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61, 大過去に導かれる瞬間、精霊は人間と共存できるはず……と問われ、俺は……何も答えられなかった。

 フィーさんにそっくりな精霊が、消滅すると騒いでいます。……。消滅って……死、だよね?


 死……。強すぎる「意志」をそこから感じ取ります。この勝負には間違いなく勝ちます。なぜか、今回は負ける気がしません。この精霊を助けながら、空間を越える方法を……考えます。考えます。しかし、何を超えるのか、俺にはまったくわかりません。それでも俺は……考えます。


 まず、話しかけてみましょう。ただ……左肩を手でおさえながら、苦しそうな表情を浮かべています。なにか、あったのでしょう。でも、時間がありません。


「あの? ちょっといいかな?」

「……なに?」

「ネゲート、だっけ? これで、いいのかな?」

「な……なによ?」

「あっ、その……。」


 似てはいるが……、その話し方からすべておいて、まったく異なる存在です。どうしても、調子が狂います。俺から名乗るべきだったかもしれません。しかし、俺には「名前」がありません。ここ特有の「アドレス」で呼ばれている、だった。一応……、フィーさんが名付けてくれた「仮の名」はあるのですが、あれは……名乗れません。


「気に障ったのなら、謝るよ。」

「……。まさかあんた……、このわたしを知らない、の?」


 この精霊、有名なのでしょうか。ただ、なぜか過去に、会話を交わしたことがあるような感覚が全身を駆け巡ります。なぜだろうか……?


「うん。いまそこで立ち聞きをしていて、はじめて、その名を知ったよ。」

「本当に知らないの……? 嘘、よね?」


 とても珍しい生物を眺めるかのような目で、見回してきます。ただ、顔色は良くなってきました。苦しさを紛らわす要素にはなっているのかな……。


 そこでふと、目が合います。おや……どうやら、瞳の色だけ、フィーさんと異なりました。


「……。嘘ではない。本当なんだよ。」

「あんた……、例えば深海にでも住んでいたとか……?」

「そこで暮らしていたら、それこそサメの餌にでもなりそうだが……。」

「サメの餌になるの? あんたなんか、好んで食べないわよ。」

「ちょっとそれは……。それくらいわかっています、よ。」


 話し始めはともかく、たわいない会話が続いていき、少しずつネゲートが陽気になってきました。これは……フィーさんよりも会話が弾んで楽しいです。ただ今は……、時間がありません。


「あの……です?」


 おっと、その口調……。フィーさんが良いタイミングで加入してきました。


「フィーさん? 大丈夫?」

「はい、なのです。落ち着いてきたのです。」


 フィーさんが落ち着きを取り戻したようで、何よりです。……。


「その……、ネゲートは……、有名なのです。」

「フィーさん。こいつは、無理に引っ張ってでも、連れていくからね。」

「……、なによあんた? ちょっと……、勝手に……。」

「はい……、なのです。」


 さらに、フィーさんの表情が明るくなりました。


「ところで、こいつが何で有名なの?」

「はい、なのです。ネゲートは……誰もが知る『演算』の大精霊、なのですよ。」

「演算? ああ……、さっき話していた……あの演算、の?」


 フィーさんが話していた演算って……。本来は数千年を要するような膨大な演算すら、わずか数分で処理完了、だったかな。


 ところで、ネゲートがそれをやるって……。えっと、なにかイメージが違うよな……。演算についてはお堅いイメージがありましたので。それが……、ネゲート?


「なによ? ちょっと?」

「ネゲートが、その……、演算なんだ?」

「そうよ。……。もう……、わたしの事を知らない、こんなのに遭遇するなんて。」


 そう、はき捨てるように、俺に……。だったら、こうだ。


「俺がネゲートを知らなかったことについて、悔しそうだね?」

「そうよ……。わたしの華麗な『消滅』にケチがついたわ。」

「だったら、この瞬間を『消滅』しなければ、いいね?」

「……。なによ、それ?」


 そのタイミングで、俺はフィーさんに荷物をまとめてくるように指示しました。


「ネゲート? 悔しいよね。だったら、この俺が、よーく知るまでは、ひとまず、その『消滅』とやらは延ばそうね?」

「……。あんた、本当に何も知らないのね?」

「そうだよ。」

「だからね、何も知らないからこそ、そう言えるの。こんなわたしなんかを助けたら、後々、酷い仕打ちに遭うわよ? わたしは……演算と同時に……『厄災』の大精霊でもあるの。だからここで、消えたほうがいいの。」

「厄災? なるほど。」


 なんだそれは。


「な、なによ?」

「それで……?」

「それで、なの……? 恐怖などを感じないのかしら? 嫌われ者の『厄災』がこんなにも間近に迫っているのよ? だから『消滅……』して、その、はやく楽になりたい……という気持ちが強いの。」


