11 ミクとの再会
僕らの前に現れたのは神界への門。
「じゃあ、行きましょうか」
「そうだな」
父がそう言い門を潜る。
続いて他メンバーも入っていく。
「ここが神界?」
門を潜った先にあったのは森だった。
森には神獣が約二十匹ほどいた。
二十匹もいれば軽く城塞都市を落とせるはずだ。
もちろん、神獣は普通の剣では斬れない。
神殺刀か獣殺剣、魔剣でしか傷がつけれない。
神殺刀を使うのも気が引けるのであの大量にあった剣の中の一本、魔剣ディルフォードを使う。
この剣達、便利なことに考えるだけで手に出てきてくれる。
ということで、突撃。
神獣が飛び掛かってくる。数匹まとめて切り払う。
神獣達は周りに氷の柱を作り始める。
神獣達はそれに登りそこから飛び降り僕に噛みつく。
片手が動かない。
その傷を《超回復》で治す。
治った手で魔剣を構えて神獣の攻撃を躱しつつ神獣を斬っていく。
残り一匹の首をはねる。
これで終わり、のはずだった。
僕が首をはねた神獣は首だけで動いた。
そして、他の倒れている神獣を食べていく。
ついに、神獣の死体はその首一つによって食い尽くされた。
その直後、首一つの神獣は頭より下を生やす。
そして、先ほどとは比べ物にならない大きさの神獣になった。
大きさは約十三メートルほど。
神獣は大きな咆哮を上げると同時に神獣の横に一メートルほどの氷のかたまりが出来る。
その先は尖っている。並の障壁程度なら軽く突破できるだろう。
その氷のかたまりは僕に向かって銃弾のごとき速さで飛んでくる。
しかも、その氷のかたまり、いや弾は絶え間無く飛んでくる。
自分の体力が無くなりそうだ。前世よりスタミナはついたがそれでも、きついものがありそうだ。
僕も神獣に火球を撃ち込む。
予想通り神獣の周りの無限が火球を抹消していく。
つまりは、外部からの攻撃は一切通さないというわけだ。
一つだけ傷をつける方法があるが今の神獣に近づけない。
となると僕も逃げ続けないといけない。そのためには防御魔法の重ねがけは必須だ。
ただ、防御魔法を発動し続けると魔力消費が半端じゃないのでこの敵にそれは愚行だろう。
この敵の場合は近づかないといけないがそのためには何かしら気を逸らせるものを用意しないとけない。ついでに言うと近づいた時に何かあった時のために魔力は温存しておきたい。
母達は森の出入り口で待っている。
つまりは、森の出入り口付近にいかせてはならないということだ。
その時だった。
森の中から一本の矢が神獣に向かって飛んでいく。
その矢は神獣の体に食い込み神獣の体を抉る。
神獣の隙が出来た。
僕はその隙に神獣の懐に潜り込み魔剣と神殺刀を神獣に刺してそこから獄炎を発動する。
神獣は咆哮を上げる。それと同時に傷が治っていく。
僕は剣を引き抜き森の中に潜り込んだ。
神獣の行動を確認しなければいけない。
そのためには森の中からの監視が一番楽だ。
その時、後ろから僕の肩を叩く“何か”がいた。
その“何か”は僕に神獣の弱点を教えた。
あの神獣の弱点は角なんだとか。
あと、あの神獣は幻影で本体は透明化しているらしい。
最悪すぎる敵だ。
透明化がどうにかなれば勝てる兆しがある。
とはいえ、透明化を発動してる敵に攻撃を当てるとかいう化け物能力は無いので《超視覚強化LvⅣ》《動体視力強化LvⅣ》。
これで、ある程度変化を見逃すこと無く神獣を見つけれる。
さっきからこそこそ僕のことをみている奴がいる。それは分かった。しかし、肝心の神獣がいない。
取りあえず僕のことをみている熱狂的なストーカーさんを見つけるべくいると思われる方を注意深く見る。
すると、メキメキと音をたてて空間が割れる。
割れ目は小さくなっていく。
僕はすかさずその割れ目に空間剣を投げ込む。
割れ目が広がったタイミングで僕は割れ目に乗り込む。
そこにいたのは拘束されているミクと仮面を被った人物、仮に人物Aと呼称する。
「やあやあ、こんにちは。シーウォン=ウォルフェン君」人物Aは僕に丁寧にお辞儀をする。
「こんにちは。ところで、ミクを返してくれませんか?」
「それは困ります。我々の計画が頓挫してしまいますから」
「計画?」
「ええ、転生者の少年二人を捕獲してこの世界を滅亡させる計画です」
「やけに具体的な計画名だな」
というか、元ただの平凡極まりない一高校生に世界の存続の話を持ってこられても。
