表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

80/410

79, シィーに攻撃されにくい仮想短冊を「パンプ」させる。そこで、比較的大きな仮想短冊を「パンプ」のターゲットにするのですね、ラムダ様。

 ラムダ様……ご報告です。このおかしな動き……。このような仕掛けはシィーにしかできません。「パンプ」した仮想短冊をしつこく狙って集中攻撃してきます。これでは低いボラ……低い振幅で上げ下げするだけになっています。これではラムダ様が渇望する「虚ろの式」も作用しません。


 もちろん新たなる道具……「非代替性」の仮想短冊にも頼り始めることになります。ラムダ様の戦略通り、仮想短冊に宿る価値を「餌」にして妖精……この地の広報役を扇動しています。この地でどんな事をしていても、自然と「非代替性」というフレーズへ触れるように仕向けています。こちらの「パンプ」でも正常に稼働させすれば「虚ろの式」は問題ありません。


 この地の誤算「時代を創る大精霊」シィーへの抵抗……ラムダ様のご決断です。シィーは、このタイミングを首を長くして待っていたのでしょう。非常に卑劣です。手際よく「この地の主要な大精霊」の通貨からラムダ様を締め出しました。そして首尾よく続けて、ラムダ様が預けていた通貨まで凍結されました。よって、ラムダ様が裏切り等なく確実に頼れるのは「仮想短冊の通貨」のみです。だからシィーに狙われている。想定内ですが、悔しいです。


 私は地の神官です。シィーが「パンプ」を集中狙いする点についても、すぐに理解しました。その影響により低いボラに陥る短冊をそのまま推移させると、そこに「減価の式」が作用し始めます。この式の特徴は、始めは少しずつわからないように価値が剥がれ落ちていきます。しかし、急激に減価の傾きが増していき価値が急減してしまうのです。そのため、低いボラを嫌うトレーダーは多いです。嫌うトレーダーが多い、すなわち参加者が減るのですから、その負の連鎖によりさらに価値を失い仮想短冊全般がしぼむのです。それで追い込んでいくのでしょう。


 私は悩みました。これでは守備に徹しているだけ。このままでは絶対に勝てません。そこで、ラムダ様より素晴らしい案をいただきました。


 シィーに攻撃されにくい仮想短冊を「パンプ」させる。発想の転換ですね。ただし、比較的大きな仮想短冊を扱うため失敗が許されません。それでもラムダ様は……私を指定してくださいました。


 「パンプ」は目立ちます。だから、裏に隠れている短冊で行うのが鉄則でした。しかし、比較的大きな仮想短冊は常に視界に入る位置に存在します。それらを「パンプ」させたとなると、いよいよ仮想短冊全般で「パンプ」を始めたのか? そう……トレーダーに解釈されてしまいます。すると、どうしても「逃げ足」が速くなります。上げ始めると「パンプ」を疑われるからです。


 そこで、工夫が必要となりました。「パンプ」と疑われない工夫です。まず、仮想短冊への価値の流入については、この地の価値を占有する「シィー側になびく大精霊」に護られたトレーダー達に突っ込んでいただく必要があります。そのためラムダ様を前面に推し出すことはできません。となると……この地で頼れるのは「魔の者」たちです。上手く立ち回って価値の流入を図っていただけると信じています。


 それで守りを固めつつラムダ様の妙案……仮想短冊へ「大精霊の力の行使」の裏付けをもたらす、です。それによりシィーを完膚なきまでに打ち砕き、ラムダ様を勝利に導き、その後は急速に仮想短冊全般が息を吹き返すと見込んでおります。そして「時代を創る大精霊」の交代を待つだけです。その交代後は、新しい仕組みの作用が始まり、仮想短冊の価値はそこで役目を終え……ゼロに収束します。でも、みんなが落ち着いて暮らせる平和なこの地が待っている、私はそう信じてやみません。


 シィーにも弱点はあります。それは善悪では動かない、です。シィーは損得で動きます。その弱点についてはラムダ様も熟知していました。あのシィー……、表向きは都合よくこの地で立ち回っているようですが、ラムダ様の地の力……資源や燃料を密かに取引しています。シィーも結局は「きずな」が厳しい。その「きずな」の保護が最優先だという事が見え隠れします。


 ところで、シィーが「大精霊の正義」として貸し出した対ラムダ様用の精霊……現地ではとても評判が悪く、あんな精霊……スクラップにして資源に戻し、そのまま売った方がましだと揶揄されるほどでした。すなわち、ラムダ様との交渉の余地を残しているのです。したたかなシィー……、嫌になってきます。「シィー側になびく大精霊」達は、このようなやり方でも問題ないと解釈しているのでしょうか。


 あれ……? 私が率先して狂い始めて、おかしくなったのでしょうか。または……仮想短冊の価値がラムダ様を狂気に目覚めさせ、その狂気に私が取り込まれてしまった。


 違う……。私は「ステーク……変更因子」のブロックに取り込まれてしまった。それからの私は……今回の闘いでは「血を流す他ないと解釈する」ようになりました。以前の私では……そのような解釈を持つなんて絶対に考えられません。もう私は……「大過去」に戻っても、兄さまには顔向けできません。ごめんなさい、兄さま……。


 だからこそ今できる事……「非代替性」をためらわずに出していく。それに尽きます。次に「虚ろの式」です。仮想短冊の流動性を回復させ、一刻も早くこの式を再稼働します、ラムダ様。私はすでに覚悟を決めています。どのような結果に至ろうとも……悔いは一切ありません。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