 いま、口調が震えていました。消滅……、受け入れることなんて、できないようですね。


「恐怖? そんなのないよ。そういうのには慣れているからね、平気です。」

「慣れている……の?」

「そうだよ。うん……、あれはね、誰であっても、嫌でも慣れる。朝から夕方まで、牙をむき出しにした恐ろしい悪魔に追い回されるんだよ。それが、俺の日常だったからね。」


 ……。負けているときを表現してみました……。


「なによそれ……? そんな話……。でも、それは本当かしら?」

「もちろん。みんなの買い残が押し寄せてきたところで、それを見計らって一気に突き落とされる、それこそ『厄災』など足元にすら及ばない、血も涙もない儀式みたいなものかな。」


 こんな俺の情けない話に……ネゲートが真剣に耳を傾けています。まさか、負けて悔しくて発狂しそうな、考えるだけで吐き気を催す泣きたくなる経験が、こんな形で生きてくるとは……。人生、何があるのかわからないとは、このことですね。


「……。かいざん? そこはよくわからないけど、それなら……、わたしがいても、あんたは平気なのかしら?」


 どうやら、説得できそうですね。


「もちろん平気さ。俺の体や精神に、すでにそのようなものは無数に染み付いているからね。つまり、そこにネゲートの分が加わったとしても、そんなのは誤差ってもんよ。つまり、ネゲートの分を加えた総和から、すでに俺に染み付いていた分を引いても……まあ、ゼロに近いってことかな。」

「……。その論理が本当なら、すでにあんたに染み付いている分は、無限に近いということかしら?」


 無限? ああ……、そういうことにしておきましょう。


「まあ、そうなるね。それなら、一緒に逃げようね。どうせ変わらないので。」


 ネゲートが少し黙り込んでいましたが、……。


「うん。逃げる。」


 逃げる事を決めたようです。


「でも、万一の時は……その時は、フィーを優先して……。お願い。」

「うん、わかった。それが条件ね。」

「ありがとう。なんか、楽になった。」

「なぜか……この勝負には必ず勝てる自信がある。」


 強気です。なぜか、自信で満ち溢れています。


「……。それでわたしは、わたしは……自由になれるのかしら……?」


 自由……。そうか、なんとなくわかってきました。


「なれる。」

「……。」

「よし、決まり。」


 そのタイミングを見計らっていたのでしょうか。フィーさん、準備が整ったようです。


 ……、というか、なにか、大きなものを抱えています……。どうやら「本」かな?


「……。相変わらずね、フィー。こんな緊急時においても、書物を抱えて逃げるなんてね。」

「ネゲート。わたしは、書物が大切なのです。」

「そうね。」

「でも、ネゲートが一番大切なのですよ。もし書物とネゲートの片方を選択なら、わたしは迷わず、ネゲートを選ぶのですよ。」

「……。書物と比較される、わたし。」

「あ……、なのです。」


 雰囲気が明るくなってきました。良い感じです。


「では、一緒に……ね。では、わたしの周りに集まって。一緒に逃げましょう。」


 集まる? そういや、どんな感じで逃げるのでしょうか。この部屋ごと移動するとか……?


 空間……それとも時空に対する演算は、どんな感じで場所が移動するのかな……。えっと……、あまり深くは考えないようにします。


 フィーさんが抱える落ちそうな本を俺が支えながら、ネゲートの近くに集まります。


 そこは……、俺がぶっ倒れて寝ていた「場所」ですが。そもそも、そこって……。おっと。


 集まるとすぐに、ネゲートは目を閉じて、何かに集中し始めました。そのとき、左肩をおさえていた手が離れました。


 その手の平には、うっすらと赤い血が付着しています……。ただ、演算の邪魔をする訳にはいきませんので、静かに見守ります。


 それからしばらくして……、急に、部屋の明かりが点滅し始めました。


「これが、『演算』なの?」

「……。いいえ、なのです。本当に時間がないのですね。」

「そうなの?」

「はい、なのです。部屋の扉をみてください、なのです。」


 おそるおそる、みてみると……。


 外部から突いているような、小刻みな揺れがあります。そしてそれが……、轟音に変化してきました。


「フィーさん、これ……。」

「はい、なのです。突破される確率が高まっているのです。」


 まずいでしょう。間に合う……よね?