「ええ、分かりやすい方が計画に参加するものが理解しやすいですから」
「なるほど、で、ミクは解放してもらえないのかな?」
「いえ、あなたが来てくれた以上この小娘は要りませんのでお返しします」
「で、何処から帰れば良いのかな?」
「返すとでも?」
「それはつまり返してくれないと言うことですか?」
「ええ、あなたを返せば計画がおじゃんになりますから」
「誰が手伝うと?」
「手伝う手伝わないという問題ではないんですよ」
僕はその瞬間に人物Aが少し、動いたのを見逃さなかった。
人物Aが飛ばした短刀は僕の腹すれすれを通過し人物Aの手に戻っていった。
「まあ、少し楽しそうだし遊んであげよう」
「ほう?」
「だから遊ぼうぜ」
「それはそれは、ありがとうございま…す…」
そこで人物Aの息は途絶えた。
その後、丁寧に火葬しておいた。
「シー君?」
「起きた?」
「ここは?」
「神界だよ」
会話が続かないんですが。
と、そこに母たちが到着した。
「シー、大丈夫?」
「うん、どうにか」
「二人とも無事…とはいかなさそうですね」
「ええ、僕は神獣戦で。ミクは多分仮面の奴の仕業でしょう」
「仮面?」
「そう、仮面の奴。世界滅亡を企んでたやつ」
「多分、結社の仕業でしょう」
「でしょうね。そんな大掛かりな計画、結社くらいじゃないとやらないわ」
「…名前はレイ=カミオカ」
ミクが言う。
レイ=カミオカって絶対日本人だろ。
字は分からんけどこっちの名前じゃないよな。
「ふーん、珍しい名前だね」
フォーデンが言う。
多分、分かってるよな。
「そうね。まあ、結社をどうにかしましょう」
「じゃあ、潰しに行くか」
父が言う。
流石に即決過ぎない?
まっ、全員異議なしだからいいけど。
「じゃあ、行きましょう」
「その前にミクの体調確認してからにしようね」
僕が言う。
「あはは、ごめんね」
母が半笑いで言う。
「私は大丈夫」
ミクが立ち上がりなが言う。
「大丈夫なの?」
「大丈夫、ちょっとくらくらするだけ」
「ミク、大人しく座っといて」
僕が言う。するとミクは言い返すように
「子ども扱いしないで」
と言う。
いや、現に子供でしょうに。まあ、僕も子供なんですけど。
ということで、結局家に帰ることになった。
「疲れたわねー」
母がソファーにダイブしながら言う。
「ほんとですね」
リヴィスが食卓の椅子に座り紅茶をすすりながら言う。
なんだこの差は…
「母さん、せめて普通に座って…」
「ま、良いんじゃない?」
そして、フォーデン。何サラっと正座で珈琲すすってんだよ。
というか、何で部外者まみれなんだこの家。
というか、病み上がりの十歳の子供に何やらせてんだよ。この大人たちは…
「ミク、手伝う?」
「良いの?」
「いや、病み上がりだし」
「ありがと」
ミクがこっちに向かって微笑みながら言う。
大人たちは笑っている。
ミクが「何で笑ってるの?」と僕に聞く。
それ、僕に聞かれてもって感じだけどまあ、大体心情は理解出来る。
多分、ほほえましい光景だな~とか考えているんだろう。
そんなことを考えていると母が
「それはね~、初々しいな~って」
そっちだったか。
「そう?」
ミクが母に聞く。
いや、確かに初々しいっちゃ初々しいと思うけど。
「そうよ~、私達が新婚の頃はこの人が~」
「やめてくれ、頼む」
父が赤面して母の言葉を遮るように言う。
「はいはい、分かったわよ」
なかなかにシュールな光景だな。
でも、まあこんな時が続けばいいな。
「シー君、好き」
ミクが僕に抱き着きながら言う。
「シー、良かったわね」
と、母が笑いながら言う。
「からかわないでくれる?母さん」
「分かったわ~。あと、私にも珈琲、頂戴。ブラックで」
母が言う。
「わかったわかった、今持っていくから」
そう言いながら僕は珈琲を母のもとに持っていく。
母はグビグビ珈琲を飲む。
「オえっ、シー、何入れたの?」
母が僕に聞く。
「これ」
僕は香辛料の瓶を母に見えるように持って言う。
「そりゃ、まずいわよ」
「母さん、後それ珈琲じゃないよ」
「何?」
「タンポポ珈琲」
「何それ!?」
「珈琲っぽいやつ。この前見つけたから買った」
「ヴォーウェン、からかった罰だそうだ」
父が言う。
「まあ、面白いからよし。とするわ」
「ありがと」
どうにか今日中に投稿完了!
ようやく、ミクとの再会です。
家族団欒、良いですね~




