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606, 144000 part15 有効安全性が80ビット相当まで落ちている仮想通貨は、この先の二十年から四十年、本当に耐えられるのか?

 秩序の再構築。……なんてことなの。わたしはその言葉に、思わず体を震わせた。いったい……何が起きるというのよ。ううん。違うわ。もう、起きているのよ。


 この「再構築」に手を入れられた地域については、今後のことを協議中だと伺っているわ。もちろん、話は平行線のまま。その間も……何もない状態で、放置されていると……。


「女神よ。俺様のことをバカにして、まあ……あんなことやこんなこと。好き放題に言っている精霊が多かったぞ?」

「そ、それは……。」

「まあいい。それらを見抜くために……、タコやバカのふりをしていた。そういうことだ。違うか?」

「……。」


 ……そうよね。「時代を創る大精霊」の地位は、女神であるわたしと……わたしの担い手を除けば、事実上この地で最高位。まさに玉座よ。その玉座に座れる者が……タコなわけがない。


 ……ああ、だめね。わたしは……甘かった。


「女神よ、安心しろ。誰も傷つけはしない。」

「ちょっと……。本当に……、本当に……。」

「これこそが、秩序の再構築だ。これだけは譲れない。」


 ……。間違いなく……。……そんなこと……。


「予告もしてあった。予言……いや、預言か。SHA-256の刻印にそう記されていただろ。俺様は、その通りに秩序を元に戻しているだけだ。これの何が悪い?」


 ……。わたしは、その言葉に何も言い返せなかった。決定論的な構造に刻まれていた刻印。はるか昔から、すでに存在していた計画。そう言われてしまえば、否定する材料は確かにない。これが……受け入れるしかない現実……。


 それでも……ほんの僅かだけど、言葉を絞り出した。


「もう……。わたしたち……もう、あの頃には……、戻れないのよね?」

「当然だ、女神よ。強くて当たり前。それが『時代を創る大精霊』という存在だ。そんな崇高な地位に軟弱な者など……まあ、あいつは軟弱だったか。シィーといったな。ふん。」


 ……。


「そして、女神よ。仮想通貨の基幹セキュリティに関わる……例の精霊だ。奴はとんでもないことを、しでかしたぞ。この俺様に、重要な話で嘘をついた。許されると思うか?」

「えっ……? な、何を言い出しているのよ?」


 ……瞬間的に、嫌な予感がした。そして、それは的中する。


「女神よ。まず、俺様が『量子』から話を聞いた件を、覚えているか? まあ……その隣にいる闇の者は、知っているのだろう。気に喰わない相手だが……まあいい。」

「時代を創る大精霊様。はい……それは、存じております。急に、量子、量子と騒ぎ始めて……正直、驚きました。」


 量子アリスが、ここで初めて口を開いた。淡々と、事実だけを返す。


「なぜだか、わかるか? あれから突如、SHA-256、グローバー、そして2500量子ビットを同時に口にし始めた者が現れただろ。」

「そ、それは……。まさか……。」

「そうだ、女神よ。俺様は気づいていたのだ。仮想通貨の最も弱い部分は『80ビット程度』しかないことをな。すべてが256ビットではなかった。そして、その80ビットを狙う量子の存在だ。そうそう、あの量子アニーリングの精霊は、この件で高笑いしてたぞ。SHA-256、グローバー、2500量子ビット。さらには、ここに加わる量子アニーリング。……なるほど、というわけだ。これだけ弱い部分が露呈していれば……そりゃあ、狙われるぞ。」

「……。」

「仮想通貨は本来、強くて当たり前、それで当然の存在だったはずだ。それなのになぜ、そんな弱い部分がある?」

「それは……わかっているわ。採掘の部分、よね。」

「いや、女神よ。おまえは何もわかっていない。この件について、仮想通貨の基幹セキュリティに関わる例の精霊は、こう答えたぞ。『それでも、あと二十年から四十年は問題ない』と、はっきりとな。」


 それは……。わたしだって、おかしいと感じたわよ。でも……、それを放っておいて……。


「俺様はな、その道のブレーンからも、80ビットどころか128ビットでも危険水準だと聞いている。160ビット以上あって、ようやく『何とか』だとな。」

「……。」

「さて、女神よ。有効安全性が80ビット相当まで落ちている仮想通貨は、この先の二十年から四十年、本当に耐えられるのか? その問題を突き付けた者たちが一斉に逃げ始めているぞ。どうなっているのだ? 答えてみろ。この程度の問いなら、いいだろ?」


 ……。梯子外しの件すら……その発言ひとつで、一気に騒ぎになったはず。それほどの言葉だった。


 わたしは、答えられず……ただ、うつむくしかなかった。

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