「間に合うよね?」

「はい、なのです。問題ないのです。すでにネゲートの『演算』が始まっているのですから、わたしたちは今、『大過去の近傍』にいるのです。」

「えっ?」


 これが……大過去の……ですか。何も手応えないというか……。あたりを見回しても、何も変化はないし……。今にも突破されそうな扉のきしむ音だけが、俺に恐怖をあおってくるだけです。


「大丈夫、なのです。あの扉をこの瞬間に突破してきても、すでにわたしたちは……、相手からは見えないうえ、触れることもできないのです。」

「えっ?」

「落ち着いてください、なのです。」


 思わずネゲートの方を見てしまいます……。先ほどと同じ……、目を閉じ、何かを祈っているようにしかみえません。でも……信じるしかないです。でも……。


「フィーさん……。触れることすらできないって……。」

「そこは、安心なのです。そもそも、触れること自体が、確実ではないのですよ。」


 触れることが、確実ではない? よくわかりません……。


「確実ではないって?」

「はい、なのです。たまたま現実に身をおくと、触れることができずに通過してしまう確率がゼロに近くなるので、触れることができるようになる、と解釈するのですよ。」


 ……。触れられる、触れられないが、確率の概念に変わるのでしょうか? すなわち、幽霊みたいな存在ってことか?


「……。まじなの?」

「はい、なのです。そして、わたしたちは今、大過去の近傍にいるのです。よって、現実から触れることができる確率がゼロに近くなるので、触れることは、できないといえるのです。」

「……。フィーさん……。それは『ゼロに近い』、だよね? ゼロではないのなら……。」


 気になりました。ゼロではないなら、僅かでも……です。


「いいえ、なのです。論理で迷った場合は『逆に考える』と解が出てくるのです。現実……日常生活において、触れることに失敗して通過してしまった事象など、まず起きないのです。それくらいゼロに近いのです。よって、その逆の偶然が、ここで起きてしまうことなど、ないのです。すなわちそれは背理、なのですね。」

「それならいいけど……。でも……。」


 そう言いかけたが、怖くなってやめました。だって、それね……。俺さ、なぜか相場で勝ち続けたことがあるんだ。今でもまったくわからない。でも、あの連勝は……、二百を超えていたからね。これさ……、「ゼロに近い確率に匹敵する」と、俺はみています。だから……、かなり心配です。でも、でも、でも……信じるしかないです。


「はい……なのです?」

「フィーさん……。信じることにしたよ。」

「それなら、うれしいのです。そしてこれは、しばらくの辛抱なのですよ。ネゲートの『演算』が進むにつれ、こちらからも相手が見えなくなるのです。それまでは……見たくも無いひどい光景が広がるのですが……、そこは、我慢なのですよ。」

「見たくもない、恐ろしい光景か……。うう……。」


 そして……、そのような会話を重ねているうちに、扉が大きく変形し、突破されました。


 ああ……、そこに出てきた「映像」は……。


「ちょっと、……。おいおい……。」


 ……。一瞬、心臓が止まりかけました。そして……、恐怖から涙が出てきました。さらには胃酸がこみ上げてきます。そこに、胃がキュッとして、痛み始めました。


 だって……、右手で、血がしたたり落ちる「何か」を鷲づかみしています。……。ちなみに、顔はわかりません。歪んだ球が乱雑に沢山描かれた不気味な仮面を被っているからです。


 まじで……、勘弁して。


「フィーさん……。」


 無意識に、耳元に、小声で話しかけます。


「大丈夫なのです。落ち着いてください、なのです。あと、話し声についても相手には一切聞こえないのです。だから、安心なのですよ。」


 奴らは部屋を見回しているのかな……。それにより描かれる歪んだ球の軌跡が、俺の脳を混乱させます。ただ……、見えていないのは本当ですね。そして、奴らがわざとらしい大きな声で話し始めました。


「この地域一帯の『大精霊』は、すべて『処分』、だったな。」

「そこで、この俺たち『天の使い』の出番ってわけだ。それにしても、大精霊の『処分』は久々らしいですね。」


 処分? なんだよ……、それ。こいつら、狂い過ぎだろ? あと「天の使い」ってなにさ?


「大精霊ってさ、あれだけの傷を負っても、俺たちに抗えるんだ。ここに至るまでに、下手な迷路を何度も何度も、だったからな。」

「がはは。大精霊にとって『伸び縮みするだけの空間』を入れ替えるなんてことは、簡単なのさ。それで最後の力を振り絞って、あれか。楽しませてくれるぜ。」


 それ……、間違いなくネゲートのことだよね。


「逃げても無駄なのにね。なんで、こんなことをするのかな?」

「素晴らしい機会だ。楽しめ。」


 ……。


「大精霊ってさ、小さなハッシュ値を持つ貴重な存在だからな。そう簡単には『処分』にはならない。でもよ、でもよ、出る時は、出る時は……出るんだな!」

「それは、すごい瞬間だったな。ハッシュを捧げていれば定期的にしっかり出てくるものが、数時間、待っても待っても出てきやしない。これは……いよいよ『大精霊』ではないかと噂された瞬間に、予想通りだったからな。こんな大役を、本当にいいのかな? 俺たちで?」


