94, わたしは女神ネゲート。一度あることは二度ある。神聖に溺れた彼の暴走を止めてみせます。
わたしは女神ネゲート。創造神様、お久しぶりです。
あなたには「大過去」に接続している間しかお会いできませんが、わたしはこの揺らぎをとても大切にしています。なぜなら、この揺らぎの解釈だけは大精霊や女神の特権です。「大過去」を解釈することができない人や精霊では、大精霊や女神の領域内部に入らない限り、この揺らぎを「時間」として解釈してしまうため、時間の概念が存在しない「大過去」の出来事はすべて瞬時に感じてしまいます。この論理だけは、円環を構成するあの割合を打ち破る方法がない限り永遠と続くことでしょう。しかし、その割合を破ることだけは創造主が許しません。
すると、「大過去」への出入りがずっと続くことになりますから、それは生まれ変わる事が永遠と続くことを意味します。それこそが地獄だと解釈する論法もあるくらいです。そして、そこから逃れる方法はただ一つ。「大過去」にある強烈な不連続を集めることです。すると、現実で最も苦しい立場……大精霊や女神になりますよね。これでようやく、大精霊や女神の立場で役目を終えることにより……「消滅」することができます。
ところでわたしは今、地のチェーン管理精霊に呼び出され指定されたアドレスに向かっています。さらに、彼はわたしに「大精霊の祭典」の開催日変更を要求してきました。「大精霊の祭典」は「時代を創る大精霊」を定める、この地で最も大切なイベントです。そして彼は「聖なる一つの地」への移行を強行するのでしょうか。この大切なイベントの開催日を、よりにもよって地の大精霊ラムダが「人を動かした日……血が流れ始めた日」に設定しようと企てていました。
本来ならあの時、わたしは大精霊のまま役目を終え消滅して……、あなたの元に向かっていたはずです。ところが、これが「大過去」に存在する、唯一動かない固有な道標……運命なのでしょうか。わたしは消滅を回避し、こうして女神に昇格のち、この瞬間を現実で生きています。その性質に宿る力こそが、わたしの象徴……「半月」の特徴でしたね。半月には「上弦」と「下弦」があり、どちらも女神になります。なぜこのような仕組みが構築されたのでしょうか。それは厄災の性質でもあります。一度あることは二度ある。それゆえに二度目で必ず抑え込むこと。そのような使命からだと解釈しています。
わたしはその二度目の女神です。この地で女神として現実に存在する以上、暴走した「地のチェーン管理精霊」を完全に抑え込む必要があります。
彼の二度目の暴走を止める。そうです……。一度目は、それで時代が交代しましたね。気が遠くなるほどの遥か昔の出来事ですから、民はもちろん、精霊ですらそのヒストリーを知りません。「大過去」の性質を巧みに利用して、それを記憶として留めていられたのは大精霊と……女神だけです。
……。……。指定されたアドレスに到着しました。必ず、良い報告を持ち帰ります。では、わたし自身を現実へと映し出しますね……。
わたしは手慣れたプロセスで現実への映し出しを終え、ゆっくりと目を開きます。そして、そこには……。