27 スクールライフ?
入学式が無事に終わり僕は新しいクラスへと入った。
「諸君、まずは入学おめでとうと言おう」
教室のドアを開けてデカい男が入ってきた。
「ここはSクラスだ。入学試験で点数が高いものが集まっているから問題は起きないだろうがくれぐれも問題を起こさないよう」
『はい!』
Sクラスの人数は十五人程度、アメリカの学校と同じ感じか。
少人数制のタイプの学校。日本の大人数制とは違う。
こっちの方が効率は良いと思う。
ちなみにこの学校はSクラス、Aクラス、Bクラス、Cクラス、Dクラス、Eクラス、Fクラスがある。
Sに近づくほど実力があるとみなされるためその後の就職活動にも影響をもたらす。
「俺はこのSクラスの担任、グレイド=ハルヴァードだ。
さて、全員杖を出せ」
僕らは杖を自分の懐から出す。
すると、ハルヴァードは全員の杖を一本一本確認し始めた。
「ウォルフェンの杖は見たことがないな」
「ええ、自作しましたから」
『はあ!?』
全員の声がハモった。
「お、お前、魔道具師か!?」
「兼魔女であり、兼魔術師、兼付与抜刀師、兼錬金術師、兼回復術師、兼呪詛師、兼魔工師、兼召喚術師、兼結界師、兼奴隷術師。とか、色々ですね」
全員、目を見開いている。
いや、まあ驚くのも分かるけど。
「じゃあ、なんか魔道具作れんのかよ!?」
「例えば、今見せてる杖とか魔剣とかかな」
「魔剣!?」
「じゃあ、結界は!?」
「色々使えるけど?」
「じゃあ、なんか使って」
賢者、何か良い結界ない?
〔魔封じの結界を推奨します。〕
じゃあ、発動。
「魔法使ってみて下さい」
「では、私が」
前の方に座っていた魔法少女という感じの少女が手を挙げる。
「全てを破壊する、破壊神の力よ、我が標的を悉く破壊したまえ。破壊王!」
「発動しない?」
「それが結界。下位の結界。魔封じの結界」
「ま、魔封じの結界!?」
「どうかしましたか?先生」
「魔封じの結界というと、王宮結界師が五人がかりで魔法陣を描いて十日かけて発動する大結界じゃないか!」
「そんなに?」
「というか、お前下位ってお前の言う上位って何なんだ?」
「例えば、種族封印とかですかね」
「種族封印?」
「知りませんか?すべての種族の行動を縛る結界です」
「お前、まさかと思うが」
「一応使えますけどやりますか?」
「気になるからな、頼む」
種族封印、発動!
「うわっ!何だ、動けねぇ」
近くにいた男子が声を上げる。
次々に声を上げる。
「これが種族封印です」
そう言い僕は種族封印を解く。
「何という結界だ。王宮結界師、三十人がかりでも発動できないぞ!」
『はあああ!?』
全員が驚いている。
そんなに凄いのか?
「すげぇ。今代の魔王様なら出来るのかな?」
「名前なんだっけ?」
「確か、シーウォン…あー!シーウォン=ウォルフェン!」
「それって、こいつのことか?」
バレた。
賢者さんや、どうにかならないか?
〔この場にいる全員吹き飛ばす事です。〕
力技かよ!
