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600, 144000 part9 同じ過ちは繰り返さないわ。採掘の次、多変数多項式。十年後……。量子アリスでは解けない。では、怪物と化した古典の推論クラスターでも「絶対に」解けないと言い切れる?

 ゆるかった頃のわたしは、採掘における探索空間を256ビットだと見誤った。その結果、量子アリスによる量子演算の影響度を著しく過小評価してしまった。


 その歪みは、ついに露見した。そして……その問題を、闇に指摘されたわ。


 その指摘は、実に正確だったわ。同時に、ゆるかったわたしにとっての確かな薬にもなった。あのまま進んでいたら……本当に、取り返しのつかない事態すら想定できた。だから、その指摘には感謝しているのよ。


 そして……感謝するのなら、行動で示すべきよね。


 つまり、二度と同じ過ちは許されない。仮説が本当に正しいのかどうか。総当たりで点検する癖を、身につけなければならない。誰もが見向きもしない些細な点であっても、必ず検証する。……ゆるくては、ならないのよ。


 そこで……採掘アルゴリズムを、ハッシュ関数から多変数多項式へ交換する、という提案について考えていくわ。


 これは、非常に重要よ。次を決める、この仮説。もし、また同じような過ちを犯せば……次こそ、闇は容赦しないわ。


 多変数多項式は、量子で効率よく解けるアルゴリズムが現時点では存在しない。ゆえに、量子アリスでは解くことができない。十年後でも、この状況は変わらない。……だから、安全である。


 これが、よく語られる仮説よね。けれど、この仮説には決定的に欠けている視点があるわ。


 それは……十年後、怪物と化した古典演算器。そう……推論クラスターよ。この古典演算器に対して、多変数多項式が「絶対に」解けないと言い切れなければ、意味がないわ。


 つまり、量子では解けない。しかし、古典では解けてしまう。この、十分にあり得る観点が見落とされているのは、致命的なのよ。


 ハッシュ関数の場合は、違った。古典では「絶対に」解けないと断言できる統計的な裏付けが、確かに存在していた。もっとも……探索空間が狭まったことで、量子探索系に容易く喰われてしまい、結果として使えなくなったのだけれど。


 さて……問題は、この多変数多項式の本質よ。


 量子では解けない。そこまでは、いい。でも……そこだけを見てはいけないわ。十年後の古典で、解けてしまう可能性。そこを、徹底的に見極めなければならない。


 結局、採掘というのは……古典であれ、量子であれ、一箇所で解ける演算器が現れた瞬間、合意形成の仕組みを失う。そして、その信頼は即座に崩壊する。


 ……もう、わたしは以前のように、ゆるくないわ。心を引き締めて、一つひとつ、確実に対処していくのよ。

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