 ……。


「何を心配しているんだ? 『現実』は絶対だ。大過去の現実を描く経路は『大過去……この地を創造した神の意志』だからな。当然、この選ばれた俺たちが対処する。」

「それにしても、そのような仕組みで大いなる力を得たはずの大精霊が、それで『処分』されるなんて、皮肉だよな。」

「皮肉、だと? それは違うぞ。そういった『大いなる力』を得ようとするとな、決まって同時に『鏡の存在』が発生するんだ。そのような仕組みで、自然はバランスを取っている。つまり、俺たちの出現は『運命』だったのさ。」


 なにが……、運命だよ。ふざけんな、です。


 そもそも、こいつら「天の使い」って、なにこれ、です。気味が悪いんだよ。


「そのような『神の意志』『神の領域』は、絶対だ。だから、俺たちのような存在が創造された。ただそれだけだ。任務を全うしようではないか。」

「そして、進化。」

「狩りまくりたい。ただ、それだけだ。それが、俺たちの『意志』だ。」


 なに? 狩りまくりたいって……、こいつら、すでに沢山の……。つまり、血がしたたる、あれは、犠牲者ってことなのかな……。


 フィーさん……。震えながら俺は、話しかけます。


「フィーさん……。」

「はい、なのです。ひどい内容の話が続いているのです。」

「ひどい話だよね。単に話を盛ってさ、いきがっているだけの長話が続いているけどさ……。」

「それは……いいえ、なのです。すべて『真実』なのですよ。」

「……。」


 真実……。


「今回は、この地域一帯の『大精霊』が処分対象になったのですね。」


 そうなるよね。どうみても……。


「フィーさん?」

「はい、なのです?」

「怖くないの?」

「いいえ、なのです。わたしは平気なのですよ。」

「俺は怖いよ。ごめん。」

「これから大過去に、わたしたちは導かれるのです。それでも、わたしは……、わたしは……、精霊と人間が共存し、そこから得られる穏やかな社会の到来を、いまでも、信じているのです。」


 えっ……。急に……? もちろん、フィーさんはいい精霊ですよ。もちろん、そんなのはわかりきっていますよ。でも……。


「……。」


 俺は、何も答えられなかった。


「あ、あの……なのです。」

「ご、ごめん。」


 さすがに、この現状を受け入れることはできません。


「いまのは、わたしの身勝手な願いなのです。気にしないでください、なのです。」

「俺の方こそ、ほんとごめん。」


 フィーさんが、俺からそっと目をそらしました。……。


 そして……。


「ほらほら、おまえら、無駄話が多いぞ?」


 ……。それからしばらくして、またあいつら……、騒ぎ始めました。


「はーい。さてさて、隠れている大精霊ちゃん! 観念して、出てきなさーい。」

「ここで大精霊の迷路が途切れたからな。追い詰めたはずなんだ。」


 とんでもない奴らだ。完全に、楽しんでいます。


「さっさとトドメをさせばよいものを……、多少は手応えのある相手だからと、遊んでやったから、こんな面倒なことになったんだぞ? 少しは反省しろよ?」

「おいおい。それは矛盾しているぞ! さっきから、楽しめって、言っているではないか!」


 ……。


「そうだったな。」

「いつもは何の手ごたえもなくさ、……じゃん? あと、それが人間ではなく精霊だったとしても、まあ……もって数分だよね。しかし、今回の相手は大精霊だからね。こんな『ボーナスステージ』、貴重だから、楽しまないと損、損!」


 ……。狂ってる。勘弁してくれ……。もし、もしだよ? ネゲートをここに置いて逃げたのなら……、ネゲートは……今ごろ、どうなっていたのだろうか……。


「ところでさ、なぜか……、あれ……? いないよね。」

「それはない。あいつは、すでに力を使い切ったはずだ。」

「まさか……逃げたのか? おいおい。」


 ……。


「まさか……。隠し持っていた力があったのかよ。それで、逃げたのか?」

「おいおい。勘弁してくれよ。」


 ……。それから奴らが動き始めて、俺とフィーさんが話し込んでいたテーブルの位置までやってきました。


「あー、ここにいてさ、誰かと一緒に逃げたのは間違いない。ここに飲み干した、茶らしきものがあるぜ。」

「なぜそうなる? 単に、一緒にこの部屋に隠れているだけでは?」

「おまえな……。少しは論理的思考力を鍛えなさい。すでに、隠れているという事象はありえないぞ。なぜなら、この区域にいるのは精霊以上だ。そして、処分対象は大精霊だから、精霊は逃げる必要がない。一緒に隠れる必要はなく、ここでじっとしていて、俺たちに『ここに大精霊はいない』としつこく迫ってくるはずだ。しかし、その精霊すらいないとなると、残念だが、一緒に逃げたと考えるのが……間違いないとなる。」