「これは、失礼しました。魔王様」
おーい、跪くな。
先生が跪いたら生徒も跪かないといけなくなるだろ。
予想通り、全員平伏してるじゃねぇか。
「えーと、この件は部外秘でお願いします」
『はっ!』
これは、もう普通の学園生活は送れなさそうだな。
はぁ、まあ諦めるか。
そうして、始まった学園生活
無事に始まるとよいのだが。
そんなこんなで翌日
「今日はまず、全員の実力を確認する。えーと、ウォルフェンだけはBクラスに教えに行ってください」
ということで、問題児クラスと評判のBクラスにやってまいりました。
もう既に殴りかかってくるおバカがいるんですが…。
「君は確か、ヴァルト君でしたっけ?この程度のスピードで当たるとでも?」
「おらっ!Sクラスだからって威張りやがって」
「威張ってはいませんし、あと、殴りかかってくるのは問題行動かと思いますが?」
「それがなんだ?ああ、こえーんだな。俺様の魔法を見て驚け!」
「驚くほどのものかは知りませんが魔法を使うならこちらもそれ相応の対応を」
「遍く魔力よ、我にこいつを倒す力を与えたまえ。魔力弾!」
弱すぎる。僕の魔力でかき消されやがった。
「何で消えた?」
「弱いからだな。というか、魔力が隠せてない時点で弱い」
「分かったよ。お前が強いのは」
そう言って座る。
こういうのは実力差を見せ付けるのが良いのですよ。
知らないけど。
それから、僕はBクラスで魔力操作を説明した。
その成果は十分すぎるくらいであった。
序でに分かったのは詠唱は声に軽く魔力を乗せて魔法を発現しやすくするものらしい。なので、魔女クラスになると無詠唱でポカポカ撃てると言うことらしい。
そう思うと僕ってかなり規格外だったんだろうな。
というか感じで教えたんだが、校長が卒業証書渡してきた。
いや、おかしいだろ!
何で、入って二日で卒業してるんだよ!
とまあ、そんな突っ込みを入れつつも貰い結局、学校に入るとかそう言う次元じゃなかった。
なので、今はかてきょーをやる羽目になっているのだ。
一応、王子の仲介のもと相手を探した。
相手は貴族令嬢でマジの初級魔法を取りあえず教えて欲しいらしい。
初級が出来たら次は中級を習いたいらしいがまだ、そんなレベルには達していない。
今は杖の構え方を説明しているところだ。
「こうですか?」
「いえ、こうやって構えるんです」
「こんな感じですか?」
「そうです、では、次に詠唱です。僕の真似を」
「はい!」
「流れる水よ、我の前に集え。水球」
「おおー!それが、魔法ですか!?」
「はい、これは水魔法の初級です。お嬢様は水に適正があるので使えると思います」
「では、参ります」
「流れる水よ、私の前に集いなさい。水球!」
ところが何も起きない。
「これであってるんですよね?」
「ええ。ですが、お嬢様の集め方では無駄が多いです。イメージとしては周りから水を集めてそれを一点に纏める感じですかね」
「水を集めてそれを一点に纏める。なるほど、では、もう一度やってみます!」
「流れる水よ、私の前に集いなさい。水球!」
今度は成功だ。
「出来ました!」
「流石です。お嬢様。では、次は水刃です」
「はい!」
まあ、早い気がするけどまあいっか。
と、こんな時間かよ。
「すみませんが、水刃は明日にしましょう。ご家族が心配されます」
「そうですか、分かりました。では、ご機嫌よう」
「ええ、ご機嫌よう」
そんな感じで僕は近くの宿屋に泊まった。
というのも、家からこの貴族の家まで結構距離があるから宿屋に泊まるのだ。
翌日
「おはよう御座います、メリス様」
「おはよう御座います。ゼロ様」
「今日は水刃をやるんですよね?」
「はい、僕が手本をお見せします」
「流れる水達よ、我が敵を切り裂く刃となれ!水刃!」
僕は予め立てておいた案山子に当てる。
その案山子は真っ二つになる。
「凄いです!」
「ありがとう御座います、お嬢様」
「そうだ、私のことはゼロって呼んで、私の魔法の師匠なのですから」
子供ダナー。
いや、実際この子は十歳なんだけど。
あと、厄介なことにならないようレン=メトスと名乗っている。
