンバー。
そんな豪華な面々がうつむいている。
理由は言わずともわかるだろう。
そう、母ヴォーウェン=ウォルフェン、そして偽名グリンヴォーゲン=メドフィエスタ=イゲクリートは今日のこの日に死亡したのだ。
勿論遺体は無い。
最近、色んな人が死んでいる。
それも身近にいた人たちばかり。
こんな偶然、あるとは考えにくい。
だからといって誰かのせいかは考える気もない。
気が滅入るだけだ。
こういう時は魔族王国に行くか。いや、帰るというほうがあっているのだろうか?
転移
「せんぱーい!」
横から千歳が飛んでくる。
もちろん、転移したばっかの状態で飛びつかれてよけれるわけもなく呆気なく千歳に抱き着かれた。
というか、胸が顔に押し付けられて呼吸が危うい。
「先輩?どうかしました?」
「とびあえぶ、どびてくべ(とりえず、どいてくれ)」
「あっ!すみません先輩」
千歳が僕を離す。
「大丈夫、大丈夫」
「そうですか。なら良かったです」
「我が主、お戻りでしたか」
「おう、瑠璃。魔王城まで何しに来てたんだ?」
「我が主に連絡を入れようと思いまして」
「で、島で何があった?」
「実は、大鬼族の長。つまり、鬼神がですね島に移住したいと申し出に来まして」
「で、受け入れた?」
「保留ということにしてあります。一応、魔王様の領地ですから」
「形ばかりだからね。基本的には瑠璃の独断でいいよ。流石に魔族とか人族を入れるときは許可を取ってほしいけど」
「そうでした、最近一人の人族の男から島への移住の申し込みがあり魔王城公認の移住証を持っていたため通しましたが…」
「なるほど。取りあえず、その者を謁見の間に」
「分かりました。あと、そのものはどうやら奴隷商の様で」
「なんとなくわかった。取りあえず、島の謁見の間で」
「御意」
「先輩、何の話してたんですか?」
「いや、ちょっとね」
「ふーん。そうですか」
「千歳はどうすんの?」
「私は一緒に着いていきますよ」
「じゃっ、転移」
「此処、何処ですか?」
「ここは魔王領のベトルの魔王城の謁見の間」
「おー、凄いですね。そうだ、私の立ち位置って何処ですか?」
「僕の隣にでも立っとけば?」
「そうします」
それから数分
扉がノックされる。
「入れ」
「失礼いたします。我は序列六位の瑠璃に御座います」
「さて、何用か?」
「はっ、ベトルの住人であるレバスを連れて参りました」
「発言を許す。名を述べよ」
「はっ。私はレバス=メーリスで御座います」
「では、レバスよ、職業は?」
「奴隷商に御座います」
「よろしい。では、レバスの取り扱っている奴隷を見せてくれ」
「御意」
「では、失礼いたしました」
悪い奴じゃなそうだし、あとで見に行こう。
別に猫耳少女が欲しいわけではない。
決してない。
序でに言うとミレンドスがモフらせていくれないからというわけでもない。
そして、遂に奴隷市に来た。
市とは言うものの室内で檻に容れられている。
大体、獣人だ。
「魔王陛下、本日はどの様な奴隷を?」
「そうだな、猫人族の少女はいるか?」
「おります。御案内しますので此方へ」
流石である。
それから別ブースに来た。
ここは性奴隷売場である。
「陛下、此方は如何でしょうか?」
「その者の名は?」
「奴隷には名がありません」
「そうか、その娘を貰おう」
「金貨二十枚ですが少しだけ勉強させて貰います。
金貨十枚で如何でしょう?」
「買おう。これで」
僕は金貨十枚が入った袋を差し出す。
「確かに。ご贔屓にお願いしますね」
「ええ、では」
魔王城の自室に帰ってくる。
「君の名前は無いんだよね?」
「……はい」
「じゃあ、名前はサツキ」
「分かりました」
「あと、僕の名前はシーウォン=ウォルフェン。よろしくね」
「はい」
「取りあえず、お風呂に入ろうか?」
「お風呂……ですか?」
「うん。駄目だったかな?」
「いえ」
「じゃあ、ミレンドスに入れて貰うか」
「呼びましたか?」
「ミレンドス、ちょうど良い。この子をお風呂に」
「分かりました」
「サツキ、お風呂に入ってらっしゃい」
「分かりました」
にしても、無口だなあの娘。
僕は部屋のベッドに寝っ転がりながらそんなことを考える。
そう言えば、リン達はどうなったんだろう?
あと、あのクソ王子はリンに近付いていないだろうか?
あー、駄目だ。
一回、あっち行くか。
転移した瞬間、周りを兵士に囲まれていた。
「魔王シーウォン=ウォルフェン!貴様を神の名のもとに断罪する!」
めんどくせぇ。
取りあえず、暴風雨。
これで大体終わったか。
透明化をかけてっと、侵入開始。
あそこがリンの部屋だったな。
僕はリンの部屋の前に行ってドアノブに手を伸ばす。
その時、中から叫び声と悲鳴の中間のような声がした。
僕はドアを蹴破って中に入った。
そこではクソ王子ことリコリス=フォン=ビステントリがリンのことを襲おうとしているところだった。
僕は王子の首を締め付ける。
「がっ、あがっ、お前、我、を、誰、があっ」
豚が。
取りあえず、百回死んでこい。
「智!?」
「ヤッホー、リン」
「その人大丈夫?」
「さあ?リンに手を出すのが悪いんだよ」
「貴様、貴様、我を、誰と、があっ、える、?」
「第二王子だっけ?まあ、関係無いや。君より僕のほうが上だから」
「なに、が…」
「ちょっ、智。そこまでしなくても」
「制裁を加えただけだから」
「まあ、智が私のことを守ってくれたのは嬉しいけどさ。智が怪我とかしたらいやだもん」