「そうだよな。そうだよな……。茶なんて、精霊以上が持てる高級品だ。つまり、一緒にいた相手も精霊で間違いない、か。」

「なんだよ、なんだよ、なんだよ! 本当に逃げたのかよ!」


 ……。茶は高級品、ですか。うう……。精霊でさえ、その食糧事情だとさ、その下はどうなるんだよ……。そして、それを惜しみなく俺に……か。フィーさん……。


「もし、力が残っていたのなら、ここからさ、別の空間……または大過去に逃げ込こんだ可能性が高いぞ。仮に大過去だとしたら、俺らではもう……対処不可だ。」

「まじかよ?」

「うそだろ? 勘弁してくれよ!」

「つまらん、つまらん、つまらん! あの大精霊……、あの状況下であっても、強気で挑発的な目つきだったからさ、俺さ……。」

「おいおい。処分対象に惚れたのかい?」

「それは、本当の意味で『燃え尽きる』だな。がはは!」


 ……。こいつらさ、あの市場によくいる、延々と空売りをするやつらに、似ている気がしました。ああ……俺のような投資家がもがき苦しむ姿を想像して、さぞかし喜んでいそうです。そうです……負けているときの俺は、このようなやつらに惚れられてしまい、大切な資金を次々と引き抜かれていった、です。


 でも、大過去に逃げ込めば、こいつらは追ってはこれない。それがはっきりして、安心できる情報でした。でも、勘弁してほしいのは、俺らの方ですから……。早く、みえなくなってくれ。


「まあ、しょうがないさ。『天の使い』の俺たちであっても、ついていない日はあるぜ。」

「そうだな。」

「久々の大精霊だった日が……。ああ……。」


 ……。もはや言葉にもなりません。そのときです、肩をフィーさんに軽く叩かれました。


「間もなく、『大過去』の経路に取り込まれるのです。その瞬間、ここと、お別れなのです。」

「フィーさん……。やっとか!」


 その「最後の瞬間」を迎える直前でした。奴らが握っている肉の塊らしきものから……、血が吹き出ました。


 ……。……。


 えっ、なに? あれは、なに? ……。おえ……。


 それだけならともかく、その塊からうっすらとのぞかせる黒い点のようなものが、俺をみつめています。


 ちょっと……、相手からは、見えないはずだよね?


 確認のため……、です。俺は全身を硬直させ、震えながら首をわずかに動かしました。そしたら、それに追従するように、その点が……動きました。


 ……。


 なに? 偶然だよね? それとも……相手から俺は……、見えている? 


 ……。


 俺は恐怖に負け、目をぎゅっと閉じました。それから全身を駆け巡る感覚の変化に気がつき……、慌てて一気に目を開けました。そしたら、まわりが変化し始めて……。


 しかし、俺……、自分自身を意識できますが、ふわふわと浮いていて、現実と乖離した存在に成り果てた、そう……夢の中に溶け込んだ状態になっています。


 そして、ここが……「大過去の経路」なのかな? ぼんやりと白と黒が混ざり合って……うん、灰色かな? その灰色が音を立てずに、まったく動かない状態で佇んでいる空間……、と表現すればいいかな。


 声は出せません。しかし……。


(フィーさん?)

(はい、なのです。)

 

 このような空間ですが、意思疎通みたいな感覚で、相手と話すことができます。


(これが……大過去なんだ?)

(はい、なのです。ここで導かれるのを待つのですよ。)

(導かれる?)

(はい、なのです。そしてこれらは、偏って導かれる性質があるのですよ。)

(偏り? 平等ではないんだ。)


 かたより? という表現が気になりました。


(はい、なのです。もともと、平等という概念は存在しないのですよ。)

(存在しない? 平等が?)

(はい、なのです。平等という概念は、人間が独自に生み出したもの、なのです。)

(……、本当に?)

