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603, 144000 part12 そうね、スキャムの現場に潜入してみましょう、その二。女神は必要ない。死ぬか、LFGか。どちらかを選べ。これが、ミームの内情だったなんて……。

 わたしは、仮の名をイリスと名乗ることにしたわ。ちょうど、量子アリスと響きも似ているし……。


 もっともその姿は……。そうね、少々困った映像などが出回ってしまっていたわ。まあ、いいの。あれは、ゆるかった頃のわたし。ええ……わたしは女神なのだから、容姿など、どうにでもなる。けれどね、そんなことをしなくても……潜入方法はいくらでもあるのよ。


 そして、これは……量子アリスの希望でもあるの。これだけでも、かなり深い事情が見えてくる……と。こんなことですら、これまでのわたしはやろうとしなかった。でも……。


 さて。接続するわ。そうそう、会話だけなら容姿はわからない。そのままでいい。そして、そこには……考えていた以上の状況が、現実として存在していたわ。


「兄弟! 待ってたぜ! イリス!」

「ええ……そうね。おはようですわ。」

「兄弟! なんだなんだ! これからだろ! LFG! LFG!」


 わたしが最初に感じたのは、この異様なまでのテンションの高さ。LFGって……。とにかく、すべてがこの調子で維持されているのよ。……なるほど。それでは試しに、例の件を少し伺ってみましょうか。


「そうね、これからよね。ところで……量子問題とか、どうかしら?」

「兄弟! そんなの心配ねえよ! 今日な、露出した公開鍵が量子に耐えられるように策を講じた、スペシャルでLFGなテスト版が動いたって聞いたぜ! そこの精霊はな、これで量子時代を生き残れるって豪語してた! 採掘も募集してるし、もう大丈夫だ! ショアなんてクソくらえだ! だいたいショアって誰だよ? どこまでもふざけた野郎だろ! 兄弟! そうだろ! この気持ち、イリスも同じだよな! これで量子問題は解決だ!」

「そ、そうね……。」


 ……。量子問題は、どこへ行っても、だいたいこんな感じなのよね。


「兄弟! 元気がないぞ。だいたいな、CACAって叫ぶようになったのは、女神が悪いんだ。」

「えっ……。」

「兄弟! どうした?」


 CA……? なに、それ。……ううん、それよりも、女神が悪い……って?


「兄弟! イリスもそうだろ。あのディールな野郎、『女神は必要ない』って吐き捨てて、暴れているぞ。それで、これだ。こうなった以上、もう残ってるのはLFGしかない。そうだろ、兄弟!」

「そ、それは……。」


 女神は必要ない。……その言葉だけが、頭の中をぐるぐると回り始める。


「兄弟! こんな状況でも、どうせ女神は何もしない。もう見捨てられたんだよ、俺らはな。だったらCAだ、CA。CAさえ現れれば、それでいい。そうだろ?」

「……。」

「ミームはCAがすべてだ。そうだろ、兄弟! 元気出せよ。どうしたんだ。これからだろうが!」


 女神は必要ない。女神は何もしない。……、そしてこれが……。


「兄弟! 俺らは、あの日ですべてを失った。ああ、そうだよ。通貨は、無価値水準まで崩壊した。そのせいで軟禁状態にされ、仕事なんか、あるわけがない。水も、食い物もない。そのまま放置されて……死んだ奴も多いんだ。どうせ、傷ついた対象ですらねぇ。俺らなんか、最初から眼中にない。ゴミ扱いってやつだよな。どうせ、あの塔でぬくぬくしている女神は、知らんぷりだろ! でも、俺らは違う。生き残ってやる。かろうじて、つながっているのはこれだけだ。だからLFGなんだ。これしか、残ってないんだ! わかってくれ。これで、生き残ってやる! ……イリスも、同じ気持ちだろ!」

「……。」


 ……。死ぬか、LFGか。どちらかを選べ。……これが、映し出された現実だった。


 そしてこれが、ミームの内情だったなんて……。通貨が無価値水準になるというのは、こういうことなの……。仕事なんか、ある訳がない。そして、こうなった。


 もし仮想通貨がないなら……死ぬしか、選択肢がないということ。……でも。だからといって、それで良かった、にもならない。なぜならこれでは……ただの延命。……延命? こんなところにも、SHA-256とまったく同じ因果が存在していたなんて……。


 問題は、そこじゃないわ。これは……もっと根深い問題。もっともっと掘り下げて、解決しないと……。

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