608, 144000 part17 うん、1ゼタのハッシュレート。ここが、量子が現れても合意形成を維持できる下限だったなんて。でも、物理的に限界水準のエネルギーを投入しているわ。余裕がないのよ……。
改めて、ハッシュレートを見直しているわ。闇が……、あれほどまでに「ハッシュレートの低下」にこだわった理由が、ようやく見えてきた。
なぜか、ある水準は頻繁に紹介され、あたかも神格化されているような扱いを受けていた。それが……1ゼタよ。
この1ゼタを2のべき乗に置き換えると、途端に隠れていたものが、顔を出すのよ……。
ううん、こういう数って、人間が決めたというより、最初からそこに置かれていたように感じることがあるわね。
どうして、こうなるの? ……そう叫びたくなる値。
それは、およそ2の70乗。つまり、70ビット。これが、有効安全性の論拠。そして、揺らぎを考慮すると、70ビットから80ビット。そんな際どすぎる帯域が、まさか、ここで姿を現すなんて。
ううん……。これは、量子が何かを壊したわけじゃない。
古典の限界が、量子の射程に、ちょうど収まってしまった。
ただ、それだけの事実が、静かに観測されただけ。
古典の限界。そう……限界よ。だって、このハッシュレートを維持するために、この地の全エネルギーの1パーセント弱を捧げているのだから。
それは、想像を絶する燃料。
……。
そして、有効安全性はたったの1ビットしか上がらないのに、要求されるエネルギーは、倍。ええ、現状ですら限界水準なのに、それ以上なんて……無理よ。
機材の改善? そんな悠長な時間は、もう残されていない。古典のような線形的な改善モデルで、もともと指数的な成長を前提とする量子と比べること自体が、もう無理なのよ。
つまり……。
ハッシュレートを、いくら積み上げても……完璧な安全域に入ることはない。
ただ、崩壊しないための下限を、必死に維持しているだけ。
そこに投じられている資金は、成長のための投資ではなく、時間を引き延ばすための補填。
……。
そんなことになっていたなんて……。