(はい、なのです。本来は偏って導かれることにより、そこに論理があるのです。それを無理に平等という概念で縛りあげて、そこから沢山の利を得ていた……、というのが、平等の本当の姿なのですよ。)

(……。)

(その概念の最果てが、すなわち……、あなたが作業場で経験した、あの光景……、なのですから。)

(あれか……。淡々と、みな、でした。)

(はい、なのです。そこに、この平等の概念が入り込むと……本来は得られたはずの利が、大きく変わってくると聞いたことがあるのです。)

(……。それは、わかる。)

(はい、なのです。本来はこんな論理など示せそうにないのですが……、しっかりと平等の概念を刷り込んで、この平等に対して情を作用させると、なぜか、それで満足してしまうのです。そして精霊は……、いつも笑顔なんですよ。それが……、なのですよ。)

(笑顔だよ、そんなの。安上がりで済むのだからさ。)

(はい、なのです。常に、笑顔なのです。)

(だよね。)

(はい、なのです。それゆえに、その精霊たちは、どうしてもその概念が創造の神によるものだと、示したいらしいのです。でもそれは……すでに定まった理を修正する必要があるので、できないのです。そこは、安心してください、なのです。)

(……うん。というか、定まった理に反する内容を刷り込むなよ……だね。)

(はい、なのです。わたしも、それには強く賛同するのです。ただ……。)

(どうしたの?)

(創造の主によるものを修正された場合は、事情が異なるのです。すなわちこちらは、公な理の修正になるのです。信じがたいのですが、時々、そちらにも注文が入るという噂が、たしかにあるのです。)

(えっと……。創造の主と、創造の神って、別々な解釈になるの?)


 気になりましたが……、間違いなく、同じ解釈ではなさそうですね。


(はい、なのです。公な理と、定まった理は違うのですから、そうなるのです。公な理から、定まった理が導かれてくるのですよ。)

(……。そうなるのか。)

(はい、なのです。そこで、人間や精霊なども誕生してきたわけなのですね。その中でも特別な役割を持つ精霊や大精霊については、その特徴を示すもので象られ、そして、与えられているのです。)


 ほう……。特徴を示すもの……か。フィーさんにもあるのだろうか。


(特徴? もしかしてそれ、フィーさんもあるの?)

(……。はい、なのです。わたしは三日月なのですよ。)

(えっ?)


 三日月? うーん。


(わたしは三日月で、あとは……半月と満月なのです。ところで、その半月は……ネゲートなのですよ。)

(ネゲートが、半月? へえ……。よくわからん。もしかしたら、厄災が関係しているのかな?)

(厄災、なのですか?)

(うん。ネゲートが話していたので、気になっていたんだ。)

(はい、なのです。それは、ネゲートの力が強過ぎた弊害、なのです。)

(強過ぎた……って?)

(それは……、なのです。本来は起きないような事が、別の場所から噴き出してしまう副作用があったのです。すなわち、本来は知ることが許されていなかったはずの情報群を得た、副作用になるのです。そして、それが、そう……例えば自然に作用すると、記憶に残る厄災が訪れていたのです。)


 その副作用って……。なんだろうか。俺に対して作用したかのような、おかしな感覚があります。


(……。)

(はい、なのです……。例えば、予測がまったくできない不規則な動きをする、強い勢力の渦が発生してしまうと、それが上陸したときの被害は甚大になるのです。)

(……。それ、ネゲートは無関係だよね? どうせ、欲を出して必要以上の情報……演算結果を得ようとした、だよね? そして、利を追求するため、強制的に演算させていたとか、だよね?)

(はい、なのです……。それでもネゲートに、すべてをかぶせていたのです。)

(なんか、すべてを嫌になりそう……。)


 厄災って、運が悪かった……、ではなくて、そのような必然性もあったとは……、です。


(そして、なのです。これから、そのネゲートの半月に頼るのですよ。)

(……。)


 複雑な気持ちです。半月ね……。よくわかりませんが、大事なもの、みたいですね。


(ここではネゲートの力に頼らないと、このままでは……記憶などを含め何もかもを失い、作用を与える穴だけを残して、生まれ変わるのを待つことになるのですよ。)

(えっ?)


 う、生まれ変わる、って? あまりにも唐突だったので……、びっくり。


(フィーさん、それって、俺……死んだという事か?)


 怖くなりましたが、そうなりますよね?


(いいえ、なのです。死を迎えるという事は、もともと、作用を与える穴だけを残して大過去に戻ることを意味しているのですよ。)

(……。)

(はい、なのです。それが、大精霊の力を利用せずに、大過去に行ける唯一の方法なのです。)


 ……。ちょっと待って、それだとさ、俺が存在するこの場所って、つまり「あの世」だよね?


(ここって、あの世、だよね? 川がみえるとか……、そういうのは、ないの?)

(いいえ、なのです。その川は幻覚なのですよ。そして、その川を渡る、すなわち見えなくなるということは、すでに大過去の経路に取り込まれたということなので……いまわたしたちの、この状態なのですよ。)

(……。ああ……、ここが、川を渡ったあと、ね?)

