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62, シィーさんの時代が到来するのか? それは……月に向かうのか、それとも、ゼロになるのか?

 とても長く感じた「あの一日」から、いくばくか経過しました。


 最近、シィーさんの本気を感じます。なぜなら、ご機嫌が良すぎです。俺に押し付けてきた「書物の街への同行」の件すら、急に「私も行きますね」になりました。


 ネゲートによると、「最高の『売り売りな材料』でも探し当てたのかしら?」でした。または「大精霊としての自覚が芽生え、時代を創る覚悟ができたのかしら? それなら良いけどね。」らしいです。ネゲートにとやかく言われる筋合いはないですが、俺ですら、時代を創る方が「売り売り」よりかは良いと考えます。もちろん、シィーさんの「最後は、少数派が必ず勝つ」という考え方は尊重はしますが。


 ところで、シィーさんは「満月」を象った大精霊、とのことです。どこかで聞き覚え、それから、ネゲートより伺いました。どこかで? ……。なぜかそこに、フィーさんとネゲートがいて、なぜか、思い浮かべたくもない光景が、なぜか、しっかり残っている「そのような記憶」になっています。


 「そのような記憶」になっている? えっと、そのように構成された、というべきか。何とも摩訶不思議な話です。そもそも記憶って、俺から能動的に情報を取って、構築していくものですよね? それこそ、受動的に何かの逆らえない力によって再構築してくものではないはずです。なんだろう、これ。


 そう迷ったのなら、時空を専門に扱う精霊……、フィーさんです。時空を専門? つい先日、この事実を知らされました。あの移動の力の源などになっているようです。それにしても時空を専門に扱い実用化しているとはね、この地ならではの力を何度もみせつけられました。


 ただ、何というべきか。フィーさん……「時空を専門とする精霊は、少しばかり変わり者が多いのです」とのことです。もちろん、軽く会釈してかわしながら、事なきを得ています。間違っても「それをフィーさんには指摘されたくないよ」など、余計なことは発しておりません。ごねたら大変ですからね。


 さて……、満月の話に戻りましょう。どうやらこの地では、月に向かうことが、成功するという意になるらしいです。だからこそ、シィーさんが本気で時代を創るならば、それは大歓迎という意にもなるらしいです。すみません……、らしいばかり、ですね。どうしても、この地に呼ばれてから日が浅いので、このあたりには不慣れです。


 しかし、喜んでばかりもいられません。なぜなら、時空を専門に扱う精霊……そうです、フィーさん派ですね。大幅に見方が異なっていまして……、「満月とは、ゼロにする性質がある」とのことです。


 そして、それを象った大精霊「シィー」の本当の役割とは、いったい、なんだろうか、でした。


 本当の役割なんて、オーバーな表現をされてしまうと、まるで、シィーさんは上位の何かによって創造されたような感じですよね? ……。それを言い始めたら、その辺を這い回る虫や、俺のような人間すら、何かの上位によって創造されたと、考えるべきですね。


 ただし、俺には満月のようなシンボルに相当するものはありません。よって、「何で生きているのか」という問いには絶対に答えられません。わかりませんよ、そんなものは! しかし、フィーさんは「三日月」、シィーさんは「満月」……そして、ネゲートは「半月」というシンボルですね。たしかに、気にはなります。


 もしかしたら「月」と「時空」に、何かしらの関係があるのかもしれませんね。


 おっと。フィーさん……すなわち「時空を専門に扱う精霊」は、矛盾を大いに嫌う傾向があります。たしか、新しい理を定めるとき、すべてにおいて矛盾がないかどうかを「絶対に再チェックする」とのことです。


 つまり、シィーさんの満月というシンボルが、ゼロになる性質を帯びている点についても、すでにチェックを終えているということです。そして、シィーさんは「売り売り」です。その矛盾なき点について、この「売り売り」を主眼において述べたものかもしれません。そう考えると矛盾がありません。


 となると……。そのゼロになるとは?


 おや? なんだか……、急に眠たくなってきました。最近、よくあります。この地の生活で、慣れないことへの連続から、疲れがたまっているのでしょう。ちょっと休みますね。

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