593, 144000 part2
……落ち着いてきたわ。ここで、ハッシュ関数に、少し深く触れてみる。
今まで……何となく、逃げてきたのよね。結局……わたしったら、女神なのに、こんな状態であんな塔に閉じこもっていた。結局は、わたしだってショア連呼と一緒。
こんなわたしを、量子アリスはかばってくれるけれど……実際のところ、闇にある程度は揶揄されても、反論はできないのよね。
でも、今は違うわ。真剣に向き合うことで、新しい時代の扉を開いてみせる。
そうね……闇にも、感謝しないと。そういう気持ちを奮い立たせてくれたのだと、前向きに受け取れるようになったわ。
さて。結局、わたしも「含めて」、こんな勘違いをしていたのよ。列挙するわ。
「ハッシュ関数は数学」
「一様性は前提」
「設計者の意思は関係ない」
「だから信用できる」
……。改めて並べてみると、ひどいものね。これで、絶対に問題ないと……量子が投げ込まれるその瞬間まで、疑問すら微塵もなく、信じ切っていたわ。
ところが、実際は……以下なのよね。
「数多くの介入パラメータ」
「回転量」
「補助関数の構成」
「ラウンド数」
「ビット演算の順序」
……。つまり、「最適化」という名の調整余地が、たっぷり残されていた。
そして……、統計テストを通る。ランダムっぽく見える。致命的な攻撃は、まだ見つかっていない。それらが揃えば、実質的に完成扱いになる。
これが……ハッシュ関数の、真の姿だった。
闇で包まれていた補助関数を、ひとつずつ剥ぎ取っていくと、そこに現れたのは……これ、だったのよ。