「出来ました!」
「まだ、威力が足りないのと勢いも足りないね」
「どうすれば良いのでしょう?」
「どんなイメージかな?」
「えーと、昨日の水球を飛ばす感じですかね?」
「惜しいかな。飛ばすんじゃなくて目の前に刀身を水で創る感じ、それを投げ付けるってイメージだとやりやすいかな」
「分かりました!」
「流れる水達よ、私の敵を切り裂く刃となれ!水刃!」
威力不足だな。
さて、どうしたものか。
「あの、すいません!」
「急にどうしたの?」
「えっと、あの、いつも、失敗ばっかりで……」
「ゼロが全部成功したら僕は要らないからね。じゃあ、気分転換に僕の魔法をちょっと見せてあげる」
「ホントですか!今、お母様を呼んできます!」
そう言ってゼロは屋敷に入っていった。
それから五分ほどして一人の女性が出てきた。
「ご機嫌よう、メトス様。私の娘がお世話になっております」
「いえいえ、此方こそ。ゼロは?」
「娘は主人を呼んできております」
「そうですか、分かりました。では、見たい魔法は有りますか?」
「宜しいのですか?」
「ええ」
「では、伝説の魔法と言われる極炎球が見たいですわ」
「分かりました。では、極炎球!」
その瞬間、全ての案山子が灰になった。
「これが…極炎球!流石の威力です」
「いえ。ゼロが来ましたね」
「メトス様、娘がお世話になっております。娘が御迷惑をかけてないでしょうか?」
「良い子ですよ。では、何か見たい魔法は?」
「そうですね神話の青炎の灯火が見たいですね」
「分かりました。良いでしょう。青炎の灯火!」
「これが、あの青い炎ですか」
ゼロの父親は立て直した案山子が青い炎で燃えている様を見て満足気だ。
「師匠、私、もっと見たいです!」
ゼロが目をキラキラさせて僕の方を見る。
「良いよ。じゃあ、いつかゼロが使えるだろう魔法を見せてあげる。大津波!」
その瞬間、僕の手元から大量の水がわき出て案山子達は一掃され水の水流に飲まれ消えていった。
「師匠、凄いです!私もいつか、使えるようになります!」
「まあ、いつかはこんな魔法も使えるようになりますよゼロなら。まあ、これを使うには星降級魔法師になる必要がありますけど」
「星降級って何ですか?」
ゼロがそう聞く。
「星降級ってのは魔法師のランクでね、初級・中級・上級・最高級・星降級・世界級・魔女級って感じかな」
「師匠はどこなの?」
「確かに気になりますね」
「えーと、僕はですね魔女級です」
「その若さで凄いんですね。さぞかし、女の子に告白されることでしょう」
「こら、あなた、そんな方に娘を教えていただけるなんて光栄なことなんだから」
「まあ、この前までは僕も婚約者がいたんですけれど殺されてしまいました」
「すみません、そんなことを聞いてしまって」
「いえいえ、気にしてませんよ。じゃあ、ゼロ。やるよ」
「はい、師匠!」
「では、宜しくお願い致します」
そう言ってゼロの両親は屋敷に戻っていった。
「師匠、水刃位すぐ覚えますね」
「流れる水達よ、私の敵を切り裂く刃となれ!水刃」
僕はゼロの体内の魔力の流れを見ていた。
この感じ、魔力量が少ないのか?
「ゼロ、魔力量ってどのくらい?」
「私のは九百五十くらいです」
九百五十って良くそれで魔法を発動してたわ。
これは杖を新しくするべきだな。どうせなら創ってやるか。
「ごめん、今日は帰る」
「私、何かしましたか?」
「いや、僕の用事。ごめんね。じゃあ」
僕はそう言って屋敷を出て魔石とゲーリンの大樹の太めの枝を買い、アイアタルの毛を数本、貰ってきた。
魔石は綺麗なターコイズブルーだった。
僕はまずフォルツァの羽根を杖の芯にしてゲーリンの太めの枝の中心部に羽根のサイズに穴を空けて芯を差し込みゲーリンの樹を加工したところに魔石を填めて最後に付与で[自身の持ち主のみが杖を使え、呼べば杖は自動的に近づいてくる]としておいた。
それを僕の魔力につけたので綺麗な翡翠色の杖が完成した。
これをゼロにあげる予定だ。
リアルでも魔法使いの杖作ってみたくなったので作ったらTwitterに上げるかもです。