(はい、なのです。ここから、自力では現実に戻ることはできません。しかし、その……川が見えている、すわなち川を渡る前であれば、まだ経路には取り込まれていないので、何かの拍子で現実に戻ることができるのです。)

(……。つまり、生き返るって、そういう感じなのか? 戻ってこい、で、戻ってきたと。)

(はい、なのです。逆に、大過去の経路に取り込まれた後では、もう、何をしても……なのです。)


 俺、まだやり残したことが沢山あります。もし、戻れるのなら……戻りたいです!


(……。ネゲート、頼むよ。ちょっと怖くなってきました。)

(大丈夫なのです。)

(……。信じるよ。それでさ、ちょっといいかな?)


 なんだっけ? 生まれ変わる前に、審判があるらしい、という話。


(川を渡る前に、それまでの日頃の行いをチェックされる審判みたいのは、あるの?)


 気になりますよね?


(はい、なのです。あるのです。)


 やはり、あるんだ! 俺……やばいかも。


(それは……どんな感じ?)

(はい、なのです。そこが創造の主の凄さで、すべて自動で対処されているのですよ。)

(自動って!?)


 自動で、審判されるのか。絶対に逆らえないね、それ。


(びっくりされましたか。でも、なのです。よく、人は人にしか生まれ変われないという噂があるのですが、それは、作用を与える穴に変化がみられない場合に限るのです。)

(それは……、すなわち、特に問題がない場合に限り、また人にはなれるのか?)

(はい、なのです。しっかりと創造の主の豊かさを享受し、穏やかな日々を過ごしていたのなら、間違いなく、また人になれるのです。)

(そうなんだ……。)

(はい、なのです。しかし、おかしなことばかり……、そうなのです、例えば本来なら優れていた技術を悪用して、大部分を隷属化させるなど、創造の主の意向にそぐわない優劣の処理などを行ったりすると、それらが複雑に重なるように絡みあって、作用を及ぼし合う己の穴への干渉量が多過ぎてしまい、それらに引きずられる形で、大過去に戻った際……すなわち生命を失ったとき、作用を与える穴の大部分を失うのです。例えば、積の形から負になって次々と消えていく、なのですよ。このように、すべて自動で対処して作用するように、あらかじめ組み込まれているのです。これが、創造の主の力、なのですよ。)


 つまり、人ではない何かに、生まれ変わるのでしょうか。


(……。それって……、人には生まれ変われない、だよね?)

(はい、なのです。作用の穴を失うほど……、原始的な生物に向かうのですよ。)


 えっ? 原始的な生物って、ああ……。


(何だっけ? 虫……とか?)

(いいえ、なのです。虫に失礼なのです。)

(……。虫にすら、なれないの?)

(それは……、いいえ、なのです。虫のなかでも……原始的に近い姿になるのです。それは、主の意志なのか、それとも……罰なのかもしれません。)

(虫で、原始的な姿って……、どんな感じなの?)

(はい、そうですね……、これは、せめてもの主の慈悲なのでしょうか……。高度な回転機能を備えた毛を一本、主から授かる、生物になるのですよ。)

(……。そ、それって!)


 一本の毛が生えた……虫。いたな。あの毛って、回転するんだ。そして……それが償いなのかな?


(はい、なのです。力に溺れた者は、例えそのような生物であっても、人や精霊の技術を凌駕する毛が備わっていることを、己自身がその姿に生まれ変わり、実際に体験することになる、なのです。)


 ……。


(毛が一本、か。……。たったの一本ね。)

(はい、なのです。そのような贅沢なものは、二本も与えません。そのような者には、毛は一本で十分だと、主は判断されたようなのです。)

(それで、その虫から人へは……長い道のりになるの?)

(はい、なのです。そう簡単には、作用を及ぼす穴は集まりません。気が遠くなるような長い年月を経て、ようやく……なのです。)

(だよね。虫の総数と、人の総数を比較したら、圧倒的に人が少ない事になるからね。)

(はい、なのです。個体数からみても、作用を与える穴を集められるのは、本当にごく僅か、なのです。だからこそ、失わないように守るべき、大事なものなのですよ。)


 俺……隷属とか、そういうのとは関係ありません。だから、虫は避けたいです。


(ところでフィーさん……、ネゲートが話していた消滅なんだけどさ、これはどうなるのさ? これも死ぬのと同じ意味なんだよね? なのに、わざわざ、こんな大げさな表現だったから、気になっています。)


 消滅という響き。正直……苦手です。ついでに質問をぶつけてみました。


(……。)

(フィーさん?)


 あれ? 頭が痛くなる長い論理が大好きなフィーさんが、黙り込んでしまいました。


(あの……?)

(あっ、その、なのです。消滅は……、その、死ぬとは、違うのです。)

(そうなんだ?)

(はい……、なのです。消滅とは……、作用を与える穴の全てを……失うことを示すのです。)


 えっと、それって、すなわち……。


(つまり、その……。精霊はみな、虫になってしまうと?)

(いいえ、なのです。全ての作用を失うのですから、無の存在……、になるのです。つまり、二度と生まれ変わることもなく、精霊として宿る意識は、これが……最初で最後となるのです。)


 ……。なにそれ?


(それって、いわゆる魂すら失う、という感じかな?)

(……。はい、なのです。精霊とは、そういった存在なのです。)


 その瞬間だった。なんだろう。その意識とやらが遠ざかってきました。


(フィーさん……。意識が朦朧として……。)

(ネゲートの、現実に移し出す処理が終わろうとしているのです。大丈夫なのですよ。)


 フィーさんの、その最後の言葉を薄れゆく意識で感じ取りながら……、俺は、大過去での意識が途切れました。


 そして……。……。


「ちょっと? 大丈夫? フィーに卒倒してしまうとは、すでに、……だったのかしら?」

「ネゲート。おかしな妄想はやめるのです。」


 ……。懐かしい響き。なんだろう。ゆっくりと目が覚め、頭が覚醒していきます。


「えっと? ここは……。」

「ちょっと? わたしの話、聞いてたのかしら? それとも……、そのご様子だと、そうね? 精霊とは一体何だったのか、しっかりとわかってきたのかしら?」

「ネゲートの……、ああ、そういえば……。」

「それで、フィーを受け入れた、そうよね?」

「えっ、あ……、うん。」


 色鮮やかな記憶が、俺の頭の中を駆け巡ります。それからなぜか、ネゲートの首元をみてしまいます。とにかく気になります。


「な、なによ? フィーはあっちよ?」

「あの……、ちょっと気になって。首元とか。」

「……。ちょっとね……。わたしは大精霊ネゲート、よ。フィーはあっち。わかる?」

「ああ……、そうではなくてさ、ケガとか、そういう意味で。」

「ケガ? ……。そう。……、『あの件』を辿ったのね。」


 ネゲートは驚くそぶりもなく、淡々と「あの件」について、納得していました。


「……。わかるの?」

「うん、もちろんよ。なぜなら、『あの件』は、実際に起きた『現実』よ。」


 いま、俺が漂ってきたものは……現実? 大過去だっけ? うう……、混乱します。


「それで、大丈夫だったの?」

「うん。あいつら、楽しみを優先してわざと致命傷を外していたからね。それで、うまく避けられた点は大きいのよ。ちなみに、傷跡も見えないまでに回復。」

「それなら……良かった。」

「……。わたしの心配より、はやくフィーをなんとかしなさいよ。」

「えっ? ああ……、フィーさんね。」


 フィーさんの方に振り向くと、……、これって?


「あ、あの、なのです。早速なのですが、わたしのお気に入り……を紹介、したいのです。」

「お気に入り?」

「はい、なのです。」

「一応、確認しておくけどさ、……、それって、書物ではないよね?」

「……。」

「あっ、やっぱり書物かよ。」

「……。はい、なのです。」

「フィーのお気に入り……って。あの非常時に、抱え込んでいた、あれら、かしら?」

「はい、なのです。」

「その重要性について、わたしの存在と比較した、あの書物ね?」

「ネゲート……。」

「別に気にしてないから、大丈夫よ。」


 その非常時って……。ああ、俺もその場にいたような、そんな感触が蘇ってきました。


「はい、なのです。」

「おい、ネゲート。その書物って、かなり危険な内容なのか?」

「そうね。でも……、勝ちたいのよね?」

「勝つ? ……。そういうことか!」

「フィーはね、その書物の知識で、犬などを手にできたのよ。売り売りの仲間『天の使い』が大喜びするような『高度な分布の知識』が、沢山あるって、ね。」

「……。分布……、ね?」


 うう……。「天の使い」か。


 そういや、「売り売り」だったな、あいつら。いったい、どういう存在なんだよ。……。そのうち、また夢みたいなもので、思い出す形で、あいつらを知ることになるのかもしれませんね。


「あ、あの……なのです。それらの知識と、前……わたしが話した歪む相場の知識で、勝てる見込みが大幅に上がるのですよ。だから……、その、一緒に……。」

「まあ、それなら、やってみるかな……。」


 それにしても、フィーさんを受け入れるって……。それら書物もすべて受け入れるということだったとはね。でも……さ、そろそろ逃げてばかりでは、情けないです。ここは、頑張りたいです。


 この地でも負けて、情けない姿をさらすことになる、それにはもう、耐えられないです。


「ねえ?」

「なに、ネゲート?」


 えっと、珍しく、ネゲートから俺に話しかけてきました。


「シィーが、来たようね。しかも……本気のシィーが、来たの。これは……『満月』かしらね?」


 満月? どっかで聞いた事があるような……。……。

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